母とは真逆のユニークな子育て 8

     娘の言葉で鬱から脱出 1

娘が中学3年生で受験生だった時、起業して3年たった私は、突然まさかの坂に転げ落ちた。共同経営者だった女性が、突然ガンで亡くなったのだ。順調に回復しつつあったのに、ある日の朝容体急変で天国に行ってしまった。

そして借金が残った・・・

その借金をひとりで負わなければならなくなり、やむなく私は借金返済のためだけに、契約社員の道を選ぶことにした。いきなりの苦難でその道しか思い浮かばなかったのである。毎日毎日、そのためだけに働くうちに、私は段々と精神を病んでいった。

まず、眠れなくなり、食欲もなくなった。食べても何も味を感じない。辛うじて、毎日の家事はなんとくこなせていたが、暗い顔の日々が続いた。主人と娘が食卓で話をしているのを見ても、疎外感を感じ、どうしようもない孤独に陥った。そして、起業して失敗した自分自身を責めに責めた。

そんな家庭状態が子どもに言い訳はない。それがもう1年以上も続いている。まして、娘は受験を控えていたのである。

ある日、帰宅したら1通の娘の置手紙があった。「しばらく、叔母さんのところでお世話になります。」日常の衣類など全部詰め込んで家出したのだろう。大きなスーツケースが消えていた。「私のマンションから学校に通わせるから、大丈夫!」と、独身の妹から連絡があり、内心ほっとした。

それだけ、その時はこどものことより、自分自身のことで精一杯なくらい、精神は病んでいたのである。

心療内科に通うより、借金返済のほうが優先だったので、とにかく必死でなんとか毎日をこなしていた。

それでも、夜になると幻聴まで聞こえてくる。耳元で「そろそろ死ねばいい」という囁きが聞こえるのである。

先日、俳優の三浦春馬さんの自殺報道があったが、そのニュースを聞いて、その時のことが思い出された。

娘の家出から1ヶ月後、近くに住んでいるお姑さんが心配して「そろそろ○○ちゃんを迎えに行きなさい。帰ってきたら、私が面倒をみてあげるから。」と言ってくれて、娘は大好きなおばあちゃんに説得されて、1ヶ月ぶりに帰ってきた。    ・・・・つづく


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