
冬の長崎・島原半島ロングトレイル〜九千部岳・妙見岳を登る〜(1日目)
冬休みに長崎・島原半島へロングトレイルに行ってきました。
「九州はなんか暖かそう」と言うイメージを打ち砕かれるほどの寒さ。
ただ、出会えた景色は絶景でした。
山を登った後のご褒美観光も大満足。
今回の工程
1日目(27日) 長崎空港→田代原トレイルセンター
2日目(28日) 田代原トレイルセンター→九千部岳→雲仙温泉街
3日目(29日) 雲仙温泉街→妙見岳→島原市街
4日目(30日) 島原市街観光
この記事では1日目について記録しています。
大阪伊丹空港から長崎へ
旅行の日の朝は早い。
この日は7時5分伊丹空港発の飛行機に乗らなければならなかったため、4時頃に起床。
苦手な荷造りに足を引っ張られ、お馴染みの寝不足。今回の睡眠時間は約2時間になってしまった。
毎回毎回もう少し余裕を持って準備して落ち着いて寝ることはできないのかと思いながらも、改善できた試しはほとんどない。
大慌てで玄関で登山靴を履こうとしたところ、中敷が乾燥のために引っ張り出されており、靴紐もびよんびよん。
せめて靴くらいは前日に用意しておけばよかったと後悔。
ちゃんと履く時間はないのでとりあえず足に靴を「はめて」駅まで疾走。
口の中で鉄の味がした。
なんとか電車には間に合い、朝早い時間だったためボロボロの恥ずかしい姿もあまり人に見られずに済んだ。
無事伊丹空港に到着し、同行者と合流。
同行者も財布を忘れてしまったようで、空港まで送迎してくれた父親が家に財布を取りに帰ってくれているところだった。
似たもの同士か…
最近の空港は本当にハイテクですごい。
自動荷物預け機に並んで手荷物を預けるが、同行者のザックがあまりにも大きすぎて機械内に収まらなかった。あらま。
結局有人カウンターに並び直して手続きをやり直す。
この時点でまあまあ時間がなかったが、前の夫婦が何やらチケットトラブルの様子。
支払いが済んでいなかったとか乗り継ぎがどうとかで焦っていて、こちらも一緒に焦る。
やっぱり何事も早めにやっておくのが吉。
なんとか無事保安検査も通過して飛行機内へ。
フライト中の窓から見た空は快晴で、色合いが素晴らしい。
今回のパイロットさんは着陸がとても上手。
いい旅になりそう。

長崎空港から橘神社へ
無事長崎空港に到着。
出てすぐのところに早速角煮まんが売られている。さすが長崎。
私は角煮があまり得意ではなく、中学の卒業旅行の際「角煮」部分を友達にあげて、角煮の汁が染み付いた「まん(ほぼ白いパン)」部分だけを食べて、少し切なかったことを思い出す。
旅に必須のガス缶を空港のクロネコヤマトに郵送していたので、受け取りに向かう。
クロネコヤマトのカウンターの前には広いお土産売り場が。
どのお土産を見ても興味をそそられる。
長崎のお土産はなんだかパッケージが小洒落ていて、魅力的に見えるものが多い。
今から帰りに買うお土産が楽しみだ。
長崎空港から今回の山行のスタート地点である橘神社までバスで向かう。
橘神社まではバスを乗り継いで2時間ほど。
諫早駅で1回乗り換えをするルートで移動した。
眠気がひどいので乗り過ごさないようにApple Watchのアラームをかけておく。便利。

そして、無事橘神社に到着。
関西の人間なので存じ上げていなかったが、橘神社は結構有名な神社のよう。
ツーリングに来たバイカーの方が、大門松と鳥居をバックに愛車を撮影している姿も見受けられる。
なんとここの大門松はギネス記録の大きさとのこと。
ここでギネス記録に出会うとは…あっぱれ。
ありがたいことに清潔なお手洗いもあり、使わせていただく。
参道を進むと屋台の準備がされていた。
立派な神社なので、新年は初詣の地元民たちでごった返すのだろう。
橘神社の参道の途中から登山道方面へ分岐するため、橘神社に別れを告げていよいよ山へ。
橘神社から田代原トレイルセンターへ
橘神社から出発して少しの間はロードが続く。
集落の中を通りながら少しづつ山の方面に向かっていく。
この辺りの畑の土は赤い色をしている。雲仙普賢岳の火山灰が関係しているらしい。
この赤土で育まれた野菜は栄養が豊富だったり、他と違う味がしたりするのだろうか。
集落の中には柑橘系の実やイチジクなどが実っているのも見受けられた。


集落を抜けると道がやや荒れ始め、登山道らしくなってくる。
葉越しに見える集落が、冬の空気で霞んで見える。
街の景色ともさよならだ。

ここの登山道は道迷いをすることはほとんどないだろうと思うが、足元に絶妙に歩きにくくなる大きさの岩石が転がっていて歩きにくい。
噴石なのか、全く関係ないただの岩石なのかは分からないが、足首を痛めないように用心しながら歩く。
小一時間ほど登ると、開けた場所に出る。
少し先に「まきばの里 あづま」という牧場があるようなので、コンクリートで舗装された坂道を進む。
登山道を登っている時より、コンクリートのなんとも言えない傾斜の坂道を登る時の方が疲労を感じる…
坂の途中から丘の上で草を喰む牛たちの様子が見えた。
諫早湾を望みながら草を食べている牛。羨ましい。

牧場の様子を外から楽しんだ後は、本日のゴール地点である田代原トレイルセンターに向けてただひたすら進む。
ここからの道のりがとても長く感じた。
5kmほどの距離しかなく高低差もそれほどない歩きやすい道だったが、それが逆に道のりを長く感じさせる。
急をしているときや岩を掴みながら登っている方が、気付けば時間も経ち距離も進んでいるということが多い。
1日目でパンパンのザックの重みが腰ベルトと肩ベルトにのしかかる。
お菓子という名の薬で誤魔化しながら先へ進む。

騙し騙し歩きながらなんとか田代原トレイルセンター付近に到着。
近くに田代原キャンプ場があったが、こちらは冬季休業中。5月1日から10月31日までの間はオープンしているようだ。
簡易トイレは使うことができた。
この辺りの鳥はそれほど警戒心がないのか、私が近くにいるのにも関わらず落ち葉を熱心に突いている。
何か虫などがいるのかは分からないが、パタパタと跳ねながら落ち葉を突く姿に癒される。
到着したのが4時半頃だったので、早速テントの設営を開始する。
明日の朝は雪予報だったため、雪で濡れることがないよう庇の下を選ぶ。
場所を決めてザックを下ろしテントを張ろうとしたところ、大問題が発生した。
テントがザックに入っていなかったのだ。
私はいつもテントを同行者に持ってもらっているため、テントの準備と荷物持ちはお任せしている。
そのため文句は言えないが、雪予報の中テントなしはなかなかの修行コース。
まさかの氷点下テントなし野宿を覚悟した。
ただ幸いなことに忘れたのはテントの布本体のみ。
ポールとテントカバーは持ってきていた。
とりあえずポールを組み立てて無理やりテントカバーを装着してみると、なんということだろう、まるでテントのようではないか。
隙間風からは逃れられないが、野ざらしよりは1000倍まし。
万事休す、ということでなんとか気持ちを切り替える。
夕食は長崎空港で購入したあごだししょうゆラーメン。
乾麺だと思っていたが生麺のような柔らかい麺でとても美味しい。

早々に夕飯を終え、ダラダラ。
テント泊の際は、百発百中「体の痛み」か「寒さ」のどちらかで夜中に何度も目を覚ます。
早く寝てしまうと「まだ9時半」「まだ11時」「まだ2時か…」「やっと4時」というように夜が長くなりすぎるのでしんどい。
正直あまり寝たくないので、サボって溜め込んだYAMAPの活動日記を編集する。
寒い。
その後は歯磨きを済ませて寝床につく。
すぐに寝られずにぼーっとしていると、甲高い鹿(おそらく)の声が聞こえてくる。
キュンキュンと鳴き声を発しながら飛び跳ねている様子。
7時頃までは近くの道路を車が走っている音も聞こえたが、夜が深くなるにつれ車通りはゼロに。もちろんこんな山奥を歩いている人などいない。
不気味な鹿の鳴き声に怯えながらも、救急車が走り去っていく時のように鹿の鳴き声が次第に遠ざかる。
明日の朝は雪らしい。
どんな景色が見られるのか楽しみな気持ちと、夜中に何回目が覚めるのかを憂鬱に思う気持ちを抱きながら眠りにつく。
2日目の山行記へ続く…