アフターコロナ、インバウンドビジネスチャンスの「大波」に乗り遅れない
私は1989年から中国語の通訳案内士、いわゆる中国語を使って観光のガイドをする仕事を始め、今年で32年目になります。この間、世界の社会情勢が変わり、中華圏からのお客様にも大きな変化が見られました。例えば90年代は中国本土から日本に来られる方は仕事の合間に観光というのがほとんどで、2000年になって日本政府は中国人団体観光客へのビザ発給を開始し、その後個人観光客にも広がり、そして2010年にそのビザの発給要件が緩和され、訪日観光客が一気に増えてきました。このまま増え続けると思いきや、想像もしなかったコロナ禍です。今となっては「爆買い」も懐かしい響きがします。
状況が変われば、自らもその状況に合わせて変わらなれればなりません。その時々のいろいろな「波」を客観的に観察し、その「波」に乗って前に進むという覚悟がまず必要です。中には危険な大波も存在します。このコロナ禍も大きな試練である大きな「波」の一つでしょう。しかし「波」は押しては返すもので、押し寄せてきた後は、必ず退くのが自然の摂理です。
訪日観光客は帰ってきます。
ワクチン接種も始まり、新型コロナウィルスはいずれかはおさまり、外国人の観光客は必ず戻ってきます。その時は中国本土、台湾、香港、インドネシアやマレーシアなど中国語を話す人がなだれ込むように日本にやってくるでしょう。
例えば、昨年、中国で、一定期間地域が封鎖され、それが解除されると観光地は人で溢れかえりました。安徽省の黄山風景区では昨年の4月5日に一気に2万人が押し掛けました。旅行に行きたい、出かけたいのに我慢を強いられていた分、それが出かけても良いとなると、我も我もと出かける気持ちは誰にも理解できます。他の観光地も人でいっぱいで、国内旅行は活況でした。
中華圏の人にとって日本は割と近くて行きやすい国です。治安も良く商品の質も良いのでショッピングを目的に来る方もたくさんいます。
例えば、お土産のお菓子を買うにしても、日本人だと、普通1箱を買って数人にその中の小袋を渡しますが、中華圏の方は、「そんなみみっちいケチな事はできない、人にあげるのなら丸ごと1箱あげなければこっちがカッコ悪い」と一度に10箱、20箱と買っていくのです。
コロナ終息後を見据えて
コロナ終息後は、これまでのやり方では通用しないこともあるでしょう。状況の「変化」には、やはり「変化」を以て対処するほかありません。柔軟な心で、具体的な行動を起こすことが肝要です。訪日観光客によるビジネスチャンスの「大波」に乗り遅れないよう、今現在、できることはなにか、一体どうすれば良いのか、今まで30数年の経験を生かし、インバウンドファクトリーの活動に参加し、この問題を改めて真剣に考えていきたいと思います。