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「どのような運命に遭遇しても、
 善いことを思い、善いことを
 実行するような人生を送っていこう」

京セラの元社長だった、若き日の稲盛和夫氏は、この『陰しつ録』に出合い、そのように強く思うようになったという。

しかし、そうは思ってはみたものの、当時の稲盛氏は二十七歳という若さ。

理工系の大学を出て、ファインセラミックスの研究開発を行った技術者でした。

理屈屋で、効率を求めがちな自分が、
「善いことを思い、善いことを実行すれば、人生の結果はよい方向へと変わっていく」ということを信じようと思っても、心の底から信じるのは至難の業だったようです。

そして、『陰しつ録』が説いている「因果の法則」を信じようと四苦八苦している時、天文物理学の先生から大宇宙の始まりの話を聞く機会があったそうです。

我々は宇宙の中にある地球に住んでいますが、元々は素粒子のかたまりでしかなかった宇宙は、一瞬たりともとどまることなく生成発展を続け、百三十七億年をかけて、
ついには我々人類のような高等生物までを
生み出した。

この宇宙には、森羅万象あらゆるものを
生成発展させていく法則があるのだという事を聞いたのです。

常にすべてのものを生成発展させていく「気」が、この宇宙には流れていて、すべてのものを慈しみ、優しく育てていく愛が充満している。

よい方向へと育てていこうという「宇宙の意志」があるのだと知ったのです。

この宇宙には、すべてのものをよい方向へと進めていこうという宇宙の意志が充満しているならば、良い思いを持って、良い事を実行していくと、きっと良い方向に必ず導かれると思ったという稲盛氏の言葉は、とても理にかなった事のような気がします。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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