母の話。
「ロウバイを買いました」
母からこんな連絡が来た
ロウバイ?
梅??
全くイメージが浮かばず
詳細を求めると
ぐぐってください、
とのこと
ぐぐってなんて言葉
よく知ってたな、と
思考を違う方へ飛ばしながら
言われた通りぐぐってみた
ロウバイとは、
中国原産の落葉樹で
ウメ、スイセン、サザンカと共に
「雪中四友」と呼ばれ、
寒い雪の中でも花を咲かせるため
中国で愛されているのだそう
漢字では「蝋梅」と書くらしい
梅とついているけれど
梅の仲間ではない
英語ではwinter sweet
なんて呼ばれたりする
とても良い香りのする花が咲くようである
と、まあ調べればそれなりに
ポプュラーな花のようだ
なんでまた急に、
ロウバイなんて買ってきたんや
と本当に軽い気持ちで聞いてみたら
10年くらい前からずっと欲しくて、
やっと手に入れました
ん?
10年?10年前??
ちょっと待てよ、
ロウバイってそんなに
手に入りにくいわけじゃないよね
思いがけない年数に狼狽えるわたし
思い返せば、
母は自分のものを
滅多に買わない人であった
たまにある
服を新調するタイミングにも
お母さんはそんなにたくさんいらんで
なんて言っては
結局最低限のアイテムだけ買い足していたっけ
そんな母を
物欲の少ない人なのだ、
と思い込んでいたわたし
でも、
そんなことなかった
いつも自分よりも家族のことやものを
優先していただけで
本当は欲しいものはたくさんあったのだ、と
ようやく、気づいたのだった
お恥ずかしい話である
母にもやりたいことがある、
それはわかっていたし
我慢していることがたくさんあることも、
わかっていたつもりであった
もちろん、全てを理解できるとは毛頭おもっていない
それでも、
わたしはまだまだ母のことを知らなかったんやなあ
母は
与える喜びを知っている人だった
その優しさに
どっぷり甘えていた良い歳の娘、
猛省
ロウバイの花言葉のひとつ「慈愛」
親が子に対して持つような深い愛情を指す
母にぴったりの花だと思った
コロナが落ち着き、
実家に帰省することができた暁には
遅ればせながら
このロウバイさんのところへ
挨拶に伺おうと思うわたしであった
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