地元愛
1年ぶりに地元に帰った。1年前は2日ほどしかいなかったので1週間もいるのは2年ぶりになる。
私の地元は田舎。交通の便は悪いし、遊ぶところもない。高校卒業後、こんな田舎から出たくて、都会に憧れて、上京した。あれからもう5年も経ったと思うと、本当に時が経つのは早い。
都会の便利な生活にもすっかり慣れた。電車の車両が長いのも、人を避けて歩くのも普通になった。都会は刺激的で、イベントや展示会にもすぐに行ける。まわりに頭のキレる人が多くて、将来のこと、未来の日本や世界のことについて議論したりすることもある。地元にいたころなんて、(まだ子どもだったからかもしれないが)、テレビのニュースの世界と自分の世界は別物のように感じていたし、旅行で行った東京は未来都市のようだった。
地元に帰ると大抵実家でのんびりする。たまに外に出ることはあっても、学生時代の友達に会うことはほとんどない。なんか億劫だし、もう話も合わないだろうし、なんて理由づけしてかなりの人と疎遠になってしまった。
なので今回中学校の同級生と集まることになったのは珍しいことだった。久しぶりに会った友達は、皆当時と変わってなかった。いつのまにか標準語と方言を使い分けて話すようになってしまった私は、心から方言を自由に話している友人が羨ましかった。そして、そうゆうふうに友人を見てしまう自分が悲しかった。もう、あの頃のように喋れなくなってしまった。
会うのは卒業ぶりという友達も、あの頃と変わらず話してくれた。とにかく楽しくて、みんなとてもとても優しかった。何気ない気遣いを当たり前にできて、世間体とか恥ずかしさなんて気にしてなかった。荷物持ってくれたり、タクシー探すの手伝ってくれたり、その何気ない気遣いが嬉しくて本気で涙が出そうだった。
友達だけじゃない。カフェの店員さん、バスの運転手さん、交通整備のおじさん。その人たちと交わす何気ない一言が暖かくてほっこりした。住んでいたあの頃は田舎だと馬鹿にしていたけれど、この土地らしい人の優しさとゆったりとした時間が恋しくなってしまっていた。
いつかこの町でも「人が集まる場所」を作るのが私の夢である。繋がるカタチは変わっても、直接会って、話して、笑う、その暖かく優しい空気を作りたい。
※2年前に書いたものです。
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