京都【泰山タイル考】布目タイル編②
無機質なタイルの欠点とは…?
スベる。
そう、めちゃくちゃスベったのです!!
タイルが使われた場所、靴を脱ぐ脱がないの生活スタイルの違い、履き物の違いなど、そもそも海外と日本とでは、生活環境が違い過ぎたのです。
陶磁器試験所には、そのようなタイルの欠点を集め、記録した資料も。
よく勘違いされていることですが、陶磁器試験所では、美術的な価値のある陶磁器を中心に、新たな開発や学術的な研究などが行われていたと思われがち。
実際は日本に伝わった陶磁器を、日本の風土や生活環境に合わせられるような開発や研究を行っていたのです。陶磁器試験所の記録を読み解くと、むしろそちらの方が主であったことが判ります。
さて、日本でタイルが普及した理由は様々ですが、その大きな理由のひとつに衛生面があります。(スペイン風邪との関係性を言われることがありますが、僕はその関係性がゼロでは無いと思いますが、直接的な関係性はほぼ無いと考えています。)
大正から昭和にかけ国家プロジェクトとして、タイル、洗面所、便器など、陶磁器製品の開発や普及が爆発的に進みました。しかしその急激な変化に、安全面や実用面が蔑ろにされてしまったのです。
実は当時、安全面に配慮したタイルはすでに完成しつつありました。現在「クリンカータイル」と呼ばれるセメント質のものです。しかしその見た目はあまりにも工業製品的でした。
そこで陶磁器試験所では、京町家を中心とした日本家屋や資産家が好んで建てた洋館に馴染む雰囲気のもので、衛生面、安全面、見た目、三方向に特化したタイルの開発を行います。
陶磁器試験所が京都にあったことから、“しつらえ”としてタイルを位置付け、開発に取り組んだ記録も。
それが今回のテーマである「布目タイル」に繋がる訳です。しかしなぜ「布目」だったのでしょうか?そのきっかけは、京都ならではの産業に由来するとかしないとか…?
③につづく
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