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泰山タイルの見学会を機に、とても悲しいことが起きました。

日々、泰山タイルに関する活動をしていると、様々な情報が集まってきます。所有者さまのご厚意やタイミングによっては特別な機会を頂いたり、熱心な一般の方向けに見学会を企画させて頂いたりしています。

そんな活動の中で最も大切にしていることは、所有者さまへのリスペクトと、所有者さまが困ることは絶対にしないこと。まずは所有者さまとの人間関係を構築し、その先に泰山タイルの活動があるという事を肝に銘じています。

・ とても悲しいことが起きました

僕の活動から情報を得たある大学の先生が、泰山タイル所有物件へ突然連絡を行い、非常に高圧的な態度で見学を迫ったとのことです。同一人物を含め、別の人物でも同じようなことが何度か起きており、かねてから注意を持って活動をしていました。

僕の泰山タイルツアー(見学会)では、広く公開を行っている場所もあれば、僕の活動を機に新たに発見された場所など、普段は非公開、場所非公表の場所もあります。特に最近は後者が増えています。その場合には上記のようなトラブルを防ぐため、場所の非公表と、参加者さまに「口外禁止」などのお約束頂いた上で見学会を行わせて頂いています。その他、一見さんお断りや、時には参加者さまの身分確認なども行わせて頂いています。

・ 建物公開のリスクとお約束

所有者さまとの打ち合わせの中で、過去に建物の公開や見学会などを行ったことのない場所に関しては「どのようなリスクがあるのか」のご説明を行うようにしています。

不特定多数の人が訪問することによるセキュリティーの問題はもちろん、場合によっては建物が破損する可能性もあること、またご近所や地域への配慮なども必要であることをしっかりと伝えます。

その他、所有者さまに謝礼(日当以上の金額)をお支払いすることもお約束します。謝礼に関しては、所有者さまが長く守られてきた場所に訪問させて頂き、お時間を作って頂くからには当然です。

万が一、破損が起こった時にはどのようにするのか、トラブルが起こった際の対処などについてもお約束をします。

・ その上で、必ずお伝えすることがあります

「見学会の開催を機に、また情報発信を機に、様々な問い合わせが増えます。特に大学や研究機関の名を盾に、調査と銘打った訪問や甘い囁きを行う人が一定数おり、それが時には困ったり嫌な思いをしたりトラブルに発展することもあります。」

テレビや雑誌、メディアの取材なども含めてです。

「◯◯大学の教授です、◯◯を研究している◯◯です、◯◯テレビ「◯◯番組」のディレクターです。」有名大学や有名芸能人の名前が上がれば、所有者さまも安心したり、ガードが弱くなったりしがちです。

「そんなに神経質ならそもそも公開するべきじゃない。」とのご意見も頂きます。しかし上記に紹介したようなある意味「悪質な人」がいるからこそ、神経質な対応を取らなければならないのです。

また所有者さまには建物に対する深い思いがあり、保存や活用の為、様々なことを模索されていることを理解しなければなりません。

さらに所有者さまはご高齢であることも多く、状況によってはご判断が出来ないこともあります。見方を変えれば悪質な詐欺にあう可能性もある訳です。

・ 建物公開への助言、提案

僕は「困ったことがあれば遠慮なくいつでも連絡を下さい。お力になれることがあると思います。」と伝えます。同時に「見学を受付する場合の助言」なども行わせて頂いています。

①見学者全員の氏名と住所、電話番号を事前に提出してもらう。その上で受付を行えるか判断をする。お断りする場合もあることを伝える。

②代表者の名刺を写真で撮影して頂き、申し込み時に添付ファイルで送って頂く。

③電話で受付はしない。メールもしくは書類。記録に残すため。

④見学人数、見学時間の指定、見学料の支払いについて。基本的に所有者マター。(最大10名まで、最低5名から受付、1時間以内、1人2,000円。)

⑤立場や目的に関わらず、1時間10,000円~など金額を決める。金額は安く設定しない。安ければ安いほどトラブルが増える。

⑥情報公開、写真撮影、写真のインターネット共有の取り決め。

⑦敷地、建物内での飲食、喫煙禁止。(水分補給はのぞく)

⑧一定の公式見解の設定。

⑨反社会的勢力排除条項の確認。

⑩トラブルが起こった際の対処方法など。

・ トラブル、相談事例

実際に過去にあったトラブルや、所有者さまから相談のあった事例をご紹介します。全て事実。しかも2年以内にあったことです。

・文化財への登録を促され、その登録をお手伝いする代わりに建物の公開を迫られた。

・調査を理由に押しかけられ、活用方法の提案、強引な公開を迫られた。

・公開を提案された上、管理を行う会社を紹介された。また建物の譲渡や売買、不動産活用も提案された。

・公開を提案された上、バリアフリーやトイレのリニューアルが必要などと言われ、リフォーム業者も一緒に訪問された。

・取材を理由に、一方的に日時を指定された上、実際に押しかけて来た。

・解体中の現場に押しかけ、建物やタイルの保存を理由に工事の中断を迫られた。

・取り壊しの際には「タイル貰うので連絡下さい。」と言われた。(失礼過ぎる!怒)

・宅配業者を装ったり、トイレを貸して欲しい、あらゆる手を使って建物内への侵入を画策された。(不法侵入!悪質すぎ!怒)

・公開のあとからご近所とのトラブルが多発した。訪問者の道での屯や喫煙などが発覚。

・公開のあとに空き巣に入られ、調度品の盗難にあった。(公開の際に下見?価値のある邸宅だと判断された可能性も)


・ 今回なぜ場所が判ったのか

関係者への聞き取りから、どのような経緯で場所が判ったのか把握が出来ました。柏原の関係者からの情報流出で無かったことが救いです。過去には場所特定する為に、ありとあらゆる情報を集め血眼になって探しあてた…なんて話も聞きます。執念?執着?ですね。怖いです。

所有者さまからは「大学の先生だからってなんやねん。」、「高圧的で一方的な態度に心証が非常に悪く、きっぱりと断りました。」とのことで、それ以上の話にはならなかったようですが唖然とされていました。今後同一人物で同じことが再度起これば、所属する大学へ抗議を行います。


・ 建物の公開イベント

建物の公開イベントなどで建築やそれに関係する「事や物」が注目されることは、保存や価値の再発見などに繋がり良いことだと“も”思います。

しかしその一方で、建物は所有者さまの私的財産であり、その場所で生活をされている場合もあることを絶対に忘れてはいけないと思います。また公開はもちろん、保存を望んでいない場合もあります。

・ マナーとモラル

マナーとモラルに対する呼びかけを積極的に行います

最近特に思うのは、街の中における見学の「マナーやモラル」が著しく損なわれていると思います。「好き」や「承認欲求」、はたまた「知的好奇心」と言う、一見「耳ざわりの良い言葉」で、行き過ぎた行動が正当化されている傾向にあると思います。今回の事もその一つかと思います。

一般住宅をはじめタイルや建物装飾を無断で撮影することは迷惑行為です。街を撮影した写真に偶然写ったものとは違い、目的を持って撮影をすることは、れっきとした盗撮です。

もしも自宅や所有する建物が知らない人に無断で撮影され、その写真がインターネット上のブログやSNSに無許可でアップロードされてたら嫌ですよね。少なくとも僕は嫌です。だからこそ僕は必ず所有者の許可を取ります。

また私有地への不法侵入はもちろん、近所の人や街に迷惑が掛かっていないか、その点についても注意しなければなりません。

少しのきっかけで価値観が大きく変わっていく現代で、今の世の中にあった形のマナーとモラルが必要かつ大切なんじゃないのかな、と思いました。

今回の事実をきっかけに、今後このように権力を振りかざして建築の公開を迫るような非常識且つ身勝手な行動が無くなるよう対策をします。悪質な場合は所属先や名前を公表します。

なによりも建物の所有者さまが困ったり嫌な思いをされることは言語道断、絶対にあってはなりません。

建築やタイルの見学、関連するイベントでのマナーやモラルがより改善されれば良いな、と強く強く願っています。


・ 執筆後記

所有者さまが「柏原さんが見学会開催してますから、そちらに参加して下さい。」とお伝えしたところ「大学教員がそんなところに参加出来るわけないだろ!」と言われたとのこと。

それってどー言う意味なんやろ?他の大学の先生や、大手ゼネコンの研究者さん、博物館の学芸員さんなど、立場関係なく様々な方にご参加を頂いております。


・ ついでに執筆後記

あるテレビ番組で「喫茶築地」の泰山タイルが取り上げられた際の話。

その撮影で取材班が店の前に屯した為、向いの居酒屋のオーナーがブチ切れてたんだよね。「道に人が通れない。人が通れなければ店に人が入れない。京都は道が狭い。京都でロケするなら、両隣、向いとその両隣に挨拶するのが当然やろ。そんなことも判らんやつが京都を語るな。二度と来るな。」って。

街に迷惑を掛けるってこういうことなんだよね。それが喫茶築地の取材NGに繋がり、いずれ泰山タイルの撤去なんて話にも繋がりかねない。批判じゃなく事実。

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