最近読んだ本(2024年11月)
生物の生殖本能が語り手という、かなり新しい視点でのお話です。
ジャンルこそ小説ですが、哲学書に近いものを感じます。
他の読者さんも同じようなことを話していたのですが、以前読んだ「暇と退屈の倫理学」につながる部分がとても多かったです。
就職活動、新社会人の時にあれだけ掲げてきた「成長」という言葉。
今では違和感を覚えるようになったのですが、その違和感の正体に気づけた気がします。
どういう物語かといわれるとかなり説明に困るのですが、めちゃくちゃ要約すると、主人公が友人のために殺人を犯し、罪の意識にさいなまれつつも隠ぺいを続けながら大人に成長していきます。
主人公もやっていることはやばいですが、いかんせん周りの大人たちが腐っています。
女性特有、なのでしょうか。
友人の特別でありたい気持ちからくる自己犠牲の精神に「自分もこの歳の時、そんなこと考えたりしたなぁ」と思わず共感していました。
著者の作る文章が綺麗で、頭にスッと馴染む感じがします。
性虐待、殺人、起こっていることはえげつないのにどこか美しさを感じてしまうような、細かい心理描写にとても惹き込まれました。
「インフルエンス」を読んで久しぶりに同じ著者の他作品を読んでみたい!と思い、古本屋に走ってゲットした1冊です。
私にしては珍しく恋愛小説なのですが、ちょいミステリー要素も入ってます。
大人の恋愛物語かと思いきや、登場人物たちは割と好き勝手やるなぁと思いながら読んでいました。
著者が描く女性の心理描写は秀逸と改めて感心させられました。
雰囲気で物語が進んでいく感じがあるので、人を選ぶかもしれませんが、女性には刺さる話だと思います。
11月はこんな感じです。
文字で説明するのが難しい小説ばかりでしたが、とにかく読んでよかった!と思える作品ばかりでした。
そういえばこんな記事が目に留まり、なるほどと思ったので合わせて共有します。
私も小説にはまるまで、読んでなにか結論が得られるわけではないし、それこそ結末がぱっとしない小説に対しては「で、結局何が言いたいの?」と癇に障ることさえありました。
けれど、ぱっとさせる必要ってないんじゃないかというのが最近の私の考え方です。
人って無意識のうちに「〇〇は△△」と頭の中でレッテルを張ってしまいがちで、結果的にその人の柔軟性とかチャレンジ精神を削いでしまう原因なんじゃないかなと思うのです。(月並みな話にはなりますが)
小説を読めば柔軟性が磨かれるというのは安直ですが、頭の中でいろんな可能性を膨らませるよい訓練になるのは確かです。
私の場合、すぐ空想にふけってしまうのでどちらかというとほどほどにしなくてはいけないかもしれません…。