役者・佐藤二朗の凄さを知った
「鎌倉殿の13人」を見るまで、わたしは13人の合議制に名を連ねた御家人の半分も知りませんでした。歴史は好きだけれど、源頼朝という人物があまり好きではないことに連動して、日本史の中でも江戸末期から明治維新の次に鎌倉時代が苦手。人の名前も覚えられないので、ドラマが始まる前に人物相関図を見たりNHKから出ている公式本を読んで予習したほどです。
なので比企能員という人物も、名前なんて読むの?レベル。
この比企能員を演じているのが佐藤二朗さんなのですが、わたし、これまでの佐藤二朗さんというと「勇者ヨシヒコ」の仏しか知らなかったんです。いろんなドラマや映画に出演されてるのは知っていますが、どれも見たことがなくて。
あ、「歴史探偵」は夫婦揃って大好きな番組なので欠かさず見ています。
そんな感じでしたから、“めっちゃ悪い顔で笑う佐藤二朗”を「鎌倉殿」で初めて見たのです。衝撃を受けました。
見てください。ドラマの中ではトップクラスの小者なのに圧倒的邪悪なこの表情。「ヨシピコ〜」と言ってふざけてる(ようにしか見えない)仏との乖離が凄い。え、こんな顔もできるんだ、と。
比企一族を守るため、そして御家人たちの中で発言力を増していく中で、その内に育まれた強大な権力への欲。初めは何を考えているかわからない胡散臭いおっさんだったのが、だんだん腹黒さを隠しきれなくなり、ついに義時の前で己の欲を吐露した場面での狂気を孕んだ表情に鳥肌が立ちました。
昨日の放送でついに討ち取られた比企能員。最後まで役者・佐藤二朗の凄みを見せつけられました。これを超えなきゃいけないなんて、今後、比企能員を演じる役者さんは大変だわ。
そう思えるくらい、今回の比企能員の退場は佐藤浩市さんが演じた上総介の退場と同じくらいインパクトがありました。
悪い佐藤二朗をもっと見たい。