誕生日の朝に
ごくごく私的な文章を。
ぴかぴかに晴れた外を、黄色い花に見せようとカーテンを開けたら光が部屋の奥までさしこんできた。
カーテンってあけなきゃだめなんだな。
朝のラジオが「12月21日です」と言うたびに、必ず聞き取ろうとしてしまうのは何かのおまじない?
毎日誰かの誕生日をお祝いしているDJが、「次の番組の○○さん(ベテランDJ)も今日がお誕生日です!」って言うのを聞いてブフォッと吹き出す。
これが終わったらいつも消しちゃうんだけど、まさかそんな縁があったとは。
部屋も自分も暖まる前に、顔に化粧水をつけたり食器を片付けたりパンをトースターに放り込んだり……、ちょこちょこと動きたがるのを我慢して、ストーブの前でじっとする。
今日もいい日かなあ。たぶんいい日だろうなあ。
とりとめもなく動いていく頭をラジオが時間通りに運んでいく。
朝ごはんを食べて、歯を磨きながら本を読む。村田沙耶香『殺人出産』。昨日読み始めてこわくて面白くて止まらなかったやつ。
10人産んだら一人殺していい世界の到来。
命を産むために犠牲になること。
人を殺したいなら、10人産みだすこと。
「あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかないわ」
「流れる時の中で世界はグラデーションしていて、対極に思えても二つの色彩は繋がってる。だから今、立っている世界の『正常』が一瞬の蜃気楼に感じるんです」
私は自分のことを未来から来たと思っているけど、本当の未来人とか未来を語れる人ってこういう人なんだろうなと思う。
昨日の夜、義両親の家から帰る車の中で妹が泣きながら電話をかけてきた。
ついに、「そちらには住まない」ということを、夫婦で話し合ってきた順番でおだやかに伝え、話し合いを開始しようとしたところ、「嫁は黙ってて」と義母に言われたのだという。
私は、妹の声をかき消すほどの大声で繰り返し「ムカつく!!!」と叫んだけど、それも含めて、「○○家はどうなるんだ」とか「墓守は」とか、「長男に産んでしまったばかりに背負わせてしまった宿命を申し訳なくは思っている」とか、一体何時代ですかってか異世界すぎてもはや爆笑。
いや、令和的に言うと、草も生えなくて枯れ木? だっけ?ww
一方で、妹のまっすぐさ、健康であること、自分を大切にして守っていること、そのまっとうさがまぶしく、感動して、圧倒されて、私は自分の力を出さずにはいられないと思ったよ。
そうしたら、さっき引いたカードに書いてあった。
自分のパワーを出すことを惜しまなくていいんだって。
助けられているし、願いはかないつつあるからその前兆を見つけていけばいいんだって。
だから、私が昨日妹に言った「大丈夫だよ」の言葉は、妹と夫と、それから自分に向けても言っていたんだろうな。
じゃ、ごはんが炊けたからおむすびを作って、化粧して、食べて、出掛けようかな!
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