202308 雑記
8月が終わる。
どうやら、最近はもう8月31日が夏休み最後の日ではないらしい。
とはいえ、概念の『夏休み最後の日』は誰がどう言おうと今日だ。
どうせまだしばらく暑さは続くのに、今日と明日はなんか違う。
9月が始まるのはいつも少しだけ悲しい。
わたしの一番大好きな季節が確実に終わったことになってしまうから。
今年は、海にもキャンプにも行けなかった。
でも、最高の夏だった。
出演していた舞台『ピエタ』が無事に終了した。
東京公演のあとは、愛知公演、富山公演、岐阜公演。
トータル21ステージ、どんどん熟成していく感じがした。
お客さんの感想に一喜一憂したり、自分の芝居の出来に凹んだり自信を取り戻したり。
『ピエタ』のことしか頭にない1ヶ月だった。
ある日、本多劇場での本番中。
マチネとソワレの間で外に出ると、夏休み中の下北沢駅前は大賑わいだった。
その瞬間こう思った。
「今、わたしが見えている範囲に、わたしを知っている人は誰もいない!」
なぜそう思ったのかはわからない。
でもそう思って、一気に心が晴れやかになった。
駅前劇場に比べたらびっくりするくらい大きい本多劇場も、富山のオーバードホールに比べたら全然小さかったし(富山、客席が4階まであってたまげた)、そもそも地球のサイズからしたらオーバードホールも本多も駅前劇場も全部一つの点だろう。
その点の上で、たった一つの台詞について悩んだり、目線の位置を考えたり、交差するタイミングを調整したり、世界中のほとんどの人にとってどうでもいいことを真剣に悩んで、それが例えうまくいかなかったとて、駅前に出ればわたしを知る人なぞいなくなる。
全部自由だ。
わたしが、わたしのために時間を使い、わたしのためにやりたいことをやる。
わたしはたった一つの台詞に悩みたくて生きているのだ。
間違いなく最高の夏だった。
わたしが、この夏を最高にした。
【今後の出演】
◆ニッポン放送とノーミーツが手がける舞台演劇番組イベント生配信ドラマ
『あの夜であえたら』
2023年10月14日(土)15日(日)東京国際フォーラム ホールA