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#短編小説

名前の知らない君の背中を追いかけて

「待ってよ」

 声を張り上げる。けど、お前は振り向いたことなんてない。

 お前は、何時だって、先に行く。

 僕と同じ道を歩いているのに、僕が通るべき道なのに、お前はいつもいつも僕の前を歩いている。

「ねぇ、待ってってば」

 止まらない。こんなに声を張り上げているのに。

 お前は、何時だって、そうなんだ。

 得意にもならず、それがさも当然のことのように、僕が選ぼうとしたものを平然と先に

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