技術士の視点で非技術者として生きる(前編)
電気新聞に取り上げて頂いた電設資材アクセの直近の状況についてまとめました。今後の展望や2020年4月に経営工学部門で一次試験に合格した技術士についても記載していきます。
「電設資材アクセ」製作のきっかけ
所属会社の新規事業創出の一環で、2017年に電力・エネルギー領域での事業開発にアサインされたことから電力供給事業について関心を持つようになりました。もともと技術系ではなくエネルギー業界も縁遠かった為、アサインされた当初は調査対象の一つという認識でした。
地域新電力事業者の業務支援を通じて、旧一般電気事業者や地域の電気工事会社との接点を持つ中で、業界の慣行も用語もわからず会話が成り立たないことを苦に思い、電気工事士を取得することにしました。通常業務としてのアグリゲーターなどへの投融資プロジェクトや電気工事士の試験勉強を進めていく中で、転換期を迎えている電力業界への興味やその転換期に乗じて参入を試みる業界外の事業者としての葛藤を感じるようになりました。
業務に主体性を持って取り組み始めてからぼんやりと感じていた『電力供給が実現することに対して、従事している方へのリスペクトを示したい』という思いを実現する手段として、手元にあった電気工事士実技試験で使用する工具、電線、電気材料からアクセサリーを作り始め、日頃から身に付けるようにしました。
発信を続けて起きたこと
制作した電線のアクセサリーに興味を持って頂いた行きつけのカフェの店長さんから作品の展示販売についてのお声掛けを頂いたことから、エネルギー、電力供給事業、電気、気候変動等のトピックスを織り交ぜた展示『電気と旅する』を企画しました。開催開始が猛暑であった2021年8月であったことを踏まえ、気候変動についての解説をアイキャッチとして、どのような対策が国際的に取られているのか、自分事として捉えた時に特に電力・エネルギーの領域においてどのようなことができるのか、という思考のプロセスを展示しました。
電力システム改革の全容やMETIが示すこれからのエネルギー業界の姿に加え、実際に電力・エネルギー業界の古参・新興のプレーヤーのお話を伺い、自らも電力供給事業の一部に携わっているという認識を持ち、また他者に発信する機会を頂いて取り組みの背景について内省したことで、『様々な専門・バックグラウンドを持つ人々が主体的に電力供給事業にかかわることのきっかけになりたい』という思いを強くしていきました。
せっかく機会を頂いたカフェの売上に貢献したいと思い、来場者の方の声を反映した作品の制作のほか、再生可能エネルギー導入を踏まえた電力安定供給の課題についてアクセサリーやお店の定番メニューとともにSNSにおいて発信を続けました。
作品のユニークさやその背景にある思いが電力業界の方の目に留まり、電気新聞にて2ページに渡って取り組みが掲載されることとなりました。記事の掲載から展示の会期終了まで日は長くありませんでしたが、記事をご覧になった別の電力業界の方のご厚意で、変電所にて受変電設備と送配電に携わる方々のスピリットに直に触れる機会を頂きました。
個人で何ができるか
個人的な活動は加速していきましたが、展示のお声掛けを頂いた頃には、人事異動があり電力システム改革につながる事業に金融と言うメソッドを通じて関わることはできなくなっていました。
組織の中では望むような形でエネルギーや電力のプロジェクトに関わることが叶わなくなったため、METIの審議会資料で配電ネットワーク関連のものを読み漁ったり、定期的に国会図書館に通って普段は目にすることのできない専門誌での情報のアップデートを行いました。電力ネットワーク研究の第一人者の教授が公開授業をすると聞けば聴きに行き、配電ライセンス制度説明会など一般公開されているMETI説明会に参加しました。
得た情報をもとに、再生可能エネルギー大量導入と系統の安定運用、品質の良い電気を実現する方法、電力供給事業に関心を持ってもらうためのアイデア等をテーマに記事を作成しブログにて発信を続けました。
つづく
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~電気工事士実技試験で使用する工具、電線、電気材料を使用して作成する『電設資材アクセ』を通じて、電力の安定供給に携わる方々へのリスペクトを示し、様々なバックグラウンドを持つ人が主体的に電力供給事業にかかわるきっかけになることを願って、活動しています。
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