それでもアナタがいいのです。Byあなたの飼い犬


わたしの帰路に、玄関前につながれっぱなしの白い犬を飼っている家があった。
そのワンちゃんは、極寒の日でも、熱中症になりそうな日でもずっと外にいた。
しかも骨が浮き出るくらいガリガリに痩せていた。

わたしは帰る時に、車からよく様子をみていた。
「またこんな日にも外につなぎっぱなしで…
どんな飼い主なの?虐待してるじゃん。絶対。
いつか通報してやろうか。」
あの子を見る度にそう思っていた。

実際に、警察への電話番号をいれてあとは
ダイヤルボタン押すだけのところまで行ったが、
一応ネットで『虐待 動物 警察』と調べた。
すると、通報してその子が幸せになるかと言われると、そうではない事実があることがわかった。

もし、里親が現れなかったら、保健所行きで
殺処分。
通報はやめた。

でも、その家の前を通る度に怒りは収まらず、
寝る前にもその子のことが浮かぶ日々。
「どうすればいいのか。あの子はどうしたら救えるか。
…いや、あの子はガンで痩せてしまっただけだ。」と
自分の都合のいいように解釈して、溢れ出そうになる怒りを抑えた。

ある日、ジョギングでその家の前を通ると
飼い主がその子のそばにいるところを見かけた。
1発大文句言ってやろうかと思ったが、
それもやめた。
その子が、飼い主に向かってしっぽを振っていたから。しかも笑っているようにも見えた。
その子はわたしを見つけると唸った。

その時に、『どんな状況であれ、犬にとって飼い主はたった1人だし、そこのおうちは犬にとって幸せな場所なのかもしれない』と。

それから、わたしはその子を見て帰るのをやめた。
モヤモヤしてしまうから。
暫くして、少し気持ちが落ち着いたときに見てみた。
その子はいなかった。
おそらく亡くなったのだろう。
あんな環境で暑さと寒さに耐えなくて済んだことに、ホッとしたような。何もできなかったことを
悔やんだり複雑な気持ちになった。

ジョギングでそこを通るたびに毎回あの子のことを
思い出す。
もし、自分が引き取って救ってくれるか?と
聞かれていたら救えなかった。
うちには猫もいるし、賃貸アパートだし、養える余裕もなかった。

それが悔しくてたまらなかった。
何もできなかったのが本当に悔しい。

あの子を見かけてから、虐待を受けているのではないかという疑いがある子を里親が見つかるまで
懸命に世話ができる施設をつくりたい、
そういう会社をつくって全国に設置したいとか。

こんな言い方したら、あの子に悪いかもしれないが
あの子のおかげで、そういう考え方が増えた。
バカでかい夢ができたといううか。
そういう子を救えて、最終的に殺処分される子が
ゼロになればと。


クレヨンしんちゃんをみていて
シロが出てきてあの白いワンちゃんを思い出して
文字に残したくなったので書きました。
本当に全世界の動物たちが、苦しくて痛い思いも
しない生活が送れることが夢なんです。

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