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黄昏

 晴れ渡った秋空。しばらくはこうした好天が続くらしい。土日のどちらかは、ロードバイクに跨って走ってきたいなーなんて思ってる。だから、どうかこのお天気が続きますように。
 刈り入れが終わった田んぼには、天日干しのハザ掛けが作られていたり、機械で脱穀してしまった後のものを俵形に圧縮したやつが転がっていたり、いかにもな秋景色。

 農家の人間ではないので詳しくはないけど、刈り取りの機械はコンバインが主流で、これは稲刈りをするだけではなく、脱穀や選別も同時進行でやってしまうそうだ。でも、稲刈り機(バインダー)を使って稲刈りをし、その後ハーベスターという機械で刈った稲を籾米にするやり方のもある。で、天日干しの方は、ハーベスターで刈っただけのものを干すわけね。手間はすごくかかるけど、お米の味は良くなるらしい。また、脱穀が終わった後の茎や葉を俵型に圧縮してるのは、これを発酵させて牛の餌にするためなんだそうだ。
 ちなみに、日々いただいているお米は、バイト関係でお知り合いになったおばちゃんたちからのいただきものだったりする。ありがたいことに、ここ数年お店で買うのはほんのわずか。天日干ししたいただきものの新米の美味しさはハンパではない。みなさまに感謝です。

 で、日が短くなり始めたこの頃、5時台になるとあっという間に黄昏時に。
 広々とした田園地帯の周囲の山裾の家々に点々と灯りが光りはじめる。
 黄昏=たそがれとは「誰そ彼」。人恋しくて薄闇の中で人を探す。けれど、誰が誰だかわからずに大事な人も見失う。そんな時間帯だと、昔の人は言ったらしい。電気などなかった時代だと、何だかわかるような気もする。


【台所日記】
 新しいメニューに挑戦!ポークビンダルー、インド中部のゴア地方のカレー。
 スパイスカレーの制作に凝り出して2年くらい。どんどんレパートリーを増やしたいお齢ごろ、笑。基本のスパイスカレーの作り方をベースに、次のような点に留意。トマト多めにする。酸味の強いやつがいい。豚肉は角切りにして半日以上スパイスとワインビネガーでマリネする。柔らかくなるまで40分くらいはしっかりとトロ火で煮込む。仕上げにタマリンド。酸味と甘みの好みはここで最終調整。場合によってはビネガーを足して酸味増し。そんな感じですかね。いや、それにしてもタマリンドは最強。この上品な甘味と酸味は他にはない感じ。
 写真1枚目はKALDIで市販されてるレトルトのルーで作ったやつ。それを食べた結果、ここはこうした方が美味しそうだぞって改良したのが2枚目のやつ。
 改良ってのは、単に私のイメージや好みに寄せたってこと。パプリカを多くして色合いの赤みを鮮やかに。それから、具が豚肉だけってのが寂しいので、煮崩れしにくいニンジンも加えた。あと、酸味爽やかなテイストが増すようにパイナップルも。で、どうだったでしょう。
 いや〜、良い!パイナップルと仕上げで加えたタマリンドのペーストの酸味と甘みが溶け合って何とも美味しいね。これはカレーというよりも、スパイシーなトマトベースのトロピカルなシチューって感じね。

 ところで、インド人ってほとんどがヒンズー教徒なはず。なので、豚肉は御法度なんじゃない?と思った。でも、調べてみて豚肉使用がOKな理由がわかった。
 このカレーの発祥地のゴア地方は、16-19世紀、インドのスパイスをヨーロッパに向けて積み出した港があった場所。そこに居住していたポルトガル人が作り始めたのがこのカレーだそうだ。だから、豚肉使用は問題なし。ついでに言うと、ワインビネガーを使ってたり、油もギーではなくオリーブ油だったりする。「欧風」ってことね。歴史上初の「欧風カレー」だったのかもしれないなあ。


【音楽室】
 初期ポストロックの雄、スコットランドの Mogwaiです。
 静寂と轟音の対比みたいなポストロックの初期様式を確立したバンドとして有名なんだけど、それと同じくらい心惹かれるのは、このバンドの楽曲ほぼすべてから伝わってくる哀しみのトーン。世界はあまりに傷つき、人々はそのど真ん中に佇んでる。そんな感触。
 賛否両論あるらしいけど、このバンドはかなり明確に自身の政治的立場を表している。スコットランド独立とか、反ネオリベラリズムとか、反貧困とか。そういう社会問題に積極的にコミットしてきているみたい。
 高校の時、新木場コーストにライブを聴きに行ったんだけど、轟音パートに入った時の凄まじい音圧に圧倒されたっけね。ああ、また行きたいなあ。

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