合評会に出した詩(1)

真魚を抱きしめていたい
                  泉由良       2019/05/25

  1

あまりに烈しい空に
傘を閉じて歩いた
誰かが泣いている
無視するにはあまりにも近しく
慰めようにもそのひとの居場所も知らない

旅路だと想定しながら家路を辿った
家(home)ではないくせに
住所(address)はある
だからいつまでも帰れない
旅とは、如何すれば、何処に、誰が?

行き倒れになりたい
空腹を耐え殺して
生き倒れになりたい

木の下で眠る人生を送りたいと
ときおり願う
樹木のこぶしのように屈強になれたなら
廃炭鉱の奥に閉じ篭って
独りで生きる
そこでは世界中の鉱石の光が
私の眼に届いただろう

ここから先は

793字

¥ 100

サポートしていただくと、画材・手工芸材などに使わせていただきます。もっと良い作品を届けられますように。