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MD展開 -メルセデスベンツの場合-

先日、日本における輸入車業界のMD事情について書きまして、今回からさらに踏み込んで、メーカー別にどんなものを売っているのか、そこにどんな戦略が見え隠れしているのか、考えてみようと思います。

初回は、輸入車といえば、のメルセデスベンツです。
欲しい外車といえば、メルセデスベンツ、と言う人は今や多いのではないのでしょうか。

ベンツはドイツ車メーカーの中でも有名で、おベンツと呼ばれたり、お金持ちステータスのイメージがついているかと思います。車両の面から見ると、他の輸入車とは一線を画しているようにも思います。事実、メーカー別では輸入車での販売台数No.1です。
メルセデスベンツでは、MDをグッズでもなく、"コレクション"と呼んでいます。

展開

メルセデスベンツは、日本での輸入車でMD展開をしているメーカーの一つです。外車が日本でMD展開をする場合、3つのパターンがあります。
・本社アイテムを輸入して国内で売る
・日本のローカルアイテムを開発し売る
・本社がライセンスを出して、ライセンスを受けた日本の企業が製造販売する

メルセデスベンツの場合、本社アイテムとローカルアイテムを扱っています。

販路

販路としては、ディーラーと、オンライン、そして輸入車としては唯一だと思います、ブランドを広めるための場所、コンセプトショップ「メルセデス・ミー」で販売されています。

ディーラーで車両と共にMDが展示販売されるのは、一般的です。
オフィシャルオンラインストアでの販売も一般的ですが、メルセデスベンツの場合、オフィシャルストアはアマゾンのモール内に設置されています。しかもAmazon Prime対応です。

自社ECサイトではなく、モールにオフィシャルストアを設けるのは、輸入車の中でメルセデスのみです。これはなかなかできることではないと思います。モールへの出品は出品料などの手数料も取られますし、もし在庫もアマゾン管理の倉庫だとすると管理費などもかかります。

モールへの出店は、メルセデスベンツにとってメリットがあると判断されてこうなったのだと思います。これができるということは、MD部門としてかなり収益が上げられるし、予算も組める状況にあるのだと考えられます。

これだけでも既に、他外車ブランドとは、力の入れ方、資金力が違うと見て取れます。

ラインナップ

全体を見たところ、ドイツ本国アイテムと、日本のローカルアイテム、ざっくりと半々でしょうか。本国でも扱っているアイテムでも、日本のMD担当が日本でも売れるのか、導入するのか、または日本で独自に開発するのか選定しているようです。
おおよそ、品番がB6〜で始まるのが本国アイテム、B9〜で始まるのがローカルアイテムです。

アイテムは豊富です。小物雑貨始め、アパレル、スポーツ用品(特にゴルフグッズ)、女性用アイテム、キッズもの、さらにはペットグッズまであります。
しかも、車に合わせてか、お値段もそこそこします。本物のレザーを使ったものや、スワロフスキーを用いたものもあり、品質はよさそうです。

女性物やキッズ物をを揃えるのは、メリットになります。車が好きな女性は男性に比べて少ないですが、例えば、旦那さんがオーナーであると、奥さんも車には乗る可能性は高いです。旦那さんが奥さんが持つ鍵のキーリングを買ったり、プレゼントにしたりと買って行きます。そうすると奥さん方も徐々にメルセデスのファンになって行きます。そうやって徐々にその家族の中にメルセデスが入っていきます。

ローカルアイテムに関しては、最近コラボレーションアイテムが増えてきているように思います。一例ですが、キャップは本国アイテムもありますが、全ては導入せず、日本はNEW ERAとコラボしてシリーズ展開しています。

そして、さらに、カタログもしっかり用意されています。web、冊子両方用意されており、四半期か半年に1度のペースでカタログも新しくでてきます。車のメーカーでシーズンごとにカタログまで用意できるのは、メルセデスベンツしか今のところありません。

メルセデスベンツは、それだけ商品の回転も早く、新商品が出せるということです。
そうなると、オーナーさんは、車の点検でディーラーへ行くたびに、何かしら新商品を見ることになりますし、ファンや好きな人は、次は何がでるのか毎月楽しみにすることができます。

行くたびに代わり映えのしないアイテムでは、売上は伸ばせませんし、お客さんから次を楽しみにされることもありません。新商品が3-6ヶ月もでないようでは、流石に好きな人も待てないし、忘れてしまうと思います。

なので、メルセデスの商品投入や回転の速さは、オーナーのロイヤリティーを高めることにも、ファンを作ることにもうまく使われていると思います。

メルセデスベンツは、先ほど触れた、輸入メーカーとして唯一のコンセプトショップを展開しています。こちらは、「Mercedes me」という名前で展開されています。車両の販売はしないのが特徴です。試乗などはできますが、あくまでブランドを広める位置付けのようです。
カフェがあったり、夜はレストランやバーとしても活用されており、地域の人も気軽によってお茶ができるし、食事する際のレストランとしても普通に立ち寄れる感じです。人の生活の中に自然と溶け込んでいます。
その中にも、かなりのスペースをとってMDが展示されています。もちろんカタログも置いていますし、その場で買うこともできます。

展示は整っていて違和感もないですし、スタッフさんも優しく声をかけてくれて、プレゼント選びを手伝ってくれたりと親切です。
違和感がないということは、見ているときは気づかないのですが、ショーケースが曇りない、とか、陳列が乱れてない、ということです。消費者としてみていると、それが当たり前なのですが、車のメーカーで、一番MDにそこまで気を使えるのは、現状メルセデスベンツだけだと思います。

ここから、日本の社内でもMDへの位置付けがないがしろにされていない、むしろ重要な収入源であり、DMがブランドの1要素として捉えられていることが分かります。これは輸入車業界のMDの鏡だとも言えると思います。
(他のブランドは、MDは後回し感がどうしても否めません。)

メルセデスベンツは、がっちり、オーナー、ファンの心を、車だけの力だけでなく、MDを通しても捉えていると思います。
これから他業界からも自動車業界に参入することが考えられますが、そんな中これからどのような取り組みをしていくのか楽しみです。

まとめ
・展開が他輸入メーカーと違い、ECはモール内にオフィシャルストアを設置
・会社内でのMDの位置付けが高い
・MDからも、ブランドを生活の中に溶け込ませ、ファンの想像、ロイヤリティーを向上させている


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