(Re:)This is パン
例によってマスターの記事に対するアンサー的な奴です。
(蛇足的注意)字が絵よりもハイコンテクスト表現になることを身を以て示すという言い訳のもと普段よりもさらに分かりにくく、分かる必要もない内容になっています。
「字に書いた餅」、良いですね。絵に描いたのよりもさらに地から足が浮きそうになっている。
しかし、タイトルの「This is パン」というのは何でしょうか? 一見すると、米中心の東アジアの我々がその実をこねくり回して作る餅と、小麦中心の欧米のパンを併置した言語表現であるように見えます。だが、果たしてわざわざ英語にする必要があるのか
This isは確かに英語です。これはほぼ間違いないと考えて良いでしょう。しかし、パンは英語ではない。あえて言うならフランス語です。(そういう意味ではフランスパンというのはレトロニムなんでしょうか……)
ということは、パンケーキのパン、フライパンのパンということでしょうか。絵どころか字に書いた餅の話につけるタイトルとして、パンはパンでも食べられないパンを引いてくる高等技術。マスターならやりかねない。
しかしそれでもまだ疑問は残ります。何故、カタカナなのか。確かにフランス語ですとpainなけですから、panと書いてしまえば仕掛けは成り立たない。でも、それが英語ではない、ということをヒントにする構造と、臆面もなく日本語の文字であるカタカナを使っていることがどうにも噛み合わない印象です。
つまり、これは日本語である必要がある。しかし、日本語であるならばカタカナである意味もまた説明されなければならない。フランス語の一般名詞であるpainでも英語の一般名詞であるpanでもないとすれば、それは何か。残された可能性は固有名詞であると私は考えます。
固有名詞としてのパン。まず思い付くのは英国の永遠の少年です。日本のアニメでは主題歌の中で照れた分だけ大人になってしまうのですが、名前は改編されていません。ピーター・パン。ピーターは当地では一般的な男性名ですから、パンは多分姓なのでしょう。わざわざ一般的なファーストネームを避けるあたりに、かのローエングラム王朝初代皇帝の如き気取りを感じなくもありませんが、一つの解釈ではありえます。しかし、これも英国のものというのが、今ひとつしっくりこない。それならばPanで良かったはずです。
他にはギリシア神話の牧羊神がPanです。なんとなくパーンと呼ばれることの方が多い気がします。改めて呼称するとロードスの騎士みたいですが、切れ味鋭い山羊座のモデルです。これもやはり日本語でパンとはなりそうにない。
他にはパンといえばパンフォーカスであるとかビデオカメラをゆっくり左右に動かすという意味のパン(出崎統的なあれです。大事なことなので……)なんかもありますね。しかし、これらはThis isで語る文脈がどうにも見えてこない。よく考えれば、単数形かつ無冠詞なので、やはり固有名詞が有望です。
いろいろと手広めに考えてみたものの、そろそろネタが尽きます。やはりここはピーター・パンにも引けを取らない我が国の国民的作品にその出典を求めたいところです。そうです、ドラゴンボールですね。ドラゴンもボールも英語をカタカナで書いてます。
アニメ版のドラゴンボールの中でも特に重要な登場人物、三作品目に出てくる三代目主人公、初代主人公の孫「パン」。世が世なら徳川家光レベルの重要キャラのポジションです。三代目は常に偉大。スタープラチナ。もうこれでいいでしょう。多分間違いない。
This isは「これは○○です」ではなく「こちらが○○さんです」という紹介構文だったと言うわけですね。そうです、魔女が黒猫に対して使ったりマサラタウンの少年が相棒に対して使ったりする構文です。
「広い意味で日本語なのはわかる。固有名というのも良いだろう。しかし、じゃあなんでThis isのところだけ英語なんだよ!?」というような声が聞こえてきそうですね? しかし私にはそれについても答えがあります。
♪Dan Dan 心惹かれていく
の謎英文字へのオマージュです。視野を広くもって行きましょう!