フランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラ / モーツァルト:交響曲第39番&ベートーヴェン:交響曲第2番
ベートーヴェンの「英雄」の演奏するという目標を達成したブリュッヘンと18世紀Oが次に挑んだのは、モーツァルトの交響曲第39番とベートーヴェンの交響曲第2番。これで、モーツァルトの後期3大交響曲とベートーヴェンの初期の3つの交響曲集が完成。
ブリュッヘン&18世紀O / モーツァルト:交響曲第39番&ベートーヴェン:交響曲第2番
録音は「英雄」の翌年、1988年6月の録音。おそらくこの2曲が、この年の1回目のワールドツアーのメイン曲目だったのでしょう。
曲目の配列順からすると、モーツァルトの交響曲第39番が前プロ、ベートーヴェンの交響曲第2番がメイン。
ベートーヴェンの交響曲第2番は力のみなぎった名演と思います。弦楽器がよく響くとされるニ長調で作曲されているためか、これまでに録音された曲よりも弦楽器の鳴りがよいように思えます。一方、この曲にはスフォルツァンド(その音を特に強く)のついた和音が頻出するのですが、それらの和音も鋭く響きます。交響曲第2番のスケールの大きな演奏で、これを聴くと第2番が「英雄」に匹敵する大交響曲のようにも思えてきます。
となると、前プロの交響曲第39番が割を食ってしまった印象になります。第39番にはゆったりした序奏があるのですが、古楽器の弦楽器は構造上と奏法上の特性で音を長く伸ばすことが難しいため、序奏がややせっかちな印象になります。また、第41番「ジュピター」と同じく楽譜に記されたリピート(反復)をすべて実行しているために、少しくどいという印象になります。1988年のツアーではモーツァルトの第39番とベートーヴェンの第2番がメインだったかもしれませんが、それぞれ別の短い曲と組み合わせて2枚のCDとして発表した方が、第39番のためにはよかったかもしれません。
次回予告 フランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラ / モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲&交響曲第38番「プラハ」
モーツァルトの有名な序曲とメヌエット楽章を欠いた3楽章構成の第38番「プラハ」のカップリング。序曲も「プラハ」も天馬空を行くような名演です。