浅瀬のカニ

深みのない言葉達の深みに
それは例えば
風の歌だけを頼りに水辺を探し当ててみたり
豚のしっぽの半径を物差しで測ってみたり
ろくそくの火を吐く息じゃなくて
吸う息で消すとか
そうしないとどうしても
育まれないものだったりする
心臓もコンビニは大好きなんだよって主張は
一部の悪魔にしか認めてくれないから
その内に花すら
じっと見つめることがなくなって
体温がなくなる
想像がなくなる
ラジオ、クレヨン、ビー玉、人生ゲーム
がこの世からなくなる
そうして君の目の奥の想像力をかじるものが生き延びていけなくなったとしたら
ものを語らないもの達の物語だけが
真実となる
「花が咲いて枯れる」
ほとんど短文の世界
やっぱりいい天気だねとか
今日は風が強いねとか
隣の花はキレイな朱色だから
お似合いな私はきっと相対色だろうねって
思うことに他ならない
深みなんて
ある人だけが持ってる
透明なコップの中の話かもしれない

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