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23-24シーズンのおもひで②

千葉ジェッツ
(2024/07/14・記)


千葉県民だからね。
だからなんだ。千葉ジェッツを応援しているんじゃないのか。だいぶ様子が違うようだが。
そう、千葉ジェッツを応援しているはずだったのだ。と、いうか、応援していたような気がするのだ。まだ「応援」という感覚が定かではなかった頃は。2023年夏のW杯をテレビで見て、バスケって面白い!Bリーグも観てみたい!とキラキラと目を輝かせていた頃は。

何がどうしてこうなってしまったのかわからない。
宇都宮ブレックスvs.千葉ジェッツのクォーターファイナル、どちらを応援しましたか?
宇都宮ブレックスです。
琉球ゴールデンキングスvs.千葉ジェッツのセミファイナル、どちらを応援しましたか?
琉球ゴールデンキングスです。

おい、千葉ジェッツは?
千葉県民だからね、って言ってなかったか?千葉ジェッツのホームタウン、船橋市は隣の市だ。地元と言っても過言ではないだろう。
しかしワタシは、中学から都内の学校に通ってしまったため残念ながら地元に疎い。我が最寄駅に西友があるという局地的な誇りはあるが、地元で知っていることと言えばそれくらいだ。
ちなみにもちろん、中高大と通い続けた東京という大都市に愛着などない。すまない、アルバルク東京にサンロッカーズ渋谷。

サンロッカーズ渋谷に至っては、昨シーズンは結局1試合も観に行けなかった。違う、これは渋谷という人混みシティに嫌気がさしたからではない、決して。行きたい気持ちはあった、ずっと。田中大貴選手の顔ファンだからな。
我ながらクソだ。しょせん顔ファンだから現地にまで足を運ばないのでは?と言われても致し方ない。でもそんなことはない。ちゃんと現地でこの目でしかと顔を見たいとおもっている。
いや、まずバスケを観ろ、バスケを。

バスケを観れなかったんだよ!現地で!アリーナで!ホームで!
千葉ジェッツは!!!

千葉ジェッツはあまりにも人気だった。おそろしく人気なのに、ホームである船橋アリーナの収容人数は5,000人かそこらだった。
さらにチケットは、課金した者たち=ファンクラブ会員の、さらにランクが上の者たち=より多く課金している者たちから先行販売される。
いくら隣の市に住んでいようと、ファンとしてビタ一文も払っていないワタシがチケットを手に入れるのは、非常に困難を極めた。いや、ファンではないけど。
先行販売で早々に売り切れる試合もあったくらいだから、ファンでもないただの一般民にはチケット購入の機会さえ与えられないこともあった。おそるべし千葉ジェッツ。
船橋市って田舎のかほりもするけど、首都圏だからな。そもそもヒトがたくさん集えるんだよ。

そんな大人気・千葉ジェッツは強豪チームだ。2022-23シーズンは惜しくも優勝を逃したけれど、準優勝でチャンピオンシップを終えたし、レギュラーシーズンでは連勝記録を打ち立てたり最高勝率を記録したりと、ぶっちぎりで無双していた。
そういえばチャンピオンシップ決勝前に、富樫選手が「普通にやれば勝てる」とコメントして界隈を騒つかせていた。W杯前で、バスケにもBリーグにもさほど興味のなかった当時のワタシですら富樫勇樹の名前は知っていたし、その出来事も耳にしていた。それくらい、千葉ジェッツも富樫選手もすでに有名だった。

その富樫勇樹に加えて、彼と同じく2023年夏にW杯日本代表として戦った原修太選手も所属しているのが千葉ジェッツだ。どっからどう見ても人気が出るに決まっている。彼らを見たくて、より多くの人々が船橋アリーナへと詰めかけるのはわかりきっている。
ただでさえ富樫勇樹なんてBリーグの顔だ。知名度も人気も、日本のバスケ選手のトップスリーに絶対に入る。ワタシでさえ知っていたくらい、Bリーグでいっちばん有名な選手だった。

W杯での日本代表の躍進を追い風に、千葉ジェッツのチケットはさぞ飛ぶように売れたことだろう。
さすがジェッツ、まるで飛行機のように、あっという間に大空の彼方へと飛んで行った。待ってくれ。そんな速く、遠くまで行かないでくれ。まだ一度も観たことがないというのに!

ええ、結局、最後まで観れませんでした。
ウソです、観ました。さいたまスーパーアリーナで、天皇杯決勝を。あと、アルバルク東京のホーム・代々木第一体育館で。あそこは10,000人は入る。それでも完売はしていた。おそろしい。いや、素晴らしい。今すぐにでも、船橋に10,000人収容アリーナが必要だ。
そう、できたのだ、アリーナが。LaLa arena が無事完成したのだ。今シーズンからは主にそこで試合が行われる。10,000人は軽く入るらしい。良かった。

しかーし!なんと!今シーズン!大スター☆渡邊雄太選手の千葉ジェッツ加入が決定した!
マジかよ。オーマイガッ!と叫びたい。頭を抱えたい。強すぎるだろ、千葉ジェッツ。いや、そうじゃない、そうだけどそうじゃなくて、アリーナの話だ。そうなると話が変わってくる。試合によっては、10,000人収容でも収まりきらないことだってあり得る。

だって渡邊雄太だぞ。世界最高峰のバスケットボールリーグ・NBAに6シーズンもいたんだぞ。もちろん日本代表だ、エースだ、大黒柱だ。
見たいだろ!!!渡邊雄太を!!!ワタシは見たい!!!きっと皆んなも見たい!そうだろう!
というかもう、アナタにも見てほしい!ワタシはまだ見たことないけど!

さらに、10月から開幕するレギュラーシーズン、千葉ジェッツのホーム開幕戦の相手はなんと、宇都宮ブレックスだ。
昨シーズンのチャンピオンシップ、優勝候補筆頭の宇都宮ブレックスを相手にダブルオーバータイムの激闘の末、見事勝利を収めた第3戦は記憶に新しい。また、天皇杯・準決勝でも前半の最大20点差をひっくり返して宇都宮を撃破している。因縁ってヤツだ。宇都宮からすればもはやトラウマの相手だ。
そして、千葉ジェッツが富樫・渡邊というオリンピック日本代表コンビを擁するなら、一方の宇都宮ブレックスには同じく日本代表の比江島慎選手がいる。
10,000人で足りますか?足りません。

今シーズンも一般民のワタシは、きっと、おそらく、十中八九、開幕戦のチケットは取れないだろう。ホームでGO JETS! をすることはできないだろう。
いや、宇都宮が相手なら、たとえ千葉のホームだろうとどこだろうと、GO JETS! はできない。ぜったいに、レッツゴーとちぎ!をする。
いつの間にか、そうなってしまった。
千葉県民なのにね。

もし、ホームで、船橋アリーナで、GO JETS! をする機会が一度でもあったら、違っていただろうか。
どうだろう。バスケットLIVEに加入するきっかけとなった、島根スサノオマジックvs.千葉ジェッツの試合をYouTube配信で見ていた時でも、気づいたら島根を応援していた。もしかしたら、千葉ジェッツの勝利を願う未来は、とても小さくなっていたのかもしれない。その時すでに、横浜や宇都宮の試合を観に行ってはいたから。

何がどうなるかなんて、わからない。
でも、どの未来に進んだとしても、W杯のあの日あの瞬間、衝撃から始まったバスケへの興味は尽きることなく、面白くてたまらないとバスケを追いかける現在が変わることは、きっとないだろう。

今年もまた、夏がやって来る。
自らの力でオリンピックへの切符を掴み取った昨夏の沖縄を経て、彼らはパリに向かった。

もう間もなく、パリオリンピックが始まろうとしている。

チャンピオンシップ・クォーターファイナルで、目の前のディフェンスをものともせず悠々とスリーポイントシュートを放った富樫勇樹を、あの瞬間の凍りついたような絶望を、今でも鮮明に覚えている。おもいだすたび未だに一瞬、吸い込んだはずの息が止まって胸が詰まる。
あれさえ無ければ。あれが外れていたら。
試合の終了間際を狙って正確にスリーを沈めてみせた富樫勇樹が飛び跳ねて喜びを爆発させる姿を、少なくとも今は、決して忘れることはできない。

そんな彼は、今年の夏も日本代表の12人に選ばれて、キャプテンを務める。
勝利を願うチームに、あの富樫勇樹がいる。そのことが、ものすごく嬉しい。心強い。心の底から彼の活躍を、勝利を願えることが、楽しい。
日本代表チームの、パリでの活躍を願っている。ベスト8という目標が達成できるように。どれだけ難しいか、少しくらいなら想像できる、それでも。
富樫勇樹のシュートに何度も何度も衝撃を受け、時にぽかんと口を開け、時にはおもわず笑ってしまったように。
彼が、彼らが、世界を驚かせるその瞬間を、信じている。

そして、船橋に帰ってきた富樫勇樹を、今シーズンこそ絶対に観に行きたい。ミーハーだろうとニワカだろうと、GO JETS! ができなかろうと何だろうと、他の誰でもない、日本を代表した富樫勇樹を、観に行きたい。行かなきゃいけない。

昨年の夏、バスケの面白さを教えてくれた日本代表選手ひとりひとりに、あの日からずっと感謝している。その気持ちを込めて、試合を観に行くと決めた。単純にバスケも選手も観たかったし、感謝を伝える方法がそれしかおもいつかなかった。だけど、千葉ジェッツのホームには行けなかった。だから。
今シーズンは絶対に、ホームアリーナに行きたい。

富樫勇樹がいて、原修太がいて、渡邊雄太がいる。これから千葉ジェッツは、どんなチームになっていくのだろう。
いつかのその試合でGO JETS! をする、そんな未来はどこかにあるだろうか。
何てったってとりあえず、千葉県民だからね。

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