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【綾瀬はるか】ROUTE 29【大沢一菜】

森井勇佑の監督・脚本によるロード・ムービー。鳥取市が舞台のひとつになっています。

ROUTE 29

ここでのROUTE 29とは、兵庫県姫路市と鳥取県鳥取市を結ぶ国道29号線のこと。
9月に鳥取市に帰ったとき、市内にちらほらとポスターが貼ってあるのを目にし、その時は「ふぅん、新しい映画の宣伝かな・・・・」と思っただけだったのですが、10月に「八犬伝」(山田風太郎の『八犬伝』 【役所広司、内野聖陽、土屋太凰、栗山千明】|Yuniko note)を見たときに予告編を見て鳥取市が舞台であることを知り、「これは見てみないと」と思ったのです。

<おもな配役>

中井のり子(トンボ):綾瀬はるか/木村ハル:大沢一菜/
赤い服の女:伊佐山ひろ子/森の父:高良健吾/森の少年:原田琥之佑/
じいじ:大西力/牧場の大きい男:松浦伸也/中井亜矢子:河井青葉/
時計屋のおばあさん:渡辺美佐子/木村理映子:市川実日子

ROUTE 29
宣伝チラシ表

監督の森井勇佑が中尾太一の詩集『ルート29、解放』からインスピレーションを得て、独特な脚本を書き上げて映画化した作品だそうです。
一言で言えば「不思議な映画」。ファンタジーのような出来事も起きるけど、全編ファンタジーかというとそれは違う。
そもそも、配役で紹介した登場人物のすべてが「どこかヘン」な人ばかり。
鳥取の街で清掃員をしている木村のり子が、仕事で訪れた精神病院で出会った女から、「もうすぐ死ぬ私のために、娘をここに連れてきてほしい」(と書くと悲愴な感じに思えるが、そんな要素も一切なし)と頼まれ、清掃会社の車を無断で拝借してルート29(国道29号線)を姫路へと向かう。そして「秘密基地」で暮らす木村ハルを連れてルート29を鳥取に向かうが、その途中に次々と不思議な人・・・・というより、どこか屈折したヘンな人に出会い、不思議な・・・・というよりヘンな出来事に出会いながら鳥取をめざす。
スリル、サスペンス、ホラー、お笑い、涙・・・・そんな要素もほとんどなく、ヘンな人々との出会いと別れ、ヘンな出来事との遭遇が淡々と描かれていく。
終盤に登場する木村亜矢子(のり子の姉)は、鳥取の田舎の小学校で子どもたちに慕われている先生。やっとまともな人が出てきたと思ったら、彼女も心の中に葛藤と劣等感と嫉妬と諦めをため込んだ屈折した人。

鳥取の街は、鳥取駅の構内やら駅南の駐車場やら、鳥取県立博物館やら鳥取砂丘やら、メインストリートの若桜街道やら久松山やら、いろいろと出てきます。鳥取の街をよく知ってる私から言わせれば「位置関係がめちゃくちゃ」なのですが、それは言いますまい。

見終わって思ったのは、「出てくる人はどこかヘンな人ばかり」だけど、実は私たちもみんな、心の中に人には言えない葛藤やしこり、こだわりを秘めながら、毎日を淡々と生きているのでは?森井勇佑監督は、そんな普通の人々の出会いと別れをロード・ムービーに託して描いたのでは、ということです。

もう一つ見終わって思ったのは、「これはたぶん、あっという間に打ち切りだろうなー」。
長岡市では11月8日に公開され、私は11月16日に見たのですが、公開後1週間で上映は一日に1回。その時の観客は3人。でも、11月25日までは上映してくれるようです。ちなみに三条市のイオンシネマでは11月21日で打ち切り。

気になったので某サイトで「ルート29」のレビューを見てみたのですが、多くは一つ星(☆)評価。「大学の映画同好会レベル」「よくこれだけのキャストを揃えて、こんな映画を作ったな」という評価までありました。
まあ、こうした不評も分かる。私はこの映画好きですけどね。鳥取補正がかなり入っているのは認めます。

ROUTE 29
宣伝チラシ裏

次回予告 ブリュッヘン&18世紀オーケストラ/10周年記念ガラ・コンサート

1991年に創立10周年を迎えた18世紀オーケストラ。ブリュッヘンの指揮でアンコール・ピースを揃えたガラ・コンサートを開きました。そのライブ録音です。

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