フランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラ / メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
ブリュッヘン&18世紀オーケストラがベートーヴェン交響曲全集プロジェクトの終盤に突然演奏&録音したメンデルスゾーンの交響曲。なぜ?と当時は思いましたが、これは名演です。
ブリュッヘン&18世紀オーケストラ / メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
ブリュッヘン&18世紀Oがこの曲を録音したのは1990年の6月。シューベルトの交響曲第5番と同時期で、初出時にも2曲がカップリングされていました。前にも書きましたが、このCDの発売を知ったとき、「え?ブリュッヘンはシューベルトとメンデルスゾーンも演奏するの?」と戸惑ったのを覚えています。
その後、古楽器オケを実演で聴き、その音響のあまりのか細さに「古楽器オケの熱演は録音の魔術もあるのかも」と疑問を覚え、ブリュッヘン&18世紀Oの演奏からしばらく遠ざかっていました。
その後、これも前に紹介した「創立10周年記念ガラ・コンサート」が復刻され、そこでの「イタリア」の第4楽章の演奏を聴いて、「これは本気の熱演だ」と思って、入手したのです。
正解でした。
演奏について
メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」は、メンデルスゾーンのイタリア旅行時の印象をもとに作曲されたと伝えられています。
イ長調を基本として作曲されており、イ長調も弦楽器がよく響くとされている調性です。晴朗でよく歌う第1楽章に特にそれを感じます。
憂愁漂う第2楽章と第3楽章は濃厚になりすぎることなく、ほどよい憂鬱さで歌われます。
そして、イタリアの民族舞曲サルタレッロで描かれた第4楽章。これが激しいリズムで襲い来る名演です。「古楽器オーケストラがこんな激しい表現が出来るのか」と目からウロコ状態です。もっとも先行する3つの楽章とのバランス感覚は今一つなのですが。
ひょっとしたら、ブリュッヘン&18世紀Oはこれをやりたくて「イタリア」をとりあげたのでは、とまたしても私の邪推です。
次回予告 フランス・ブリュッヘン&ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団 / ザルツブルク音楽祭1995 モーツァルト・マティネ
ブリュッヘンは1回目のベートーヴェン交響曲全集を完成させた後、現代楽器を用いたオーケストラからも招聘されるようになりました。これはブリュッヘンがザルツブルク音楽祭に招かれた際のライヴ。