発音により生じる誤解を回避
私は、今まで約30年間、中国語のガイド、通訳、翻訳に従事してきました。仕事柄、国内外のいろいろな所に行ったり、様々な人と出会う機会が多く、それはたいへん貴重な経験になっています。近年はその経験を活かしてインバウンドの受け入れ側のノウハウをお伝えしています。
習慣の違いや価値観の違いから生じる行き違いやトラブルで不愉快な想いをするのは、お客様にとっても受け入れ側にとっても避けたいものです。
実際の例:言葉の発音により生じる誤解
ある時、中国人女性に頼まれて一緒に百貨店に洋服を買いに行きました。その女性は少しふっくらしている人でした。婦人服売り場であれこれ見ていると、店員さんが寄って来て、「このパンツはいかがですか」と勧めてきました。その中国女性は声を荒げて、「この店員、私のことをデブって言ってる!」と怒るのです。申し訳ないのですが、私はこらえきれず笑ってしまいました。なぜなら「パンツ」は中国語の「デブ、太っちょ」という言葉の発音と似ていて、自分が太っていると言われたと勘違いしたのです。私は慌てて、店員さんが言った「パンツ」とは日本語でズボンのことで、決してあなたが太っているといったのではありませんと伝え、誤解を解きました。その中国女性は怒っていたのに、最後にはそのパンツが気に入り購入し、「パンツがパンツを買った」のでした。
この時は笑って終わってハッピーエンドで良かったですが、もし私がその場にいなくて、中国人のお客様に日本語の意味を伝えなければ、お客様はずっと怒ったままで、購入もしなかったかもしれません。また店員さんも何故怒られているのか分からないままで、このお客様はなぜ急に怒り出したのだろう、変なガイコク人だなと不愉快だったかもしれません。
お互いの不必要な誤解を招かず、お客様には日本での旅行を楽しんでいただき、お店の側は更なる売り上げアップにつながるように、こういうふうには言わないほうがいいですよと接客時のポイントをお伝えすることも、通訳ガイドにできることの一つです。
現場にいる私たちだからこそ分かることがたくさんあります。事前に知っておくことで、余裕をもって、現場で安心して対応にあたることができます。インバウンド再開後に大いに役立つアドバイスなど、私たちにお手伝いできることは、いっぱいあります!詳細はこちらから、どんなことでもお問い合わせくださいね。