今きてる! と思うマンガ9選 2024
相変わらずマンガを読んでいます
すっかり紙では買わなくなり、webかアプリで読むばかりです
年末頃にまとめようと思っていたのですが、最近のマンガが面白すぎるのでこの熱を忘れないように書き留めておきたい所存。
と同時にオススメしたいマンガについて述べます
ネタバレ少なめにしますが気になる方はリターンください。
マンガについて過去記事はこちら↓
じゃーいきますよー
ケントゥリア
クトゥルフ的なちょっと古めのコズミックホラー風味の味付け+中近世ヨーロッパ風の舞台で元奴隷の少年が赤ちゃんを守り冒険するお話。
一話で主人公がいきなり100人の奴隷たちの犠牲の上で女の子の赤ちゃんの面倒を見ることになってしまう! という衝撃話がキャッチー? である。
ダークファンタジーではあるんだけど、主人公一行の信念が澄んでいて不思議な爽やかさがある。ちゃんと少年漫画しているところに好感が持てる漫画
この手の話って、巻き込まれ系の主人公が過度な責任や禍を押し付けられてしまい勘違いから理不尽に周囲から非難される… みたいな展開がベタだと思うんだけど、本作は違く、
敵対勢力からも主人公のことは「不幸に巻き込まれてしまった少年」ということは理解されており半ば憐れみも向けられていて、仲良くしてくれる人たちとは立場だけが違う、というのが面白い
キャラごとのモノローグを見ると、一部を除いて善性があってそれぞれ言う事に一理はあるんだよな。その上でそれぞれの正義同士がぶつかってしまいもう戦うしかなくなる…! という展開に私は弱い
更に言うと、誰が悪いでもなく皆がそれぞれ望む最善を実行しようとした結果どんどん悪い結果に突き進んでしまう… という展開に弱いぞーっ!
まだ謎のままである「赤ちゃん(ディアナ)が禍をもたらすと言われる理由」「一話で死んでしまった赤ちゃんの母は何者だったのか?」は今後の展開の中でどう明かされるのか気になる所。
ドカ食いダイスキ! もちづきさん
グルメギャグ漫画… 多分。一話からSNSで人気爆発中
ドカ食い気絶(作中では「至る」と表現)ってすっかり市民権を得ましたね
「至る」快感に突き進みたいもちづきさんがどうブレーキを掛けるのか…踏み外すのか… を楽しむ漫画、だと思う
あとは人の皮を被った獣が食の衝動を抑えつつ人間に混じり人並みの社会生活を営もうとする姿… とか
もちづきさんは営業事務なのに22時以降の深夜残業常習だったり、社員も当然深夜残業常習でアルコール依存気味の同僚もいたり…と もちづきさんを取り巻く環境もちょっとヤバめなので注目どころ。
あるある! を一足飛びで越えていくドカ食いグルメにももちろん注目。ちゃんと推定カロリーや健康診断結果も見せてくれるのは健康診断結果ダイスキな私に良し
作者は酒で破滅する人間を描く漫画を描いていた経歴があり、今回一応は企業連載なのだがどこまで遠慮しないドカ食いの描き方ができるか今後も見ものである
カグラバチ
週刊ジャンプで連載中。
次にくるマンガは君だ
ジャンルは逃げも隠れもしない正統なバトル漫画。日本刀×バトル ってほんとド真ん中だよな。
「妖刀」という日本に6本くらいしかない戦術兵器級の力を持った刀を生成できる伝説の刀匠である父親が妖術師に殺害され、妖刀を奪われてしまう。
主人公の六平千紘(ろくひら チヒロ)は父に憧れを持っており刀匠になることを夢見ていたが、上記の事件により復讐鬼と化し、7本目の妖刀である「淵天」を引っ提げ妖刀を取り戻す復讐の旅に出る… というお話のはず。
現在連載分では新章に突入し、主人公の目的や人間性や世界情勢やこれからどうなるんだ~!? みたいな道筋は大筋でようやくなんとなく分かってきたところ(個人の感想です)
ただ、20話程度に区切られた章ごとで登場するキャラの背景や目的、行動がわかりやすく矜持を感じられてめっちゃ惹きつけられる。こういうのをちゃんと描かれるとこのマンガは信頼できるって思っちゃう
おまけに要所要所のバトルが立体的でIQが高く(例えば相手が戦巧者なのを分析して引っかからないことを前提にフェイントのフェイントを入れる、みたいな)、見開きのコマがいちいちかっこよくて痺れる。本当にこれが初作品なのか
一応全話読んでいるが、主人公はまだまだ底が見えない感じ。ヤクザが蔓延る終わった世界で悪人はバッサバッサ斬っていく、対して弱者は一人も残さず救いたい(最早それがアイデンティティになってしまっていて、救わずにいられない) という姿には新時代の少年漫画のヒーロー性を感じた。
それにしても主人公のメイン武器「淵天」の能力が「刀身から金魚を出す」っていうのは何なんだ。これで面白いマンガをちゃんと描けてるんだからやっぱり実力を感じるよな
主人公は力の底が見えないとはいえ精神的にはほぼ完成してしまっており、むしろ周囲の仲間やライバルたちがどう成長したり新しい能力を見せたりするのか… という方が今後の楽しみ。チヒロはケンシロウや承太郎みたいなタイプの主人公かな
雷雷雷
エイリアンに侵略されてしまった世界。人類はパワードスーツなどの兵器を開発し、なんとか対応しているがじわじわと人間が住めない侵食区域が拡がっていて… と詰み始めてる状況。
そんな中、借金返済に子供の頃から外蟲駆除業者で働いていた主人公スミレがエイリアンに捕まり、気付いたら自分が怪獣と融合しちゃった!?
… というどこかで見たことあるような設定なんだけど、世界描写やキャラがコミカルでかわいく、終末世界って感じがしない明るい雰囲気が魅力。
スミレと融合した怪獣側の人格? もあるので話の内容は寄生獣的なバディ物のバトルマンガかな。
このマンガの売りは表情! 主人公のスミレは怪獣の力に翻弄されたり理不尽な暴力にさらされたりしてとにかく散々な目に合うのだが、その度にコロコロ表情は変わるし涙や色んな汁でぐちゃぐちゃになるのがとてもコミカルでかわいい。
エイリアンに侵略されて終わりかけの世界なんだけど、そこで暮らす人達は当然自分を通したミクロな視点でしか世界を見られなくて、つまりちゃんと生活がある。スミレにとっては世界がどうなるかなんて二の次で、とにかく今を生き延びないといけない。だって怪獣と融合したということは即ち人類の敵とほぼ同義だから。そこでどうするか… 存在価値を証明するために、怖くても人類のために戦うんだよーっ!!
相棒キャラである先輩のハヅキとの関係も好き。一緒に遊んだりする仲なのだが、この生活がずっと続くのかも不穏な雰囲気で… ずっと見させてくれえ!
The JOJOLands
ジョジョの奇妙な冒険シリーズの第9部。
今回も過去作との繋がりはほぼ無いので、初めてでもここから読み始めて大丈夫な作り。
いやー面白いね。
いきなり主人公とその仲間たちのグループが出てくるが、「序盤だからまだ主人公たちに興味持てないだろ?」とばかりに、フックとなるように過去作のとある人気キャラを序盤のキーマンとして登場させる作りはシリーズファンとしては嬉しかった。とはいえ、繰り返すがこれが初めてのジョジョでも全然大丈夫。
なぜこんなに面白いかというと、とにかくシンプルかつかっこいいからかな。1話から「これは一人の少年が亜熱帯の島々で大富豪になっていく物語」と話の筋が提示されていて、実際やることはいきなり600万ドル相当の宝石を金持ちの家に押し入って盗むというド直球の犯罪行為。なんだけど、それを軸にして主人公ジョディオの能力・人間性、ドラゴナ仲間のキャラクター性、ジョディオと仲間や「先生」との関係性、宝石の持ち主の背景、宝石の謎、などなど… という「利」を中心とした様々肉付けがシンプルに作られていって、なぜだか爽やかな読み心地になっている。「金を稼ぐ」という目的(そうじゃないやつもいる)が度々作中でも宣言されていて、読んでいても迷子になりにくい。
「何が描いてあるのか分かりにくい」とよく言われがちな荒木絵だが、今作はコマ割りやセリフの置き方など、かなり読みやすく描かれていると思う。それでいて画や話が映画のような流れにも似て動きや構図もド派手でかっこいい。
ジョディオは一見するとクールな少年なのだが、最新4巻では彼の人格を作った過去の出来事や、内に秘めた「地雷」も分かり 結構面白いやつじゃんと好きになってきた。ジョディオ自身が漫画好きでもあるし
そしてジョジョといえば能力バトル。ジョディオのスタンド「ノーヴェンバー・レイン」の能力は「重さを持つ雨を降らせる」というなんじゃそりゃな能力。だがそれがいい。
荒木先生って「直線」を使った絵がとにかく上手くて、5部のミスタの銃撃や7部のD4Cラブトレインなど記憶に残るような画を描く。線によって上手く構図が区切られているのか、集中線としての効果もあるのか… とにかく「直線」が目を引く。
ノーヴェンバー・レインは、こう見えてチームの中ではメイン火力として機能する。今後も様々な雨を使ったバトルが描かれるのに期待。
スライム聖女
なろう風西洋ファンタジーの文脈で送る成り上がり系のギャグ冒険譚。
人間に憧れるスライムがたまたま「聖女」と崇められる美少女・ジェリィの死体を乗っ取ってしまう。これで憧れの人間として暮らせるゾ! と思ったのも束の間、実は生前の聖女は人々から恐れられるとんでもない悪徳令嬢で…?
人間に擬態しつつバレないように聖女の責務を全うせよ! というお話。
人間の体を完全に乗っ取る というのは我々にとってかなり忌避感の強い悪役のやるような所業にも思えるのだが、乗っ取り先の聖女が鬼畜を越えた所業を繰り返す悪辣さなので良い意味で善悪のバランスが取れているのがおもしろい。
「何って… モンスターの群れを追い払っただけだが?」みたいななろうじみたこともするが、簡単にそれができることがバレてしまうと中身がモンスターであることを疑われてしまうので簡単にピンチを迎えてしまう。かなりのハードモードなので主人公のスライムを応援したくなる。
「人間の食べ物ってこんなに美味しいんだ!?」みたいに新鮮な興味や反応を示す(よくギャグ顔をする)主人公はかわいくて面白いが、それと同時に人間のことは大好きなのでピンチな人間はとにかく助けたいヒーロー性も良い。聖女よりも聖人。
ライバル?仲間? の聖女も登場するが、「聖女」について我々が持っている常識は早いうちに捨てないといけない。癒やしの魔法など、絶大な能力を持ってはいるが、その精神性はとても高潔なものとは言えず… 主人公は既に人々から嫌われてしまっている状況から脱却できるのか?
タワマンで不幸にならない方法
タイトルで落ちてる漫画ではある。過去にもタワマンネタで成人向け漫画を描いていた作者だが… 何が作者をそうさせるのか
「タワマンカースト」または「タワマンヒエラルキー」に少しだけでも理解がないと読み進められないかもしれないしそうじゃないかもしれない。とりあえずフィクションの出来事ですので…
簡単に言うと、「都内一等地のタワマンの最上階に住む人こそが人生の勝者であり、低層階の住民やその他の住民を見下すことができる」というぶっ飛んだ考えに取り憑かれた主人公と一部タワマン住民たちのご近所バトルが描かれる。
ちょっと前に流行った「タワマンの高層階では気圧が地上と違うので米が美味しく炊けない」「タワマンの低層階の住民は高層階の住民に○○○しないといけない」のようなタワマン文学(タワマン小説)の文脈を継ぐ本作である。
タワマンに住みたいならちゃんと稼げる職に就いて真面目にキャリアを重ねろよ、という当たり前の文句は無視してとにかく何をしてでも今すぐタワマンに住みたい主人公 ── プロのヒモ ── が、成り上がり系の文脈で突き進む。そこに愛はあるんか?
サスペンスやホラーの一歩手前ではあるけどギリギリギャグに留まっているみたいな妙なバランス感覚が心地よい漫画。いや、ちょっとはヤバい展開にならないかハラハラする
コンシェルジュの役割など、しっかり取材していると思われるタワマン知識もふんだんに盛り込まれている本作。ぜひ一歩引いた視点でお楽しみください
チンチンデビルを追え!
この辺りはチンチン生やしデビルがよく出てくるわ。チンチン生やしビームを食らってチンチンが生えないように気をつけてね
またとんでもないタイトルだがコミックDAYSでは人気作
RPG(できればエッチなやつ)を遊んだ経験があるなら前提知識として良いと思う
よくある剣と魔法のファンタジー世界で暗躍する謎の怪物チンチンデビル。
男の剣士ジュノーは、旅の仲間でありふとした事からチンチンデビルにチンチンを生やされてしまった女魔導士アンと共にチンチンの呪いを解くためにチンチンデビルを追う。
アン自身が性知識はおろか男女の関係にすら疎く、人並みにはそれらに詳しいジュノーがなんとかしてアンの純潔? 純真さ? を護ろうと奮闘する各シーンが面白い。純真すぎるアンが、ジュノーが頑張る姿を見て「頑張れ…!」と言いながら無自覚にチンチンをおっきくする(なお超巨根!!)のはかわいいね。
アンがチンチン由来の謎の生理現象に悩まされつつ、ジュノーに対する情緒がほんの少しずつ育っていくのを微笑ましく見守ろう。
そんな中、同じくチンチンデビルに生やされてしまった女僧侶のヘルマがパーティーに加わり大波乱中。すっかりチン堕ちし快楽に呑まれ、チンチンを純粋な快楽器官と捉える節があり、「鍛練」「自身を罰する」などの名目で連夜自慰にふけったり、エッチなモンスターの討伐を(自分で捕まって快楽を得るために)邪魔したりと大騒ぎを起こすが… アンの目の毒にならないように頑張れジュノー。
男性特有の性の悩みをそのまま女性に置き換えたらどうなるか? を描いた意欲作… だと思う。一発ネタで終わらない謎の底の深さを感じるため、今後も期待。
パンをナメるな!
本格パン屋お仕事漫画。
高校をやめて引きこもりニートをしていた主人公・内木夢夢(うちきむゆ)が、お小遣いをもらうためにパン屋のチラシのデザインをしていたのがきっかけで鎌倉にある親戚のパン屋の店長代理として働くことになってしまう… というもの。
人間不信でとにかく外に出るのが怖い! という主人公だが、周りの店員やお客に認められていくうちに少しずつ自信を持つようになっていき… となるはずなのだが、体力もないし人と関わるのは怖いし、そもそも「店長代理」をいきなり任されるので前途多難。
それでも周囲の人物がみんなあったけえので安心して読めるのが良い。
鎌倉を舞台に風景や観光めぐりのお話もあって、絵が綺麗なのでそれ目当てで読むのもアリ。女の子も個性的でかわいい。
タイトルの通り、「敬意を持つ」ことがこのマンガの一つのテーマなのかなと思う。引きこもり時代の主人公の「仕事」も店員や客にウケていて、やったことが正当に認められている。接客やパン作りには責任を持って取り組む… ということに、捻くれた感情や過去なんて介在しない。
店員-店員間でも、客-店員間でもお互いに敬意があるから業として・チームとしてうまく成り立っているんだなとしみじみと感じされてくれる。
主人公の小動物的な慌てぶりを堪能していたいが、今後の成長にも期待。店長になって人生逆転できるか!?
とりあえずこんなところです
気になったマンガがあったら読書の秋に読んでみてね
それでは。