動物園に図鑑はいらない
猿山で猿になった私は
猿の一味として彼等に迎えられた
赤子を抱いて眠るお猿さんに
あさのおはようのあいさつから
はじめましょうね
そうパンフレットにはあったけど
言葉が通じない彼らに
悪意のない「おはよう」を伝えるのは
六法全書の暗読よりなんぎ
どうすればいいかわからない私が
きょろきょろすると
山のてっぺんに居座るサルと目があった
そうよ、目があって
目の奥で伝えて、訴えかけてみることなら
何よりも得意だよ
ここで演技の経験がいきる
猿無視
なんて酷い猿なの
私の目から
悪意をもたらす虚偽と怯えを
全て取り払ってしまうために
カラコンを入れてみる
猿と挨拶するためのカラコン
動物図鑑に書いてよね
言っとくけど
ひとえの子はやっぱり無理だよ
彼らみんなぱっちり二重だから