SANABI:圧倒的に評価が難しい2Dアクション
SANABIをプレイしました!リリースしてから大変評判である一方、翻訳がかなり微妙とのことで、せっかくなら翻訳が良くなってからプレイしようと温めていました。ついに封切りです!
難易度は全チャプター通してベテランでプレイ。クリアまではおよそ8時間ほどでした。
評判通りの大変良いストーリー
本作は評判通りストーリーが大変良かったです。序盤はキャラクター同士の会話がすれ違っているというか、一方的というか、噛み合っていないように感じることが多く、違和感が強かったです。おいおい本当に大丈夫か?と疑っていました。ストーリーの謎も散りばめるだけ散りばめて、モヤモヤする場面が多かったです。造形がコテコテなキャラクターもちょっと痒かったです。
しかし、中盤になってからまさかまさかと匂わせるシーンが増え、だんだんと違和感や疑問、予想が解決されていくのは気持ちよかったです。序盤の違和感が意図的なもので、それをキッチリと回収するのはやられたなと思いました。主人公が覚醒して飛び降りるところは本作随一の名シーンですね。ここだけ何度も再生したいです。良質なSFサスペンスであり、ヒューマンドラマだと思います。
ストーリーを支える演出やアートワークもかなり良かったです。マゴ市のサイバーパンクな街並みもそうですが、敵である巨大マシーンを背景のレイヤーに登場させたところが良いと感じました。背景のレイヤーでアニメーションを動かすことで、巨大マシーンの巨大さや不気味さがより際立っていました。安易に操作キャラクターと同じレイヤーにしなかったのは英断です。背景レイヤーの扱いって軽視されがちなんですよね。
ただ!ただ、しっかりと書いておきたいのは、ストーリー自体は良くてもゲーム体験としてのストーリーは微妙でした。主に後述するアクションパートのせいです。
ちぐはぐなワイヤーアクション
ストーリー以外の本作のウリは軽快なワイヤーアクションです。これがかなり手触りが良く、慣れればダイナミックに動かすことができて爽快感があります。かなり綿密に調整してあるな、と感じました。
一方で、本作最大の微妙、いやダメポイントはステージのつくりです。これがダイナミックなワイヤーアクションとのかみ合わせがかなり悪く、ゲーム体験を劣悪なものにしています。
ステージはほとんどが落下エリアかダメージエリアで構成されており、緻密な操作を要求してくる場面が多いです(中盤の工場ステージは最たる部分です)。これがダイナミックなアクションと合わさることによって理不尽な難易度を生み出しています。こんなのバイクでイライラ棒をやれと言っているようなものです。バイクを用意するなら広いステージでびゅーんって気持ち良く行かせてくれよと思いました(びゅーんと行ける箇所は少しだけあります。もちろん爽快で気持ち良い)。
ダメージエリアの配置も性根が悪いです。具体的に上げると以下の二つです。
こういった配置のダメージエリアや落下エリアがかなり多いです。アクションゲームにおいて性悪な配置はときに必要だと思いますが、本作は果たしてそういったゲームなのでしょうか。自分は違うと思います。
さらに、リスタート位置が難所ほど間隔が長かったり、ダメージエリアが広すぎて入ったら出られずそのまま死ぬようになっていたりと、ステージの悪い部分を挙げればキリがありません。
あと、この手のアクションゲームでよくある、道中は新ギミックのお披露目&練習、ボス戦は覚えたことを活用して戦う、みたいなレベルデザインが無いのも気になります。道中で爆弾を活用したと思ったら、ボス戦は時間制限付きのイライラ棒ですからね。どうなんですかね。
まあ、そんなこんなが続いたので、本作のアクションパートに対する信頼感は序盤以降ストップ安でした。
SANABIは評価がし難い
本作のストーリーがかなり良かったのは間違いないです。しかし、一方で合間にあるアクションパートの体験が理不尽で劣悪、ストーリーの良さを毀損するほどだと思います。理不尽なアクションパートのせいで、良いストーリーが台無しになったと感じました。ちょっと怒っています。
まあ、ただ、Steamで圧倒的好評だったり、SNSで「翻訳以外は完璧」「パーフェクトSANABI」と言われていたり、いくつも賞を取っていたりするので、良いストーリーのおかげで理不尽なアクションパートが気にならないと感じる人の方が圧倒的多数のようです。
自分は本作をどのように評価すれば良いか分かりません。無邪気にサムズアップはできませんし、サムズダウンも何か違う気がします。しかし、ひとつだけ分かったのは、レビューを鵜呑みにし過ぎて勝手に期待値を上げるのは良くないということです。気を付けねばなりませんね。では、また。
ゲーム代やお供のお菓子やドリンク代にかわります