育児と仕事を、もっと自由に。
お母さんとして働く前に、ふりかえる
育児休業中の正社員、もう少しで子供が保育園に入園。私は社員として仕事をし、母親として育児と家事をする。毎日があっという間に過ぎる生活になるのが容易に想像できます。
そうなる前に、どんな働き方が自分に合っていて家族との時間も取れるのか、考えてみたくなりました。性格上、仕事120%+育児家事120%=240%のスーパーウーマンにはとてもなれない事を重々承知しています。今の会社に不満があるわけではないけれど、産前のような仕事の進め方はできないことを分かった上で、何かしら働き続けたいのです。自分の仕事が社会の期待に、ちょっとでも寄り添えたら嬉しいのです。
フリーランスで働く人に会ってみよう!
スマホを眺めていると「育児と仕事のフリートーク 」というイベントがデジタルハリウッド大阪で開催されると知り、ピンと来て「参加」をクリックしていました。講師の方は知りません。場所も初めて行く所です。たまたまその日に予定が空いていたので行くことにしたのです。
フリーランスを10年続けていらっしゃる方を生で見るのは初めてかもしれません。会社で働き続ける私にとって、自分の腕一つで稼いでいる人は憧れでもあります。ほんまに食べていけるの?
大阪なんば。久しぶりに出てきた大都会はまぶしく、騒々しく、面食らいました。最近できたのであろう高層ビルのエレベーター、いっきに最上階まで行くのではなく途中階でエレベーター乗り換えがあるんですね。迷子になりつつ到着したのは27階にあるWe Workオフィス。スタバのコーヒーを片手にiPadを持って打ち合わせするのにバエそうな、まさに令和的オサレ会場でした。オサレすぎて緊張しました。
会場には30人程度の女性と、そのお子様たちが既に到着していました。お母さんたちが集中してトークを聞けるように配慮して、会場内後方には子供を遊ばせるスペースが。このようにお母さんが出かけやすい環境が増えているのは嬉しい限りです。
ラッキーなイベントを引き当てたのね、私
トークイベント前日、ようやく講師の方について10分程度調べた私。広告の挿絵を描き、コミックエッセイを出版し、連載を複数もっておられるフリーランサー、しかも属性はママ。すごく有能な方なのでは・・240%スーパーウーマンの可能性、と頭をよぎりました。
しかし、実際にお会いしたカワグチマサミさん。ジュディマリのYUKIにちょっと似ている可愛らしい方で、240%の雰囲気は全く出ていませんでした。ああ良かった。「ズボラ」という言葉を何度も口にしておられ、親近感がマグマのように湧き上がります。
このイベント、実はファンの方が大勢参加されていたようです。1日前に講師を知るレベルの私が参加しちゃいました、すみません。
面白くて優しいトークイベント、居心地がいい
トークイベント前日にがんばって描いたというスライド、子供がいる場なので紙芝居にしたという配慮にほっこり。トーク中に子供が転んだら声をかけたり、優しい一面も見られました。普段は公共の場で子供が騒がないように、余計なものを触らないように、気を張って見守っているお母さんたちが、ここではゆったり話を聞いていました。
カワグチマサミさんは大阪人の血が騒いでいるのか、トークにちょいちょい笑かしポイントを含めてお話し、聞き手も笑いながらウンウンうなずいて聞いていました。仕事育児家事を毎日している主婦にとって、ゆっくり座って人の話を聞くとなれば、そんなゆとりのある時間が久しぶりでちょっと居眠りしそうになるものなのですが、全くそんなことはありません。会場にいたお母さん全員、お話に惹きつけられて、「あるある!」と共感して、気がつけば時間オーバー一歩手前の熱量でした。
カワグチマサミさん流・子育て仕事の両立術
参考になることがたくさんありました。以下、おおまかなお話の内容です。
【フリーランスママって実際どうなの?】
■メリット:好きなことを仕事にできる、子供が保育園や学校を休んだときに対応しやすい、子供の成長に合わせて働き方を調整できる 等
■デメリット:収入が安定するまで時間がかかる、会社と違っていざというときの代理が見つかりにくい、会社員と違って社会保障などがない 等
【仕事のやり方を見直した理由】
妊娠中もお仕事を続けていたものの、医師より安静を指示される体調となり、泣く泣くお仕事をお断りしたそうです。産後はほぼゼロから仕事をするも朝から晩まで育児と仕事の生活で、子供が入園する前の2~3歳あたりで過労がたたり、救急車で運ばれる事態に。「家族も自分も大切にしたい」と思い直したそうです。それまで話をすることなく仲が悪くなっていたと思っていた夫が、倒れてから、実は心配してくれていたことがわかったそうです。
【ゼロから仕事を取るまでやった5つのこと】
1.情報を集めて分析する:最初は迷走しいろいろなタッチの絵を描いたものの、自分がしたい仕事をはじめからできたわけではなかったそうです。そこでコミカルタッチな絵が好きで、自分の得意なものは強みになると自覚しそこを強化していったとのこと。また同業の先輩、仲間、環境を作り情報を共有して、ご自身を確立されていきました。
2.実績を作る:フリーランスは会社の肩書きがない分、これまでの仕事を見られます。実績につながるバイトをしたり、知人の手伝いをしたそうです。
3.発信する:ホームページや名刺、ポートフォリオを作ったり、ネットやブログ、SNSで作品を発信したり、コンテストに応募したり、交流会に参加したり、積極的に発表しておられます。
4.営業する:雑誌社や広告代理店へ持ち込み、「この人、こんなにうちの会社と仕事したいんだな!」と思われるように提案してきたとのこと。仕事とれなくてメンタルやられそうなときも、断られても気にせず次!次!の精神でいくつも挑んだそうです。
5.リピートしてもらう:いただいた仕事を120%でやり、実績が次の仕事運んでくれるサイクルができたそうです。主婦として周囲に気遣いするのと同じように、クライアントの立場に立って思いやりを持って仕事をすると喜ばれ、次につながります。「結局、大切なのは”人”で、この人とまた仕事したいと思ってもらうことが大事」ということを強調しておっしゃっていました。
「この本も、編集さんと1年かけて作りました!パニックになりながらも、お互い信頼して仕事してきたので出来ました」と、見せていただいたのは近著「ゼロからわかる お金のきほん」というコミックエッセイ。トーク会場からご自宅が近いようで、まさかの自転車で数十冊の本を担いで持ってこられました。重いでしょうに・・・。商魂たくましい商人かと思いきやママチャリで登場という、アンバランスさがますますチャーミングです。
(軽妙な大阪弁につられ、買っちゃいました)
【家庭崩壊危機から心がけてる、仕事との付き合い方】
・最初から無理しそうな仕事はせず、せっかくのフリーランスなのでストレスフリーに!
・土日は休むようにする
・いざというときの外注先や託児所を確保する
・家族と仕事の目標、状況、夢を共有する:夫婦でもお互いの仕事を良く知らないもの、家族間でも報告連絡相談を。
・夫が慣れない家事や育児をしたとき、これからの成長を信じて感謝する:包丁も持たない夫がテレビ番組を見て料理して、実際にはイマイチでも「おいしかった」と言ったら、料理が趣味みたいになった!というまさかの逆転ストーリー。
・とにかくいっぱいの「ありがとう」を伝える:フリーランスの仕事をサポートしてくれるのは家族。お互い疲れている時に、相手に家事をしてもらったら可哀想に見えて「ごめん」と言ったら「みじめに感じる」と返されたそうです。それ以降は、何かをしてもらったら「ありがとう」の言葉がけにしているそう。
・仕事と育児を優先に 家事は手抜き、家電への投資:ドラム式乾燥機つき洗濯機の良さを熱弁しておられました。家電メーカーさん、カワグチマサミさんはきっといい広告を描いてくれると思いますよ!
旦那様とは離婚危機を迎えていたけれど、お互いが向き合う状態になったので修復できたという、ちょっといいお話も。離婚のことを調べれば調べるほど面倒くさいことが分かり、思いとどまったというホンモノのズボラぶりを発揮されて、結果めでたしだそうです(笑)
(質疑応答は、会場で手を上げて質問をするのではありませんでした。「みんなの前で質問するって、ちょっと照れくさい」という配慮から、スマホに文字打ち込みで質問投稿ができる仕組み!さすがデジタルハリウッド。)
フリーランスも会社員も、働く姿勢は共通
こうして聞いていると、フリーランスと会社員、立場の違いはあれど、仕事に対する姿勢は大きくは変わりません。むしろ家庭崩壊しないように働く話などは、どの母親にも共通しています。いえ、父親となる方にも、子供がいない夫婦にも、家族同士思いやりながら働くことって大切なのではないでしょうか。
「イラストレーターなんてギャンブルみたいな仕事」と言ってた実両親。著名になりお仕事がどんどん増えて、ご馳走をおごったときに喜ばれたそうです。お子様が幼い時に預けたこともあったそうですが、そうやって周囲に支えてもらって仕事をするのはワーママみんなに訪れる瞬間でもあります。
「小さい子供がいて、思うように仕事ができないお母さんを見ていると、支えたい気持ちになる」とおっしゃるカワグチマサミさん。ご自身のお子様は小学生となり、「子供の成長とともにお母さんも成長するし、仕事もできる事もやれる事も増える」という姿を見ていると、現在保育園児や幼稚園児を育てているお母さんにも励みになります。
(イベント後の交流会も大盛り上がり)
この春から仕事復帰するお母さん、これからお仕事をはじめようかと考えているお母さん、奥様が働いている旦那さん、お母さんが働いている子供たち、みんなもっと思いのままに一緒に暮らしていけますように!