編曲でやったことをだらだら書いてみる 〜シンデレラ〜

シンデレラの編曲がついに終わりました。
2月から着手して今まで約5ヶ月。スケジュールは大体こんな感じ。

  1. 曲構成検討(2〜3月)

  2. 楽曲分析(4月)

  3. 編曲(5〜7月)

ずっとかかりきりでしたが、一息ついたので今回の編曲の過程を振り返ってみたいと思います。

1. 曲構成検討

今回編曲したのは、Prokofievのバレエ音楽「シンデレラ」。かの有名なシンデレラの童話がもとになって書かれたバレエです。

この曲を取り上げようと思った理由は至ってシンプル。
マンドリンオーケストラで演奏することで、曲の新たな魅力が引き出せると思ったからです。
前にも書きましたが、マンドリンオーケストラで弾いたら面白そうかどうか、が私の選曲基準です。

Prokofievは自身の作品を「古典的な要素」「近代的な要素」「トッカータ、もしくは "モーター" の要素」「叙情的な部分」「スケルツォ的(グロテスク)」の5要素で構成されると言っていますが、シンデレラは「叙情的な部分」が詰まった作品です。

Prokofievの抒情的な旋律は、管弦楽でもピアノでも美しいのですが、そのどちらでもないマンドリンオーケストラでこそ出せる美しさもあると思ったのです。なので今回は、Prokofievの「叙情的な部分」をグッと凝縮した組曲を作ろうと思いました。

とはいっても、シンデレラの曲ってたくさんあるんですよね。
バレエ原版だけでなく、管弦組曲が3つ、ピアノ組曲も3つあるので、どの曲を参考にするかを決めるだけでもかなり大変でした。

色々悩みましたが、結局この構成に決めました。
I.      序曲                【第1組曲第1曲】
II.     舞踏会を夢見るシンデレラ      【バレエ第1幕第9曲】
III.    舞踏会についたシンデレラ         【バレエ第2幕第29曲】
IV.   王子とシンデレラのパ・ド・ドゥ    【バレエ第2幕第36曲】
V.    シンデレラのワルツ          【第1組曲第7曲】
VI.   真夜中               【第1組曲第8曲】
VII.  王子とシンデレラの再会       【バレエ第3幕第48曲】
VIII. 愛をこめて             【バレエ第3幕第50曲】

コンセプトは
・登場人物をシンデレラと王子に絞って、甘々な感じに。
・主題による統一感
・物語の時系列に沿った形

選曲の細かい経緯は別途。

2. 楽曲分析

曲構成が決まった後は、楽曲分析をします。
楽曲分析といってもそんな大層なものではなくて、編曲に必要な情報を整理するものです。
編曲に必要な情報といっても人によって違うとは思うのですが、私が重要視するのは「曲構造の可視化」です。具体的なイメージは以下。

曲構造を可視化した図

曲がどういう構成になっていて、どんな小節割りになっているのか、そしてそこにはどんな主題が散りばめられているのか、が見えるようになれば、自ずと編曲の方針が決まっていきます。
特に今回のシンデレラでは、主題が全体構成のどこに配置されているかが重要だったので、この図はかなり役に立ちました。
これを作る過程も、別途どこかで。

3. 編曲

2月から3ヶ月準備期間を経て、5月から本格的に編曲に取り掛かりました。(実際には1ヶ月前から徐々に着手していましたが)
そこから3ヶ月間、週10時間くらい編曲に費やしたので、延べ150時間弱くらいが編曲にかけた時間になります。

これは、、、遅すぎますね。もっと作業効率化できた部分は大いにあると思います。恐らくアマチュアで編曲されている方はみんな同じ悩みを抱えていると思いますが、
・原曲との埋められない壁(楽器が足りない、弾けない、音がでない、、)
・手戻りの多さ(方針がブレブレ)
・Finaleが使いにくい()

ここら辺がかなり時間かかる要因なのかな、、、と思います。
特に一つ目の要因については、”マンドリンオーケストラ”あるあるなのかな、とも思ったり。
マンドリン属では弾けない、表現できない音がたくさんあって、
それをどうやって処理するか、、、が常につきまとう悩みであり、逆に編曲の腕の見せ所だったりもします。

今回のシンデレラでも、そういった悩みポイント、逆に拘ったポイントがたくさんありました。

例えば、Prokofievの特徴の一つですが、かなり打楽器や鍵盤楽器、管楽器など、音色の種類が多くて、それをマンドリンオーケストラでどうやって表現するか、、、とかですね。
マンドリンとマンドラを少し複雑に重ねてみたり、電子ピアノを編曲に取り込んでみたり、、、その辺りも別途書きたいと思います。


とりあえず、編曲の成果がこれ。Finale音源を書き出してみました。是非ご視聴ください。(テンポとか音量バランスは適当)
打ち込んだ楽譜を音に出した時って感動しますよねー
今回はかなり大変だったので、感動も一塩でした。


今日はシンデレラの編曲が終わって一息ついたので、今までやってきたことを箇条書きにしてみました。

演奏会のネタバラし、の一環で、今後少しずつ詳細を書き溜めてみようかな、、、と思います。
「こんなところに拘ってみたので、本番楽しみにしててください!」
って言えるようにしたいんですよね。


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