『観念結晶大系』―人見知りの考思石―
◆ 『観念結晶大系』高原英理 著 (書肆侃侃房)を読んで
4月7日、庭に犬のお墓を作る。スコップで地面を掘りながら、いつかここに「結晶樹」が生えたらいいなと思う。メソメソしつつも『観念結晶大系』のおかげでずっとおだやかな気持ちでいられた。
そう . . . 2月、いくつかの偶然が重なって手に取ることになったこの本は、終末期の犬の世話をしながら読むのにぴったりだった。物語に夢中になって、治療費の心配やいろいろ忘れることができた。
「石英粉」「風来星」――言葉のひとつひとつが、