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自由を求めるようになったきっかけ

手に職と言われた就職氷河期時代

 私が診療放射線技師を目指すようになったのは、正直なところなんとなく就職氷河期時代に必要なのは「手に職」だと思ったから、とゆう理由がかなり強いです。

中学、高校生時代は勉強が嫌いでした。ずっと家で漫画を読んだりゲームをしている事の方が好きで、勉強をするのは親に言われたからしているという感覚でした。毎日のように学校が終わればゲームを持っている友達の家に行き、夕方まで遊ぶような生活をしていました。成績はそれほど、悪い方ではありませんでした。性格からなのか成績に関する危機感は小さい頃から持っており、「テストで低い点数をとることは悪いこと」とゆう思想は子供の頃から両親に教え込まれていたと思います。

両親は決して世間一般からすれば高い地位にいるような人間ではなく、父親は自営業を営んでおり、裕福な家庭ではなかったためか「お金の大切さ」に関しては毎日のように家族団らん時に言われたものでした。「医者や弁護士になってお金を稼ぐんだ」とゆうのが父親の口癖でした。

 高校3年生の夏、私はまだ自分の進路が決まっていませんでした。高校入試に失敗した僕は高校生時代は成績に伸び悩んでいました。中学校時代は努力しなくてもある程度勉強ができてしまったので、悪いことだけ踏襲し高校時代は”遊び"と"部活"中心の生活を送っていました。案の定成績は下がり続け、なんとなくそこそこの大学へ行き「入ってから進路を決める」とゆう先延ばしの人生にピリオドが打たれてしまいました。

答えが明確に出る数学や理科は好きだったので、漠然と理系の大学を目指していた僕は「手に職」とゆう甘い言葉にそそのかされ地元の放射線技師養成学校を目指し”なんとなくノリで”将来の進路を決めてしまいました。

その時の僕は「免許さえ手に入れば一生安泰だ、社会的なステータスも高いし俺は勝ち組だ」と思っていました。軽い気持ちで考えていた僕は就職後その考えを打ち砕かれることになります。

結局、一浪して都内の診療放射線技師学校に通うことになります。大学生活は華やかなものだと考えていた僕は愕然としました。ほぼ毎日1~5時限まで授業があり(年次によっても差はありますが)、更に毎週実験しレポートを提出する。3、4年時は実際に現場(病院)へ行き実習を行う。こんな辛いことがあるのかと、免許を取るということはこんなに大変なものなのかと疲弊する毎日を送っていました。

コメディカルという職業は比較的裁量権が少ない

 無事大学を卒業し就職をした僕ですが、職場環境が合わず何度か転職を繰り返します。その時に興味を持ったのが「放射線治療」という分野です。もともと数学、理科が好きだった僕はとっつきにくい物理学の世界にすんなり馴染め更に興味を深めていくこととなります。比較的年の近い先輩がいた事や、同級生が存在したとゆうことも大きいです。

放射線部門は大きく分けて「放射線診断」「放射線治療」に分けられます。

放射線診断部門で働いている技師は

「病気を見つけやすい医用画像を医師に提供」することが仕事です。

通常、診療放射線技師は医師、看護師、薬剤師などと違って患者を長い目で見届けることができません。検査を担当する技術者であるため検査内容には詳しいですが、その患者がどういった病状で病院にかかっていて、どういったライフスタイルで暮らしていて、どのように治療方針を行っていきたいかまではほとんど知りません。また治療方針について意見したりすることもほとんどありません。

一方、放射線治療部門の技師は

「患者への適切な高エネルギー放射線の投与」をすることが仕事です。

となります。(一般の人にもわかりやすいようめちゃくちゃ簡単に定義してます)厳密には「医師の指示のもと適切な処方線量の照射、照射装置の品質管理」です。医師によって正当化された放射線量を、技師が最適化して患者に投与します。

放射線治療は一度きりの治療ではなくある程度幅のある期間行います(”毎日適切な量の放射線を病気へ投与”することが多い、例外もあります)。なので、毎日接することが出来る分、患者が今なにをどう思って生活しているのかとか、苦労していること、喜びを感じていることなどをある程度共有することが出来るのです。また、放射線治療医の近くで働いていることが多いので、比較的裁量権が多い仕事となります。カンファレンスで照射法に関して意見を出し合ったり、今日患者と話したことを共有することも可能です。また照射装置に関しては完全に診療放射線技師の裁量により品質が担保される非常に重要な業務です。

幸福度が最大化する仕事とは

 幸福度が最大化されるためには僕にとって何が重要なのかを考えた時、「労働時間」と「仕事に対しての裁量権」でした。病院で働くとゆうことは規律を誠実に守らなければいけない軍隊に近いのです。法律を絶対として罪あるものは裁かれます。中学~大学生時代と何も変わっていません、むしろ最たるものではないでしょうか。

就業時間中は集中力を全力で注ぎ、規律正しく生活をし、全員が全員同じ行動をするのが美徳とされ、道を外れたものは徹底的に叩かれます。部門内での裁量権があるのは管理職だけで、平社員はただのコマです。規模が大きい病院ほど情報は幹部だけで回され末端には共有されません。目の前の患者を救うことの使命感を煽られ、実は裁量権が奪われていることを気づけないのです。

診療放射線技師とゆう職はただでさえ患者に対しての裁量権が少ないにも関わらず、部門内でも抑圧されるような立場であるためストレスは非常に多いのです。ホスピタルカーストの中でも比較的低い位置にあり、特に看護師には頭があがりません。

また、病院には休みが存在しません。入院患者や救急患者が存在するからです。よって夜勤が必然とゆうことになります。僕は夜勤が苦手です、一度夜勤に入ると1週間程度身体のリズムが壊れます。僕の病院では月に2回ほど夜勤があり、約1回ほど待機(急患対応で複数名技師が必要になった場合ヘルプとして仕事をする)があります。よって1ヶ月のうち体調が万全で居られるのは最低を見積もると1週間しか無いわけです。

さらに、「医療職であるなら研究をすべき」と上司から尻を叩かれます。僕もこれに関しては反対ではないです。

しかし、

”給料が発生するなら”です。

患者を救って社会貢献をすることに関してはまったく僕も同じ意見です。ですが残念ながら研究はマネタイズしにくいのです。薬屋が協賛している勉強会などのスライド作りなら多少お金が発生するみたいですが、正直微々たるものですし費用対効果が見合っていないかと思われます。しかも、これに再現性はあまりなく万人の技師が出来るかといえばそれは”否”とゆうことになってしまいます。所属している病院でそもそも依頼自体が来ないこともあります。多くの職場では関連学会に発表するための交通費を支給してくれる程度が多いのでは無いでしょうか。

加えて、

認定資格をすすめられる

永遠の課題です。診療放射線技師が取得できる認定資格に関して病院の収益に直結する資格がありません。(以前、粒子線治療の項目で医学物理士の記載がありましたが、今年度の改定で削除されてしまいました)

そもそも受験資格が関連学会に所属しないといけないものがほとんどです。関連学会の年会費、講習費、旅費、取得してからの更新費。一つだけならまだマシかもしれませんが意外に複数所持している人多いのです。

頑張れば頑張るほど貧乏になり、ついでに時間も搾取されるのです。まさにスーパーサラリーマン(社畜)笑 しかもなぜか取得や研究をうながしてくるのは技師免許しか持っていない層です。この辺が病院の闇を感じます。一体僕らは何のため、誰のために働いているのか。

もう一度自問自答する、自分自身の心と対話する時が来たのではないでしょうか。

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