【クラシックファンなら絶対に訪れるべき】イタリア・ルッカにあるプッチーニの生家
《トスカ》や《蝶々夫人》、《ラ・ボエーム》など、数々の名作オペラを残したイタリアを代表する作曲家の一人、ジャコモ・プッチーニ。今回は、彼のプロフィールを始め、作曲した作品の紹介、彼が生まれたイタリア・ルッカの街、筆者が実際に訪れた生家についてレポートしていきたい。
ジャコモ・プッチーニってどんな人?
ジャコモ・プッチーニ (Giacomo Puccini)
1858年イタリアのルッカに生まれ、《トスカ》《蝶々夫人》《ラ・ボエーム》など、数々の名作オペラを残した。
プッチーニ家は、18世紀から代々続くルッカの宗教音楽家の家系であるが、18歳の時にジュゼッペ・ヴェルディのオペラ《アイーダ》の上演に接したことがきっかけで家系の中で唯一オペラ作曲家を目指し、なおかつ世界的音楽家として名声を残した。1880年から1883年までミラノ音楽院で学んだ。
ちなみに、フルネームは、ジャコモ・アントニオ・ドメニコ・ミケーレ・セコンド・マリア・プッチーニ(伊:Giacomo Antonio Domenico Michele Secondo Maria Puccini)と、覚えられないほど長いのだが、クラシック音楽界では、始めの名と姓で、"ジャコモ・プッチーニ"と呼ばれることが多い。
プッチーニが作曲したオペラ
筆者が声楽を学んでいることもあり、プッチーニといえばオペラのイメージなのだが、プッチーニが作曲したオペラの中でも有名な曲として、以下の作品などが代表的である。
・オペラ《トゥーランドット》より「誰も寝てはならぬ」
(古代中国を舞台としたオペラ。動画は三大テノールの一人と言われたルチアーノ・パヴァロッティ。)
・オペラ《ジャンニ・スキッキ》より「私のお父さん」
(ジャンニ・スキッキの娘ラウレッタによるアリア。比較的短い曲で、耳馴染みの良いメロディーであるためか、クラシック音楽のコンサートで良く歌われる。)
・オペラ《蝶々夫人》より「ある晴れた日に」
(1904年の長崎が舞台の歌劇『蝶々夫人』。連続テレビ小説「エール」の"双葉環"のモデルになったとされる三浦環の音源。彼女はプッチーニ自身にこの"マダム・バタフライ"の歌唱を大絶賛されたそう。)
・オペラ《トスカ》より「歌に生き、愛に生き」
(第2幕で歌われるアリア。捕えられた恋人の解放と引き換えに、警視総監から関係を求められた主人公トスカが、絶望と悲しみの中でこの『歌に生き、愛に生き』を歌い上げる。マリア・カラスの音源。)
・オペラ《トスカ》より「星は光りぬ」
(第3幕で歌われるアリア。主人公の女性歌手トスカの恋人が、処刑前の牢獄でトスカに別れの手紙を書く場面で歌われる。男子フィギュアスケート選手・織田信成やエヴァン・ライサチェクのプログラム曲としても使用された。)
プッチーニの生家があるルッカはどんな街?
プッチーニが生まれた街・イタリアのルッカ(Lucca)は、トスカーナ州北西部の都市で、ルッカ県の県都。
ミラノからの所要時間は約4時間弱、フィレンツェからでも約1時間半である。アクセスが良くないのは大変だが、周囲4キロメートルあまりを城壁で囲まれた城塞都市で、その姿が完璧に残ったヨーロッパでも珍しい例の1つだそう。街を見渡せる高台からの景色は一見の価値あり、である。
(高さ45mのグイジーニの塔。14世紀にルッカで権力を振るったグイニージ家のものだそう。)
(グイジーニの塔の中には、230段の階段があり、樫の木が植えられた屋上からは街全体が見渡せる。)
(写真だとわかりづらいのだが、塔の上から見える楕円形の広場は、"円形劇場広場"である。)
(円形劇場広場にて。建物が広場を取り囲むように立てられている。)
ルッカ駅からプッチーニの生家までの行き方
プッチーニの生家は、2019年7月に筆者が実際に訪れることができた。ルッカ駅からプッチーニの生家まで実際に歩いてみたので、順を追って書いていく。
1. ルッカ駅 (Stazione Treno di Lucca)
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2. サン・ピエトロ門 (Porta San Pietro)
ルッカ駅に着いたら、目の前に見える城壁を左手に進み、サンピエトロ門をくぐる。
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3. 旧市街
すると、旧市街が見えてくるので、街中を進んでいく。
綺麗に舗装された道路で、治安も良いように感じた。当時、観光客は少なく、落ち着いた雰囲気であった。
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4. ジッリョ劇場 (Teatro Comunale del Giglio)
旧市街を抜けると、ジッリョ劇場が見えてくる。この劇場は、ルッカ市の所有するものだそう。
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5. サン・ミケーレ教会 (Chiesa San Michele in Foro)
劇場からまた少し歩くと、ルッカの街の中心部分といえるサン・ミケーレ広場が見えてくる。ルッカには代表する3つの教会、サン・マルティーノ大聖堂、サン・フレディアーノ教会、そしてこちらのサン・ミケーレ教会があるそう。
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6. カフェ”トゥーランドット” (Caffetteria "Turandot")
ドゥオーモの近くには、プッチーニが作曲したオペラ“トゥーランドット”の名前がついたカフェがある。これを右手にして歩いていく。
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7. プッチーニの生家 (Puccini Museum - Casa Natale di Giacomo Puccini)
ドゥオーモから3分ほど歩くと、広場が見えてくる。そこには、凛とした表情で座っている、プッチーニの銅像がある。
いよいよプッチーニの生家へ
プッチーニの銅像を正面に見て左手に、チケット売り場兼ショップがある。
ここで、生家に入場するためのチケットを購入する。
チケット料金一覧 (2020年12月20日現在)
大人 9ユーロ
11~17歳・65歳以上・26歳までの学生 7ユーロ
10歳以下 無料
チケットを手に入れ、いざ生家へ。生家の場所は、チケット売り場を正面に見て、左後方にある。生家といっても、現在は博物館になっていて、とても見応えがあり、数年前にリニューアルもされたそうだ。このようなアパートメントの一室の二階で、エントランスでチャイムを押し、スタッフの方に開けていただく。
ほかの部屋は、今でも住んでいる方がいるようで、食事の支度をしているであろう良い香りがした。プッチーニの生家と同じアパートメントで暮らすのは、どんな気持ちなんだろうか…!と、想いを馳せながら階段を登る。
まず入るとすぐに見えてくるのが、プッチーニが使っていたとされるピアノがある。実際に大作曲家が触れていたピアノの前にいると思うと不思議な気持ちになった(後から写真を見返していて気づいたのだが、椅子には座っていた形跡が...!)。
奥へ進んでいくとプッチーニの自筆譜や、
オペラ《蝶々夫人》の衣装など。
ルッカから電車で1時間弱のトッレ・デル・ラーゴ・プッチーニにあるマッサチュコリ湖畔の大劇場では、毎年プッチーニ・フェスティバルが開催されており、その際に使われた衣装が博物館の所々に置かれているようであった。
そのほかには、ラ・ボエームの第一幕のワンシーンを再現した部屋、
プッチーニが実際に使っていたベットなど。
プッチーニファンにとってはたまらない空間である。それほど広くないのだが、じっくり見るのであれば1時間半、サクッと見るのであれば45分ほどを予定すると良いと感じた。
プッチーニの生家(Puccini Birth Home)
住所:Corte San Lorenzo, 9 55100 Lucca
営業時間:季節により変動
HP: http://www.puccinimuseum.org/it/visita-la-casa-natale/info/
チケット売り場、ショップ
住所:Piazza Cittadella, 5 55100 Lucca
営業時間:季節により変動
HP: http://www.puccinimuseum.org/it/visita-la-casa-natale/info/
終わりに
今回は、プッチーニのプロフィール、作曲した作品の紹介、彼が生まれたイタリア・ルッカの街、筆者が実際に訪れた生家についてレポートした。
新型コロナの影響で、海外はもちろん、国内でさえも移動がしづらいイタリアなのだが、いつの日か旅行が気軽にできる日が来ることを願っている。