9. 沸点
熱にうなされているあいだに、いっぱいいっぱいあれやこれやと思い出してしまった。
自分の力だけで生きてこれたわけじゃないけど、自分の力がなかったらとっくにあのときとかあのときに死んでいるはずだから、あえて自分の力の話しかしない。(では自分の力とは、みたいな話は、わたしは結局のところ心理学的立場からの唯物論派だから避ける。)
ずっと辞められなかったことを自分の力で辞めたこととか、いやだと思えなかったことを自分の力でいやだと言えるようになったこととか、とにかく自分のために自分の環境を自分で選んできたこととか。誰かを嫌な気持ちにさせないためには笑っていないといけないし、笑って生きるために自分の普通じゃない感性を喜んで捨てるようなこととか。
そういうことばかりでいつも過去に縛られているから、歳をとるごとに疲れてきている。過去はどうしても変わらないから辞めたくもなる。ひとも変わらないと殺したくなる。
いま沸騰し始めた自分を観ている。
自分を幸せにできるのは自分だけだって子どもの頃から理解している。サンタさんもプリンセスも信じたことがないなんて可愛げがないけれど、いつか自分に子どもができたらプリンセスにでもプリンスにでもなんにでもならせてあげたいし、サンタさんの格好で枕元にプレゼントを置くようなパートナーと一緒にいたい。
いつも目を逸らせないでいる、現実から。今日の自分の変化にはびっくりして、涙が出ていた。
わたしの中で生きている小さい誰かを護っているつもりで、ほんとうは護られているんだと思う。もういやなおもいはしたくないよね。