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nikkirock06 「奇書をくれる先生」

 中学生だったとき、図書室の教諭が本を貰ってくれないかと持ちかけてきた。〝気色悪い本だったから〟自宅に置いておきたくないらしい。タイトルを目にして小躍りせんばかりに喜んで受け継いだ。『姑獲鳥の夏』、京極夏彦であった。やたらめったら分厚いので1000円以上する本であるし、その年齢のときの私のお小遣いにとって、1000円以上の本を買うことは大冒険である。先生ありがとう。先生は気色悪い本だとか殺人が出てくる、と、こぼした。わたしかなわないわ。殺人の本はかなわないらしい。偶然買ってしまったのか、表紙も気味が悪いと云って書店のカヴァが掛かっている。

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