英語「で」学ぶ 〜東大生の英語学習法〜
この記事では、英語力をアップしたい人にむけ、“英語「で」学ぶ“という方法をオススメしたいと思います。これは私が東京大学の英語カリキュラムを体験する中で着想を得て、現在も有益だと感じて続けている英語の学び方です。
まずはじめに、東大のカリキュラムから東大が勧める英語学習法を考え、次に英語「で」学ぶことの効用を考察し、最後に今すぐ手軽に英語「で」学ぶことができるサービスを紹介したいと思います。
1.東大生が学ぶ英語
東大生にとって、進学する学部を問わず履修が必須とされている英語の授業がいくつかあります。ALESS/ALESSA、FLOW 、英語一列/二列といった名前の講義です。これらを簡単に紹介し、こうした必修講義を通じて東京大学がどのような英語学習法を提案しているのか考えます。
ALESS/ALESSAはそれぞれ理系/文系の学生が、英語論文を書く力を養う授業です。文献を読んでリサーチしたり、実験やアンケートでデータを集めながら、各々が自分の興味あるテーマの論文を英語で書きます。
FLOWは会話力養成のための授業で、主にアカデミックな内容をテーマとして、議論の練習をします。
英語一列/二列は『教養英語読本』(一般販売しているので誰でも買うことができます)という教材を使って、扱われるテーマについて考察して教養を身につけながら読解力を鍛える授業です。
これら全てに共通することとして、文法・構文やフレージング、単語などの解説がされることはほとんどありません。重要なのは中身の議論になります。そして自分を担当してくれた複数の先生が強調されたメッセージが「もう英語『を』学ぶのは卒業し、これからは英語『で』学んでほしい」というものでした。確かに紹介した東大必修の英語の授業は、いずれも英語を「使って」、アカデミックなコンテンツを書いたり、話したり、読んだりするものです。まさに英語「で」学ぶ学び方こそ、東大が勧める英語学習の方法なのだと思います。
2.なぜ英語「で」学ぶのか
この段では、なぜ英語「で」学ぶ学び方が勧められているのか自分なりに考察した中から2つ紹介します。
1つ目はモチベーションです。英語「を」学んでも、よほど語学マニアでない限りそれ自体から楽しみを得られる人は少ないと思います。むしろ、英語を学ぶことを通じて、海外の人の考え方を知ったり、異なる視点を得ることに楽しみがある人が多いでしょう。文法や単語を覚える、英語「を」学ぶということよりも、自分の興味あるトピックを英語「で」学ぶことの方が“楽しい“のです。苦行のように訓練するより、自発的に興味を持って学んだ方が吸収効率が良く、また継続することができるのだと思います。(継続は学習にとって非常に重要なことです)
2つ目はそれが自然な言語習得法だからです。考えてみれば私たちは日本語を身につけるとき、日本語自体を学んでいた時間は限られたものだったはずです。もちろん、主語・述語などの簡単な文法や漢字の読み書きといった基本は教わったはずですが、それ以外の多くを、本や教科書を読んだり、テレビを見たり、人と話したりする中で身につけたと思います。その言語自体を学ぶのではなく、その言語を「使って」何かを受信し、発信する中でその言語を身につけていくのが自然な言語の習得法だということです。スティーヴン・クラッシェンという著名な言語学者も自発的自由読書(free voluntary reading)が最も強力な言語習得方法であると主張しておられますが、英語を使って、何かを学ぶ中で英語を身に付けるのが有効という本記事のアイデアを支えるものだと考えています。
3.オススメの英語「で」学ぶのサービスを紹介
最後に、英語「で」学ぶことに魅力を感じていただけた人にオススメの、手軽に利用できるサービスを紹介したいと思います。
1つ目がTEDです。世界各国の知識人によるスピーチ動画を配信するアメリカの非営利団体のサービスです。YouTubeでもTEDと検索すればたくさんの動画が出てくると思います。卓越した学者や著名人などが世界中に広めたい考えを、熱く語ってくれているので、非常に貴重な考えを知ることができます。このサービスを無料で利用できるのは本当に素晴らしい時代になったと思います。通常のプレゼンが難しい方はTED Edというのであればアニメーションを使っており分かりやすいと思うのでオススメです。
2つ目がMOOCです。大規模公開オンライン講義を意味するMassive Open Online Courseの略です。ハーバード大学など、世界中の有名な大学の講義をオンラインで受けることができます。edX、Udacity、Courseraといったのが代表的なサービスです。自分は今、edXで知的財産の講義を受けています。有料のサブスリクリプションも利用できるようですが、聴講なら無料でできるので単に学びたいだけの人は無料で利用できます。自分も無料で学んでいます。
ある程度、英語「を」学び終えた人はこのようなサービスを利用して、新しい考えを知りかつ英語のスキルも上げていく、一石二鳥な道をとってみてはいかがでしょうか。
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