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おしゃれな人に憧れる話

ドトールにおしゃれなおじいさんがいた。

紺色のハンチング帽子に、細いフレームの眼鏡。うぐいす色のセーター。
そして小指にはシルバーの曲線が特徴的なリングをはめている。

幾何学模様デザインのスカーフをシルバーのスカーフどめで留めているので指輪との統一感もある。

HERMESとか、こんな感じの紺色と黄色の綺麗なスカーフ売っているのかな、とぼんやり思いながら、色合わせの美しさに魅入ってしまった。

足元は黒のタイツに、
黒革の穴が空いているデザインの靴。
(メダリオンハイカットブーツっぽい。調べると。)

ボトムスは、紺色のDickiesの七部丈に近い、太めのストレートズボン。

東京の郊外にあるドトールで、いきなりヨーロッパのダンディな佇まいの人が現れたので驚いてしまった。仮にここが代官山だとしても、彼のオーラに惹かれる人も多いだろう。

さらに、最高なのが宮沢賢治についての本を読んでいるところである。おしゃれで知的。しかも宮沢賢治というあたりが、もう生き様を見せつけられて圧倒した。

彼が立ち上がり身支度をする。パープルの横長のトートバッグ。ベージュの手触りの良さそうなコートを靡かせる。

男性でパープルのバックを持つという美しさ。バックの中には紫色の花束が入っている。まるで、雑誌の撮影でスタイリストがいるのか、と辺りを見回したくなるほどであった。

去り行く彼を見ながら、
流行に流されない、一つ一つ身につけるものに自信を持って選択している生き様のようなものを感じた。

一方で私はピラティスの帰りで毛玉のできたナイキの黒いジャージ、ユニクロのウルトラライトダウンだった。

すっぴんだし、我ながらダサいなと思い少し落ち込む。

でも、冴えない自分を責めるよりも、日曜の朝から運動をした自分を褒めよう。

心の底で羨ましく思い、いつか私も彼のような自分のスタイルをもちたいと思った。

何気ない出会いから得られた気づきに感謝。

最高じゃないか。

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