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満足度UPおまけのサービス

新型コロナウイルス陽性者数がまたもや増加傾向で、インバウンドの回復は依然として、まだ先は見通せませんが、今できることとして今日はソフト面を考えていきたいと思います。

ハード面はいわゆるメニューや注意書きの外国語表示など実際に行うこととするならば、ソフト面はすなわち精神面や意識改革で、最も根本になることなので、先ずそこから考えていきます。

「満足」とは

ビジネス全般に言えることですが、私たち通訳案内士にとって一番大切なのは、お客様に「満足」してもらう事だと私は思います。お客様に「満足」してもらえれば、やりがいを感じ、疲れも吹っ飛ぶ!というのが誇張ではなく実際の感想です。

では「満足」とはなんでしょうか?「望みが満ち足りて不平のないこと、欲望や願いや要求等が実現され、心に叶って嬉しく非常に良いと思うこと」と辞書に記載があります。また、この「満」という字の由来は、「水が容器に満たされていていっぱいで、飽和状態、溢れること」で、これから解釈すると、満足した状態とは、容器にいっぱい、満杯で、さらにそれ以上のプラスのものが溢れている状態を指すのではないかと思います。人は「予想外」の、事柄や物を受け取った時に「満足」を感じるのではないでしょうか。

例えば、1000円のお土産のお饅頭を買いました。その時、「これどうぞ」とおせんべいの入った小袋をもらった、何か嬉しくなります。通訳案内士の場合、あらかじめ申し合わせていた、契約の範疇にあることをするのは当然で、それ以外のこと、それ以上のことを少しして差し上げる、今後はこの点が更にクローズアップされ、それが付加価値になり、お客様に喜んで「満足」してもらえ、そしてこちらが選ばれる要素になり、発展につながる好循環を生むことになると考えます。

私の経験談

京都の金閣寺は中国からの観光客が必ず訪れる名所です。金閣寺の参拝券はお札になっていて記念品として、中国のみならず世界各国の方々に人気です。数年前にヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンのメンバー、フレディ・マーキュリーのイギリスの自宅に金閣寺のお札が張ってあるシーンがあるのをご存知の方もいらっしゃると思います。

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あるとき、その金閣寺に行きました。ある女性のお客様は体調がすぐれないので、見学には行かず、バスで休んで待っていると残られました。私はその他の方々と一緒に境内に入って行きました。金閣寺を参観中の一人の男性客が「ここには前に来たことがあるからこのお札は要らないよ」とおっしゃいました。私は「ああ、そうなのですか」と受け取り、「お札返却ボックス」に返そうとしましたが、とりあえず手に持っていたのです。
参観を終了し、その後バスに帰ってきて具合の悪い女性のお客様に「どうですか、大丈夫ですか、気分は良くなりましたか」と尋ね、ちょうど手に持っていたそのお札を、「これ金閣寺の参拝券です」と言って渡しました。彼女は、「中に入れなくて残念に思っていたの、これ、記念になるわ、気にかけてくれて、ありがとう」と、たいそう喜んでおっしゃったのです。正直、私としては、いえ、そんな感謝されることでもないのですが・・・との心境でしたが、彼女にすれば思いかけない「意外な」プレゼントが嬉しかったのですね。

もう一つ事例を紹介します。
以前、中国の方から日本の「硬貨」は何種類あるの?ワンセット欲しいんだけど、と言うリクエストがありました。その時に持っていた私の財布にはワンセットの小銭はありませんでした。家に帰って小銭をかき集め、次の日、揃えて渡しました。そんなことが何回か続き、これだけたくさんの方が日本の硬貨を集めているのならば、先に用意しておけばいいわと思い、次からは事前に用意しておくことにしたのです。
具体的には、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉、各1枚の合計666円をひとつの封筒に入れ、さらに334円をもう一つの封筒に入れ、合わせてちょうど1000円になるようにして、それを10セットほど用意して持って行きました。
案の定、両替して欲しいと言う方が多数いましたので、私が持ってきた小銭と1000円札を交換しました。
その時はインセンティブのグループで、企業の日本の方が同行されていました。その日本の方は、私とお客様たちの両替のやりとりを見て「そんな一銭の得にもならないことを手間をかけてよくやるね」とポツリ。
私としては、喜んでもらえるからという理由だけでやっていたことなのですが、「ああそうか、それもそうか」と、言われてはじめて気づいたのでした。

業務は、やるべきことのみをやれば良いと言う考えももちろんあります。実際にそういう方もいらっしゃいますし、過剰なサービスをする必要があるとは決して思いません。
しかしながら、せっかく遠くから日本に来てもらったのだから、少しでも何か楽しんでもらえるよう、喜んでもらえるようにと思い、この30数年間やってきました。

こうしたほんの少しのおまけのサービスが、今後の高付加価値につながるのではないかと思います。お客様の目線に立って、ニーズに細かく対応しようという「気持ち、心構え、覚悟」を持ち、そこを出発点にし、今後向かおうとする方向性を決めることが、今できることの一つではないでしょうか。



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