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何も知らないけどちょっと興味ある人向けの「ダンテ・神曲」のはなし

はじめに

読まなくてもいいけど、一応読んでもらえると嬉しい部分

神曲という作品について。
私はなぜか無性にこの作品が、自分でもよくわからないのですが妙に好きすぎるため、あえてSNSやインターネットから情報を得ないマイペースな付き合い方をずっとしています。そのため、最新情報についてはふいに人から教えられた情報によって色んな事を突然知る事が多いですのですが…。

今年の10月、フォロワーさんのRTから、ロイヤルバレエで「Dante project」という神曲をテーマにした、ダンテの没後700年の記念プログラムが上演されていることを知りました。
さらに、プリンシパルを務めてこられたエドワード・ワトソンさんの引退興行らしく、なかなか手厚いストリーミング映像販売をしてくれています。もちろん楽しみに購入。
そんなわけで、12/20〜の配信を、もし誰か興味があるなら…誰かとツイッターのスペースなどでしゃべりながら同時に再生したいな…と思い…。
少しの人だけだとしても、日本であのバレエを見る人の予備情報として少しでも内容がわかった方が楽しめるのではないかと思い、簡単に神曲の内容をまとめることにしました。
(といっても、そもそもが膨大なので1万字弱になってしまった)

本記事の意図について

何も知らない人に向けて、気負わずに何となく内容を把握してもらえることを念頭に置いて書きました。
知っている人にとっては情報が足りなすぎると思います。
どこかで専門的に文学史やイタリア文化について学んだり親しんだ経験がないので、何か間違っている情報などがありましたら優しく(笑)ご教授ください。
あえて、表現をかなり大雑把に処理していますが、本来は取り扱っている題材含めまして、大変繊細な作品だということも承知しております。
自分自身は研究者ではありませんので、細かく仔細に拘って理解されている方々の本でいつも学ばせていただいており、人のできないことをされている皆様を心から尊敬しています。
一個人の趣味としての受け取り方の枝葉の先のひとつの提示に過ぎませんので、大雑把な内容な故に、何かをバカにしようという意図はないことがわかっていただければ嬉しいです。

また、ダンテが神曲を制作していた時期の社会情勢の常識は、現在の私たちの価値観とは大きく違っている所がたくさんあり、その部分において、私自身が肯定意見を持っているわけではありません。
特にキリスト教以外の宗教の人について扱っている部分、同性愛について扱っている部分など、いくつかの部分は作中で書かれている内容と私の意見はまったく別のものです。(そもそも自分もキリスト教徒ではない)
神曲に限らず…書かれている内容や作者の意見、偏見を肯定することと、作品そのものが好きなこととは別のことだと考えております。
差別、偏見の助長を促すために、おすすめしているわけではないことはご承知ください。

当時の社会情勢を鑑みた上で昔の作品をインプットする際、意外な場所で不快を覚え、逆に現在の社会の多様性に気付かされることもありますよね。(この頃からまだ変わってないんか〜いと残念に思うことも含めてですが)
そんな体験をするとことも含めてが古典作品を読むことだと思っており、個人的には内容を現代の社会の流れに沿って変えないことも大事にしてほしいと思っています。

本記事で、登場する人物については記載を差し控えた場所もあります。
興味をもってくださった方がいらしたら、ぜひ何らかの日本語訳で作品を読んで確かめてみていただければ嬉しいです。


そもそも神曲って何なんだい!

・概要

13〜14世紀のフィレンツェ生まれのイタリア人ダンテ・アリギエーリさんが40代くらいの頃から書いた作品。(別に音楽の曲ではない)

自分(ダンテ/アラサー?)がなんだかわからないが死にかけており、なんだかわからないが死んだ人の世界を旅しないと生き返れないと言われ、なんだかわからないまま自分のアイドルたち(死んでる)と旅をする話。

地獄編・煉獄編・天国編 の三部作で構成されれている。
地獄編に想像力をかき立てられるからか、好きな人が多く、RPGとかSFとかファンタジーの元祖になったとか言われたりする。
ともかくダンテに都合がいい。

・作者

もしかしたら、総理大臣は言い過ぎかもしれない。

・登場人物

とりあえず、これだけわかっていればいい3人。

作者よりも、多分かなりかわいく書かれて居るのを感じる。
愛され系。
伝わっている話では心優しい優男だが、神曲ではめっちゃ強そうな男。
ヴァルジリオと表記されたりも。
「新生」という作品も彼女に捧げられた。ダンテの初恋の相手、実在の人物です。
お互い、普通に別の人と結婚している。

いよいよ内容!…の前に

・大前提の世界観。 地獄、煉獄、天国。

神曲は三部構成。
地獄編・煉獄編・天国編とそれぞれダンテが旅する場所についてのお話なのですが、位置関係が結構謎なので先に図解を。

結構ややこしい

図の左側から旅をするのですが、軽く説明します。

地獄の門
ここから地獄だ!帰れないぞ!覚悟しろ!みたいなことがいっぱい書いてある怖い門。

アケロンテ川(三途の川)
東西共通のイメージなのか、三途の川みたいなやつがある。
渡し舟の先導がカロンというすぐにキレる老人なので、何かにつけずっとダンテがキレられている。

辺獄
キリストが生まれる前に生まれたからキリスト教になれなかった人(そりゃそうじゃ)が居る場所。ギリシャの哲学者とかが住んでる。
ここの住人は天国には行けないが、罰をうけるでもなく平穏に暮らしている。ヴェルギリウス先生もここの住人。(だから天国には行けない)

地獄
地獄の住人は天国に行けない。
罪によっていろんな地獄に振り分けられており、それぞれの階層に同じ罪をおった亡者がいる。一応9つに分けられているが、めっちゃ細かく分かれて居る層もあり、読んでいる時は9つとは思えない(?)。
下に行くほど、ダンテが考えた罪が重い人がいる。
悪魔同士がよく暴れて喧嘩している激しい場所。

煉獄
煉獄の住人は祈りによって天国に行ける可能性がある。(ただし数千年かかりそうな場合もある)地獄よりはマシな場所。
7つの大罪ぶんの関所があり、そこを越えれば天国に行ける。

天国
10のエリアで分かれており、上に行くほど幸せ。(でも天国の人はみんな幸せということになっている)
一番上に大きなバラがあって、キリストと聖母マリアがいる。
ちなみに、天国の住人は口を動かさなくてもテレパシーで話せるらしい。

相互関係はこんな感じかな?
ダンテは下から上に旅していきます。

これだけわかってりゃ…多分そこそこいい!!



第一部 地獄篇

第34歌まで、できるだけ簡潔にスピーディにいきます!

・第1歌 ヴェルギリウス先生、ダンテちゃんを助ける

森の中で迷子になったところで気が付くダンテちゃん。突然ヒョウとライオンとオオカミに襲われる。危機一髪!のところで憧れの先生、ローマの大詩人ヴェルギリウス先生が現れて助けてくれる。
ヴ「君の天才ぶり…あの世からいつも見てたよ」
ダ「////」
よかったね!
色々あって、死者の国廻りをしないと現世に帰れないらしいので、師匠と一緒に死者の世界の旅がはじめるぞ!と意気込むダンテちゃん。

・第2歌 ベアトリーチェも心配しているよ

第一歌で意気込んだのに、その日のうちに「ゃっぱぅちには無理かも…」と弱音を吐くダンテちゃん。心が折れるのが早すぎる。
先生はそんな彼をたしなめていい事を教えてあげる。
ヴ「私に君を助けてあげてと頼んできたのは君の永遠のアイドル…ベアトリーチェなのだよ!」
ダ「えーっ////まじで〜!」
現金なことに、やる気はすぐに回復した。

・第3歌 地獄の門

地獄の門に到着。難しい言葉が書いてあってダンテちゃんには理解不能だったが、先生は「簡単に言うと『覚悟しろ、ここからが地獄だ』と書いてあるよ」と教えてくれた。
そのへんに天国にも地獄にも行けない人が虫にめっちゃ刺されてて怖いから避けて三途の川のところまで行く。
船の船頭カロンに「ダンテはのせない!」と言われるが、先生がすぐに「乗せろ!」と言ったら乗せてくれた。
その後、航行中にダンテちゃんは川の亡者が怖すぎて気絶。

・第4歌 天才に天才扱いされる

気が付くと地獄の淵にいるダンテちゃん。
ヴェルギリウス先生の住む辺獄(リンボ)に到着。
有名な詩人が居まくってテンション爆上がりのダンテちゃんだが、みんな口々に「きみの詩いいね〜!」と仲間に入れてくれた。
ダンテちゃんがメッチャいい気になってこの歌は終わる。

・第5歌 めっちゃ風つよい地獄

冥王ミノスが地獄裁判をしてるところに到着。
ミ「お前まだ生きてるじゃん!入るな!」
ヴ「入れろ!」
入れることになった。
風がすごすぎて人が飛ばされている地獄に到着。ここは愛慾にふけった人たちの地獄。
声をかけるとフランチェスカさんを呼び止めることに成功。その悲恋の話を聞いてダンテちゃんは悲しすぎてぴえんして気絶。

・第6歌 ケルベロスがいる地獄

気付いたら先に進んでいたダンテちゃん。貪欲者の地獄。
ケルベロスが亡者を食ったり裂いたりしてやかましいので、泥を口に投げ込む先生。
ダンテちゃんの同郷のチャッコがこの先のどこにフィレンツェ人がいるのか教えてくれたり色々と故郷の今後について話す。

・第7歌 謎の言葉に怯えるダンテちゃん

「パペ・サタン、パペ・サタン、アレッペ!」(※本当に意味が解明されていない)という謎の言葉をプルートンが叫んでいる。
意味不明さに怯えるダンテちゃんを優しくなぐさめてくれた先生だが、地獄の住人にはメチャクチャ厳しいのでプルートンにキレ叫び返すと、プルートンはしゅんとして消えた。
ケチと浪費家の地獄は、お互いにでかい石をぶつけあっている。まぁ、それは適度に無視して(するんかい)色々おしゃべりしながら進む。
怒りん坊には泥川地獄。泥の中で泥まみれでずっとキレ合っている。

・第8歌 泥だらけの人にキレられる

泥川を渡るのに船にのる二人。
渡航中、泥の中から「生きてるのになんでここに居るんだ?」とキレてくる人がいる。喧嘩になったあげく、船にとりつこうとしてきたのを先生が気づいて、そいつを押し除けて「うせろ!」とキレてくれた。しかも、ダンテちゃんには優しいのでHUG&KISSしてくれる。
船を降りた後大きな閉じた門に到着するも、門番の堕天使に頼んでも開けてもらえない。先生は地獄の公務員の対応にイライラが募るものの、ダンテちゃんには微笑んでくれる優しい師匠であった。いつでも肩幅が広そうな頼り甲斐のある男である。

・第9歌 家族連れの遊園地でも見る情景

ダ「ほんとに入れるの…?」
ヴ「だいじょぶだいじょぶ!!…………おい…責任者まだか…」
先生が休日のアトラクション調整待ちの家族連れのスタッフにクレームを入れたお父さんのようにイライラしているところ、ギリシャ神話の悪の三女神が通りかかる。ダンテちゃんが発見されてしまい、メデューサ連れてきて石にしてやろうぜ!といじわるされるも、先生が「だ〜れだ」状態で目を守ってくれたのでことなきを得た。謎のイチャイチャタイム(?)。
やっと天使(責任者)が来て門が開く。
天使は家が好きすぎるので早く帰りたくて挨拶もせず去った。

・第10歌 燃える墓 

異教徒(大きな宗教だけでなく、快楽主義者なども含まれる)の地獄。燃える墓の地獄。
フィレンツェの人にあって色々しゃべっていたら、「お前、将来街を追放されるぞ!」と予言される。
地獄の苛烈さに比べて意外と落ち着いた回。

・第11歌 説明回

先生がダンテちゃんに地獄の説明をしっかりする。

・第12歌 ミノタウロスとケンタウロスがややこしい

岩が倒壊したあたりを降っている時、進行方向にミノタウロスを発見。
先生はミノタウロスに暴言を吐いてトチ狂わせ、そのうちに二人は逃げる(逆に危ないのでは?)。
ギリシャ神話で有名なケンタウロスがいっぱい居るところに着く。
護衛に一人のケンタウロスをつけてもらい、ダンテちゃんを乗せて人力車ばりに地獄の説明をされながら進む。

・第13歌 ヴェルギリウス、鬼畜だろ…

変な怪鳥のいる呻き声の森に到着。
ダ「この木はなんですか?」
ヴ「ちょっとどれか折ってみな」
木「ギャーーーーーーーー」
木は自殺者だった。手がおられるのと一緒だから痛い。
色々話を聞いてるとき、裸の人が二人出てきて黒い猟犬に噛みちぎられる。特に被害はうけなかったが突然のことで驚く。

・第14歌 あんまり言うことがない

火の雨が降り注ぐ熱砂は神様に悪口を言った人の地獄。
森と隣接しているので間のあたりを注意して進む。

・第15歌 ブルネット師匠と対面

男色の罪での地獄はずっと走り動き続けること。同郷のブルネット先生(本当に会って教えてもらっていたかはちょっと不明)と再会し、おしゃべり。
地獄にいる人とはいえ、これからの未来の予言と、自分の著作の宣伝をして走り去っていく尊敬する先生の姿に、元気をもらうダンテちゃんだった。

・第16歌 腰紐を投げ捨てる

フィレンツェの3武人がクルクル回りながらダンテちゃんとフィレンツェについて話す。
崖みたいなところに到達。先生に言われて腰につけて居る紐を渡すと、それを谷底に投げ入れる。
しばらくすると、ギリシャ神話のゲリュオン(体が人間でうしろが蛇みたいなデカいやつ)が谷から登ってきた。

・第17歌 ゲリュオンの背に乗って

ゲリュオンが谷から上がってきたことに唖然としていると、先生は「話をつけておくから、その間に他の人と話してきなさい」と高利貸しの亡者とのおしゃべりを薦めてくる。
一人で行ってきたものの、みんな巾着を頭につけているし、怒鳴られたのでシュンとしてすぐに帰ると、もう話がついていた。
ゲリュオンの背中に乗れと言われビビる主人公。何かとビビっている。
「こゎぃからうしろから抱きしめて…////😢」 と言えないダンテちゃんだが、先生は察して抱きかかえてくれた。なんて頼り甲斐のある男だ。
(もうちょっとグロいネバーエンディングストーリーのファルコンの場面をご想像ください)

・第18歌 このへんからさらに地獄っぽい

でかい乗り物のおかげで楽に下まで降りることができた二人。
悪魔折檻を受ける亡者(婦女誘拐)やウンコまみれの亡者(嘘つき)の中にギリシャ神話の登場人物が色々いるが、ヴェルギリウス先生が「ここはこれだけわかってればいいので」と数人の名前を挙げテスト前の先生のような発言でさっさと乗り切る。

・第19歌 犬神家ポーズで焼かれる地獄

窯に頭からつっこまれて犬神家ポーズで焼かれる地獄は聖物売買人たちの地獄。危ないので保護者の先生がダンテちゃんをだっこで運んでくれる。
教皇とケンカするダンテちゃん。弁論に先生は終始ご満悦。

・第20歌 首が逆になる地獄

魔術師たちの地獄。首がねじまがって顔が後ろになってて痛そうだし亡者も泣いてる。ダンテちゃんも辛くて泣いちゃう。
かわりに先生が説明すべきことはすべて説明してくれる。多分この回の半分くらいヴェルギリウスがしゃべってる。

・第21歌 悪魔と道行き

職権濫用で利益を得た汚職の地獄。ねばねばに沈められて、悪魔に裂かれたりしている。
行く手が土砂崩れなので、先生が悪魔の人たちと交渉して護衛をつけてもらうも、ダンテちゃんは気が気じゃないし、熊手でケツをくすぐられそうになるしで「先生と二人っきりがいい〜!::」とイヤがるもたしなめられる。
最後ボスの悪魔がおならをする。

・第22歌 新しいスポーツ

悪魔とそこそこうまく(?)やりつつ歩いていく。
主人公たちが喋りかけた亡者が、途中で悪魔を出し抜いてしまう。どさくさで仲間同士の喧嘩がおこり、競争の末悪魔が二人ねばねばに落ちる。
ゴタゴタをほっといてダンテちゃんと先生は先を急いだ。

・第23歌 逃走中

二人のせいで喧嘩のゴタゴタが起こった悪魔は、ダンテちゃんと先生を追いかけてくる。さながら逃走中である。よもや、というところで、先生がダンテちゃんをだっこしてマッハのスピードで堤を滑り降り、事なきをえた。
偽善者の地獄はクソ重い金ピカマントをかぶって歩く地獄。
ボローニャの亡者としゃべっていたら悪魔が道について嘘をついていたことがわかって先生はおこ。

・第24歌 道がない

堤を降りたことでロッククライミングしなければならなくなった二人。苦労して登り、先を進むもいろいろあって地獄を1つ飛ばして下の地獄へ。
ヘビがいっぱいの地獄。封神演技を読んだ人ならわかると思いますが、簡単に言うと蟇盆。
その中にいるフィレンツェの亡者にいじわるを言われるダンテ。

・第25歌 文字で説明できないことが起こる

まだ蟇盆の中。
亡者同士の喧嘩がおこり、謎のキメラ(作中にはすべて詳細に書いてあるがややこしいので詳細)が生まれ、ダンテちゃんは「すごい光景だったので乱筆乱文失礼しました!」と読者に一言添えた。

・第26歌 火の玉の中に人がいる?

先をゆく二人は、人を騙した亡者の地獄に行く。火の中に閉じ込められる地獄?(正直イメージがつきづらい)
話を聞いてみたいとダンテちゃんは思うも、目をつけた人がギリシャ人だった為「母語の私が聞いてあげよう」と、先生が代わりに話をきいてくれた。
(じつは、これはヴェルギリウスの著作「アエネーアス」の登場人物というギミック)

・第27歌 火の玉の人その2

同じ地獄でロマーニャの人に話しかけられる二人。「この人はイタリア人だから」とダンテちゃんにしゃべる事を許可してくれる先生。

・第28歌 グロいよ〜〜〜〜!

不和の種をまいた人の落ちる地獄。常に悪魔に体を切り裂かれていてグロすぎるため、ダンテちゃんのキャパを超えた。
首のない人が自分の首を提灯にして歩いてきて、この回は本当にグロい。

・第29歌 偽造の罪の地獄

偽造の罪を犯した人の地獄。悪疾でみんな具合が悪い…。
ダンテちゃんは物真似上手で贋金を作って火炙りにされた友達と再会する。

・第30歌 たのしい言い争い

まだ同じ地獄にて。なかなかに面白い言い争いが起きて、もっと聞きたくて楽しんでしまったダンテちゃん。先生は呆れてすごく怒る。
(謝らなきゃ………;;;;;)と思うも、シュンとして全然声が出ないダンテちゃんをいいよいいよと先生は慰める。

・第31歌 巨人がいっぱい

二人は地獄の底に到着。
いっぱい巨人がいるが、どれも鎖に繋がれている。角笛がブオブオなっていてうるさい。
他のより温厚な言葉の通じる巨人の掌に乗せてもらい、またビビリちらすダンテちゃんだが、地獄の最下層に無事ふんわりおろしてもらうことに成功。

・第32歌 地獄の最下層

地獄の最下層はコキュートスと呼ばれている。
全面が凍っており、亡者たちは首から上だけを地表に出して、体は全部氷漬けにされている地獄。
ダンテちゃんは間違えて知らない人の頭を蹴ってしまう。名前を教えろ教えないで大喧嘩になり、「うるさがらすな!マルハゲになっても答えねぇ〜!」と煽られてムカついた結果、実際そいつの髪の毛をひきちぎって1束むしりとってしまった。こえ〜。

・第33歌 ウゴリーノ伯爵

ダンテちゃんは、同じ地獄でピサのウゴリーノ伯爵が罪によって家族ごと塔に捕らえられた際、子供がそれぞれ餓死していったという辛い話を聞き、涙が止まらなくなるが寒すぎて凍る。
他の亡者の話も道行に聞いていると、まだ生きているはずの人間が名乗りびっくり。あまりにも最悪なので、体は生きて居るが魂が先に地獄に落ちて居るらしい。(無茶理論)

・第34歌 ルシフェルに到達

地獄の最下層の最下層には何があるかというと、めちゃくちゃ巨大な堕天使の3頭のルシフェルが埋まっている。3つの口にはそれぞれユダ(キリストを裏切った者)とブルートゥスとカッシウス(カエサル暗殺者)が噛まれており…やはりイタリアの作品らしい人選。
ダンテちゃんがデカさに唖然としていると、先生は本人をだっこして、タイミングよくルシフェルの体と穴の隙間に入って下に下っていく。
途中でぐるっと回ってクライミングしていく先生に混乱が止まらない主人公だが、実はルシフェルの体の真ん中で重力が真逆になっているので煉獄に至る場所に脱出することに成功!
やったね!


…というわけで、無事にダンテちゃんと先生は地獄を脱出できました!
おめでとう〜(ドンパフ)!!

あとの2篇はあらすじ紹介に留めようと思います。興味があったら読んで!

第二部 煉獄篇

・あらすじ

無事に煉獄の土地につけたダンテちゃんとヴェルギリウス先生。
永遠に出れない地獄とは違って、条件が揃えば天国に行ける煉獄は地獄より穏やか。なので、煉獄篇もわりとまったりしている。

最初の関所で天使の剣でおでこに「P」を7つもかかれたダンテちゃんだが、七つの関所(七つの大罪に由来)を越えるたびに1つづつPが消えていくという便利な仕組み。
(ちなみに、ダンテがは死んだら高慢な人間が置かれる煉獄山の1合目に置かれるだろうと書いてある。自覚あったんかい。)

天国に行くことを胸に頑張る人たちとおしゃべりする。
生きて居る人がその人のことを祈るとポイントがたまるらしく、みんなダンテちゃんに「俺のこと、本に書いといて〜!」と頼む。

そして、煉獄山を上り切ったところで、突然の別れが…。
キリスト教徒ではない先生は天国には入れない。
山頂について、あとは天国かぁ〜みたいな雰囲気になってるところで、急に先生が消え…そんな…ヒカルの碁の佐為みたいな…。
ダンテちゃん悲しくて号泣!そらそうだよ〜〜〜〜。私も号泣。

でも、先導のバトンタッチに現れた戦車に乗ったベアトリーチェ(強そう)が有無を言わさず強制的に忘却の川に顔をつっこませ、悲しい気持ちを忘れてしまうダンテちゃんなのだった…。
(天国行くには感情が消えるというのも、なんかかぐや姫みたいですよね)

第三部 天国篇

・あらすじ

憧れのアイドルベアトリーチェに連れられ、天国を見学するダンテちゃん。
天国では浮けるので、ふよ〜んと上昇していろんな層に到達できる。
口から言葉を発しなくても、テレパシーで思って居ることが伝わったりするので、いろいろな聖人や立派な人たちと目を合わせただけで喋れる。
神学談義をいろんな人としつつ(このへんが難解なので私自身もうまく処理できていない)、一番上に到達すると白い大きなバラが……。
「うおっまぶし!」

ダンテ「ってものを見てきたんだけどスゲーっしょ!!!」

と、いう感じで神曲は閉幕します。


もうちょっと踏み込んで…

神曲の訳本は日本でいくつか出ていますので、個人的見解とともに簡単に紹介させていただきます。

・このまとめより、もうちょっとわかりたい

阿刀田高先生は本当に何でもやさしく教えてくれるなぁ!(ギリシャ神話も教えてくれるし…)
というわけで、全部読むのがだるい!という人におすすめ。
私も持っていましたが、貸した知人と疎遠になりそのままどこかへ…。
また読みたいな〜と思っていた所にアンリミで0円じゃないか!
入って居る方なら無料なのでさらにおすすめです。

・読みやすい自然な訳文

『チェーザレ』 (著・惣領冬実)の監修をされているでもお馴染み、訳者の中では若手でいらっしゃる原先生の訳本。
なかなか高尚風な文体にされがち?な古典ですが、こちらの本では自然に読み進めやすいのではないかなと思います。時間をかけて、こだわって翻訳されたそうで、そんな年月と知性がこの値段で買えるなんて安すぎるね!
本を日常的に読まれる方には、こちらがおすすめ。

・絵があったらいいのにな〜

最初に読んだ神曲の本は、この寿岳先生の訳本でした!
先生はイタリア語からではなく英語からの”また訳”(というのか?)という荒技翻訳なので、誤訳などもあるらしい(笑)のですが、本業はイギリスの画家、ウィリアム・ブレイクの研究者でいらっしゃいます。
一緒にブレイクの挿絵とそれぞれの絵の解説も詳しく入っているので、絵が好きな方にはお得感もあるかも。

・もっと絵だけがいい

地獄編しかありませんが、神曲と検索すると多分一番に出てくる挿絵画家ギュスターヴ・ドレの絵を使った、これはもうほぼ絵本ですね。
だから、文章を読みたくない人(そこまでして読みたい人がいるのか不明だが)にはおすすめ。
絵がめっちゃうまい(当たり前)ので、ちょっとグロい世界観が好きな人は画集としてもどうぞ。

・もはや漫画がいい

新品ではもう買えないのが残念。
デビルマンでお馴染み、永井豪先生が漫画化しています。
永井先生は、子供の頃実家のものおきでお父様の持っていたギュスターヴドレの神曲の挿絵を見て、たいそう影響を受けたそうです。(デビルマンとかもうめっちゃだよね)正直ほぼドレの絵のオマージュといってもいい(笑)作品なのですが…先生の描く劇画調のダンテがなんだかシブくて濃ゆいおじさんなので、これはこれでクセになるんだよな…。

・なんか頭良いっぽくみられたい

もう、疲れた!読まんでいい!読んだ風でいい!
そんな場合は岩波文庫がおすすめ。岩波文庫読んでたら頭いいでしょ多分!
表紙…ドレの挿絵がなんかオシャレだし…と、思ったけどもしかして廃盤になったのでしょうか?多分でかい本屋なら(売れ残ってて)あるはず!

・神曲以外の作品も触れてみたい

河出書房の「神曲」の翻訳もされている、平川先生が訳してくださった、大感謝の一冊。先生はダンテ研究の本もたくさん出されていることもあり、安心して読みました。
平川先生の神曲も昔の翻訳に比べてみると格段に読みやすいので、あとは好みかな〜とも思います。

・オススメしたく…ないけど……

したくないって何やねん…という話なのですが、解釈違いが行き過ぎて逆になんだか気になる…という恋が始まる前(?)のような感情を覚えるこのまんがで読破シリーズの神曲。ダンテが陰キャっぽい感じで、片目が隠れて居る青年で、ヴェルギリウス先生がツエーハゲです。
でも確かに、漫画として読ませようと思ったらこうしないといけないのかな…という作家さんの苦悩が見える作品(勝手な妄想)。二次創作として楽しんでます。


さいごに

ここまでたどり着いた方はいるんでしょうか。
長々書いていたら1万字を超えてしまった…。
何はともあれ、少しでも神曲を身近に感じていただければこれ幸いです。
お読みいただきありがとうございました!

【告知】 ダンテのバレエを一緒に見てくれスペース

2021 12/28 PM21:00〜
同時再生にしようかなと思います!
(20時台からあけておけるといいんですが)
公演自体が2時間45分もあるので、バレエを見ながら神曲について?とか、ダンテについてとか、それっぽい雑談をだらだらとするつもりなので、配信を見ない方も、ご都合の合う方は、よかったら…!
こういった話題に詳しい方、ご興味ある方、飛び入りで入ってきてくださる方いたらとても嬉しいです。
ホストがそんなに詳しくない素人のスペースですので、お気軽にどうぞ。

おまけ

神曲オタクたちの一部をご紹介。
他にもいっぱいいるぞ!君は世界史の中に何人見つけられるかな!

もとはただの”喜劇”だったのに…
というか、最後の審判の絵の中身もかなり神曲。
個人的にドラクロワが一番やばいファンの感情を感じて好きです。

それでは〜。

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