現在はVisual Practice 3.0なのかもしれない。
私は旅が大好きです。
見知らぬ国に行き、言葉も文化も考え方の違うところへ出向き、自分とはまったく違う人たちで出会い、話すことが大好きです。
もちろん日本の中でも、その土地に住んでいる方がいくお店、レストラン、居酒屋、ちょっとしたスペースなどにあえて出向き、その土地の人と話し、その土地の文化を知ることが好きです。
どうやら、私は、私とはまったく違うその人の背景にある文化や考え方を知るのが好きみたいです。違うことを楽しむタイプなのでしょう。
私は、今まで対話型ワークショップのファシリテーターとして現場に関わってきました。また、同時にファシリテーターとしてグラフィックレコーディングを描くこともあります。
ファシリテーションやビジュアライズに関して探究を進めていく中で、人と人とのより良い関係構築のために、話し合いの設計などを興味関心として抱きながら進んでいました。
ずっと続く探究もあるけど、旅もいつか終わるように、私のビジュアライズの探究が少しずつ終わりかけているなと最近感じています。
(別のことを探究してみたい気持ちになってはいます。)
旅は終わるかもしれないけど、割と長い旅路ではあったので、少し自分の活動からの気づきなどをまとめて行こうかなと思い、普段ひっそり自分のためにまとめていたものを少しずつ公開しようと思い初めてきました。(書籍出版の内容とは異なります)
今回の内容としては、グラフィックレコーディング、ビジュアルファシリテーション、ハーベスティング、スクライビングなどのビジュアライゼーションの今までの時代の系譜やビジュアライズを使うコミュニティの様子に関して、感じることを書いています。細かい歴史的な叙述は割愛しています。
Visual Practice1.0
グラフィックを用いて、話し合いをすることが始まったのは、1970年代のアメリカのサンフランシスコでの組織内のコンサルティングでの導入だと言われています。書籍出版もして有名なのが、グラフィックを使って話し合いの活性化を行っていたのが、デビッド・シベッドでした。(今でもバリバリ現役で70歳じゃないぐらいかな)
また、少し時期はズレますが、オットー・シャーマンと共にU理論を展開したケルビー・バードもグラフィックを用いて組織にアプローチをしています。
日本においても、東京の世田谷のまちづくり現場でグラフィックを用いた話し合いの場が展開されていました。そして、日本各地で実践されるようになります。
日本においては、新潟の小見まいこさん、現在ドイツにはいらっしゃる井口なほさん、山田夏子さん、ゆに子さん、福岡の志賀さんなど、グラフィックを用いた話し合いを各地で実践されていました。また、Art of Hosting実践者の牧原ゆりえさんらもハーベスティングとして実践されていました。
このような先人から影響を受けて、各地で「ファシリテーショングラフィック」「グラフィックレコーディング」「グラフィックファシリテーション」などが認知されはじめました。
Visual Practice2.0
先人たちの思いを受け継ぎ、影響を受けた実践者たちが、それぞれの現場の実践から学び、さらに少しずつパワーアップさせてきました。2012年頃、デビット・シベットの『ビジュアルミーティング』が日本で出版され、話し合いの現場でグラフィックが入ることが、違和感がなくなってきました。
会議やカンファレンスなど、グループサイズの大小はあれど、話し合いの現場で実践されていたグラフィックですが、この頃から活用方法、意義、グラフィックの質や目的を意識されるようになりました。
(私は、この頃ぐらいから探究が始まりました)
活用されないカンファレンスや会議の壁の花になっていたグラフィックに、話し合いの場と乖離することなく、場にどう活用されるのか。
「なぜ、グラフィックを使いたいのか」「なぜ、グラフィックを描くのか」ということをコミュニティとして問い始める動きが起こりました。
実際に、東京でグラフィックを描く人たちが集まる大規模なイベントが行われたりしていました。
Visual Practice3.0
2020年である現在、日本において広く認知されているビジュアライゼーションに関する言葉は、「グラフィックレコーディング」「グラレコ」だと言われています。
また、様々な現場でグラフィックレコーディングが注目されて、思いのある実践者たちにより実践され、ビジュアライゼーションは活用されています。まちづくりのみならず、教育現場、福祉、医療、IT、事業開発や組織変革、コーチングなど、あらゆる現場で使われています。
その分野の現場の方々が、話し合いの「可視化」に興味をもち、価値を感じたからこそ、様々な現場で使われているだと思います。
会議の話し合いを活性化させるためには、一人一人の声を平等に丁寧に扱う必要があります。
言い換えれば、多様な声に耳を傾け、その声に敬意をもち丁寧に扱うことが必要なファシリテーションだからこそ、多様な現場での活用が進んだのではないかと考えて当然でしょう。
もちろん、例外もありますけどね。
Visual Practiceの行末
私はグラフィックファシリテーターやグラフィックレコーディングの立場で現場に関わってきましたが、逆になくなるのではないかと私は思っています。
その分野の方々は、その分野での経験があり、グラフィックファシリテーションやレコーダーとして活動してきた中間支援のように現場で入る立場の私なんかよりも、経験値も専門性も高い。
「餅は餅屋に聞け」というように、専門分野のところをお任せし、私たちが得てきたビジュアライゼーションに関する方法やノウハウをお伝えしながら、現場の人たちができることを一緒に探せていけたら良いのかもしれません。
要は、どの分野で尖っていきたいのか、っていうお話なんでしょうね。
Thanks for your suggestion : Hayato Ichigi
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