ピエール・モントゥー&ボストン交響楽団 / ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1951年録音)
モノラル録音ですがこれもすぐれた演奏。初演の指揮者ピエール・モントゥーによる演奏です。
ピエール・モントゥー
ピエール・モントゥー(1875.4.4~1964.7.1 ピエール・モントゥー - Wikipedia)はフランスの名指揮者。ユダヤ系ではあるが生粋のパリジャン。
「春の祭典」の初演者として有名だが、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」、ドビュッシーの「遊戯」など、20世紀の名作バレエの初演も手がけている。
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団、ボストン交響楽団、パリ交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、ロンドン交響楽団などの常任指揮者・首席指揮者を歴任し、彼が常任を務めたオーケストラはいずれも彼の任期中に黄金時代を迎えている。
温厚な人格者として知られており、「豊かで穏やかな音楽づくり」と評されることが多いが、Youtubeに上がっているボストン交響楽団とのリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」、交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、交響詩「英雄の生涯」のライヴ(R. STRAUSS | MONTEUX | BOSTON SO LIVE - YouTube)を聴けば、決して穏やかなだけの音楽ではなく、豪快な力技やエッジの立ちまくった切れ味鋭い演奏も得意だったことが分かる。
また、生粋のパリジャンでありながら、ベートーヴェンやブラームスなどのドイツ本流の重厚な音楽も得意で、評価も高かった。
モントゥー&ボストン響の「春の祭典」
この録音の価値は、初演者ピエール・モントゥーが自ら手塩にかけて育てた一流オーケストラを指揮して録音したことですが、それを差し引いてもすぐれた演奏と思います。
モントゥーは名作バレエの初演を数多く手がけていることを前に記しましたが、この演奏でも場面転換が実に巧みです。
これ見よがしの大音響や、極端なデフォルメなどの外連味は一切ありません。
作曲者のストラヴィンスキーはロシア人です。「春の祭典」は原始時代のロシアを描いた音楽ですが、その一方でパリで初演されたバレエ音楽でもあることを思い起こさせてくれる演奏です。
次回予告 ユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団 / ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1955年録音)
レオポルド・ストコフスキーの後を受けてフィラデルフィア管弦楽団の音楽監督を務めたユージン・オーマンディによる演奏。これもモノラル録音ですが、すさまじい演奏です。