ともす横丁Vol.15 父との対話
父は物静かで穏やかな人だ。争うことを好まず、声を荒げたこともない。上からものを言うようなことも力を誇示するようなこともない。
いつも本を読んでいて、どこかの何かの世界にいて、ここにいなかった。父とのつながりが欲しかったんだろう。中学生の頃、英語の問題を教えてもらおうと勇気を出して父に尋ねた。そうしたら、父は「そんなクイズみたいなことには答えられん。英語の本を読め。」と多少の苛立ちを持って言った。ショックだった。ようやく父と話せると聞きに行ったのに。それから一切尋ねることをし