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東京ダービー FC東京は“MI CASA”

 4月13日(土)

 東京、調布にある味の素スタジアムで、東京ヴェルディVSFC東京の“東京ダービー”が行われ、僕は、観戦に行った。

 “観戦”というより、FC東京の“応援”と言った方が適切かもしれない。

 昨年の第103回天皇杯全日本サッカー選手権大会の2回戦でもこのカードが実現しているため、対戦自体は1年、約9ヶ月ぶりだが、リーグ戦に限った対戦だと2011年のJ2での対戦以来13年ぶり、J1での対戦となると2008年以来だから、16年ぶりとなる。

 昨年の天皇杯、そして今回のヴェルディ戦を経て感じたのは、僕にとって、FC東京はフットボールの世界における実家である。


•16年ぶりのJ1での東京ダービー

 16年…よくよく考えてみると、長い時間だと思う。

 その年に生まれた子供が高校生になっていたり、当時よちよち歩きだった子供が大学生だったり、社会人になっていたりする…その日のFC東京のゴール裏にもそうだったであろう人々が多数いた。

 J1時代のヴェルディを知らない人も増えてきたと思う。その当時、僕がFC東京を応援しはじめた頃のヴェルディは、Jリーグ開幕初期のカズ、ラモス、北澤、武田といったスター選手を擁して、2度の年間王者に輝いた黄金時代(ヴェルディ川崎時代!)の残り香が少し残っており、FC東京はまだまだ新興クラブの匂いがあった。今振り返ると、ピッチ上での強さも財政面も地域との結びつきもFC東京のが強かったと思うが、ネームバリューはヴェルディの方が上だったと思う。


Jリーグ開幕初期のヴェルディは強くて、華やかだった

 それから時が経過し、FC東京はJ1に定着し、日本代表にも数多くの選手を送り込むようになり、「東京のサッカーチーム=FC東京」というようになる一方でヴェルディはJ2に降格してからなかなかJ1に昇格出来ず、その間に経営危機や観客動員数が伸び悩んだり苦しい時代を迎えるようになった。僕が見始めた頃とは、すっかり状況が逆転してしまった…

•状況が逆転して…

 状況が逆転して、僕の中でひとつの想いが頭をよぎった。

 昔みたく、ヴェルディに対して敵意剥き出しで応援できるのか…

 以前は、東京ガスの時代から東京を拠点に活動していたがJリーグでは新興クラブだったFC東京が、「東京がいいんだ!けど、仕方なく川崎に行ったんだ!」と言って、半ば裏切りのような形で川崎から東京に来た(練習グラウンドは稲城市だけど)古豪ヴェルディに立ち向かう関係性があったから、平気で「川崎帰れ!」とか「ヴェルディ川崎」とか歌っていたけど、立場が逆転してしまっている…

 上から目線で、スカしたような感じで応援した方がいいのではないのかなと思うこともあった。以前では、考えられないことだったが、16年という時の流れはそうさせざるを得ないくらい、長い時間であった。

 また、ブラインドサッカーやグラスルーツ、インクルーシブなフットボールに携わっていくうちに「リスペクト」、「相手がいてこそスポーツ」という考え方を刷り込まれていたのも、そう考えざるをえない要因だったのかもしれない。

・やっぱり、負けちゃいけない相手

 試合日が近づくにつれ、そんな考えは薄れていった。

 約20年、FC東京というクラブを応援してきて「ヴェルディだけには負けられない」、「アイツらは川崎を捨てた」、「ぶっ潰せ!」という考え方をファンの諸先輩方から伝えられてきたし、実際に自分で相対してみてそう思うようになっていた。

 ヴェルディ戦が近づくにつれて、自分のFC東京ファンとして植え付けられていた本能が呼び起こされていった。

 試合当日は、久々のヴェルディ川崎コールや、「ヴェルディだけには負けられない」、「緑は大嫌い」を大声で歌ったり、昨シーズンは1度もやらなかった大旗を「このゲームは特別!」ということで振った。


久しぶりにこの旗を振った!

・FC東京は”MI CASA(僕の家)”

 今後、ブラインドサッカーやグラスルーツ、インクルーシブなフットボールに携わっていくうちに、Jリーグをはじめ様々なカテゴリーのフットボールクラブに関わることになるかもしれないし、現在もそんな状況である。

 それでも、自分の“マイクラブ”、“CASA”はどこになるのか?と問われれば、間違いなく「FC東京」と答えると思う。

 自分が出ているわけでもない、リザーブとしてベンチに入っているわけでもない試合であそこまで一喜一憂して、大声を出してチームを鼓舞できるのはFC東京しかない。

 スタジアムに行けば、昔から知っている様々な年齢層の観戦仲間が沢山いて、所々で「久しぶり〜」、「最近どうしてるの?」といった会話を繰り広げる。アウェイの試合が近づけば、「〇〇戦行くの?飛行機、新幹線、どうやって来るの?」という会話にもなる…そんな世界をFC東京というクラブで、スタンドの片隅で繰り広げてきた。

 FC東京は、僕にとって“CASA”、実家のようなところ

 そんな自分のアイデンティティーのようなものを今回の東京ダービーで、呼び覚ましてくれたような気がする。 


 


 

 

 

  

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