OSSとコモンズとシェアードワールドと二次創作
あいぽんのアプリからこんにちは。書きやすいかな?→いったん公開後、PCで修正してみるよ!リンクも張りにくいね!
まあ、それはさておき、最近パクツイ垢が炎上してたりトレパクがどうの、と騒がしいですが、ゲームシステムがパクリとか言われると、システム屋としては首を傾げざるを得ない。そんなこと言うたら、みんな使ってるWindowsからして、パクリやで?
アイデア自体は、もちろん、パイオニアへの配慮は必要にしても、そのクローンを一から作ること自体は妨げられるべきではないという考え方が、特にオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティにはある。あるアイデアを、一つの企業や個人が占有してしまうと、その企業や個人の方針変更などによる提供停止のような事態のあおりをダイレクトに受けてしまうからだ。実際、OSSの走りであるGNUソフトウェアは、AT&Tの方針変更による学術用途へのUNIXシステム無償提供停止への反発、そして対抗措置として生まれた。
その「自由なソフトウェア(フリーソフトウェア)」運動の流れから、今も多くのサービスが動いているOSとしてLinuxが生まれ、WEBサーバのapache httpdをはじめその上で提供サービスを提供するサーバの多くもオープンソース版が提供されている。これらのソフトウェアが、オープンソースではなく、自由に利用できないものであったなら、現在のネットワークの発達はなかっただろう。
もちろん、公共性の高い工学技術と芸術性の高い創作物とを単純に同じように扱うことは乱暴だと思うが、占有を強く主張し過ぎることは、創作の発展にとってもマイナスの面があり、共有を許すことによって、発展が促される面もある。
オープンソースソフトウェアについて分析したレッシグ(※1)は、日本の二次創作文化にも関心を寄せていた。彼は、更なる成果物(二次、三次の創作物)を得る為に資源(一次創作物)を共有することの有益性を述べ、その共有する場を共有地=コモンズと呼んだ。ここから、海外ではfフリーカルチャー運動が起こり、クリエイティブコモンズライセンスという考え方と、それを支援する組織も立ち上がった。日本にもその支部はある。ニコニコモンズは、その組織と直接関係するものではないが、思想的な流れは汲んでいる。
日本ではこの共有地という概念が分かりにくいようで、現在でも余り普及していないのが残念である。文化的になじめない部分もあるというのはあるようだ。曖昧なグレー状態での二次創作文化が長く続いてきたせいもあるのだろう。最近の動きで興味深いのは、二次創作文化から商用化したゲーム会社などが、寛容なガイドラインを提供したり、一部作品について特定のサイトのみであるが二次創作物を受け付ける動きが出てきたことだろうか。
これも、従来海外が中心だが、シェアードワールドという考え方があり、設定を共有して、その上で自由に創作を行うというものである。TRPGもそういった創作活動のひとつと捉えることもできる。一般に公開されているものではないが、複数の作家が共有された世界観を使って共作する場合もある。一方、シャーロックホームズやある種のCRPGのように広く概念が共有されて、様々なバスティーユやトリビュートが作られるものもあるが、こちらはもう少し広い概念かもしれない。
一次創作者の権利を侵害しない形で、こうした共有地の提供とその上での二次創作活動が今後も進んでいって欲しいと思っているし、応援していきたい。
※1.「伽藍とバザール」(和訳もネット公開されていて、当然のようにリンク・コピーフリーである)が有名。二次創作にも言及している文献としては「Free Culture」がある(原文は公開されており、当然のようにクリエイティブコモンズライセンスでFreeとなっており、和訳も出ている)。
P.S.
ちょうど、TLになろうが新しく始めたシェアードワールド情報が流れてきて笑ってしまいました。
「10人の「小説家になろう」出身作家が紡ぐシェアワールドプロジェクトが始動!『アルカディア=ガーデン』特設サイトが公開」
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