仕事術、3つめの神器を求めて① 〜はじめに
あれは中高生の頃だったと思うのですが、読んでいた本の中でちょっと脱線したこぼれ話として、人類史上最も偉大な3つの知的発明、というようなものが載っていて少し感銘を受けた記憶があります。感銘を受ける、なんていう大げさな言い回しに「少し」がつくのは我ながら居心地が悪いのですが、その本がどのような本だったのか、小説なのか技術書や学習参考書の類いなのか、あるいは中学時代に妙に嵌まって多読をしていたビジネス書なのかもまったく覚えていませんし、「3大発明」という言い回しだったかどうかも定かではないので、何かの留保の必要性を感じるからです。さらにいうと実はその3大発明のうち2つは明確に記憶しているのですが、3つめが何だったかも思い出せないのです。引用の体裁で書かれていた記憶はあるのですが、元々誰の発言だったかも忘れました。最近ChatGPTに相談してみたのですが、それを提唱したのはニーチェで、3つめの発明は印刷術だと言われました。多分、羅針盤と火薬とセットの無印な世界3大発明とごっちゃになっています。さすが渋滞の元です。(3大を三大と表記すべきだったか、の悩みでここでしばらく筆が止まりました)
さて、覚えている残り2つに関する記憶は明確です。1つはデカルトの代数幾何、もう1つは複式簿記です。代数幾何は高校数学の範囲ですが中学時代に先取り学習的に知識を仕入れていて、僕の方はこれをきっかけに少し勉強したのだったと思います。簿記についてはイタリア商人がどうのとはありましたが、たしかパチョーリの名前は出てなかったと思います。あまり感性が鋭い方ではないので、代数幾何については初見の時にはなんとなくそんなものかとコンセプトを丸呑みしてしまった感があったのですが、それが偉大な発明であるとタグ付けされて提出されると、途端に反省というか反芻が発生します。確かに、当時の自分がユークリッドの公理から直接イメージできる世界からは飛躍があるように感じました。それで「感銘」を受けた気がした野です。X軸とY軸で平面がかかれて図形が扱えるというのは、代数幾何よりも先にプログラミングを覚えてゲームなどのグラフィック出力を扱う経験が先にあったことが丸呑みに繋がりやすかったのか? という自省もあった気がします。(中学英語でifをならったときにthenがついてこないことの気持ち悪さを感じたのと地続きの感想です)
このようにかなり頭でっかちな関心の持ち方で簿記の勉強をしてみたのですが、確かにいったいどこから「複式」の発想がでてきたのかまったく想像もできず、それによって表現力が格段に向上してるということにもいたく感銘を受けました。勉強に使った教材が検定試験向けのものだったので、疑問に思った点がなかなか解消されず、資格をもっているはずの母に質問してもこちらが何に疑問を持っているのかまったく理解できない様子だったので、あまり追求せず、すぐその関心は萎んでしまいましたが。
どちらも、今から見ると当たり前に活用されていて、教科書で丸呑みすることも容易なシンプルなアイディアですが、よくよく考えると常人離れした天才の発明という気がしてきますし、知っていて実際に利用していてる人がこのような意味での「ありがたみ」を理解しているかどうかなんていう不遜でお節介な不安を感じてしまうというところも共通しています。あと1つは一体なんだったのでしょうか?
それはさておき、コンサルタントや(一応)エンジニアとしてのこれまでのキャリアの中でも、仕事上のツールとして大変有用だしよく知られてもいるけれども、なんとなく過小評価されているというか、みんなもう少しだけ深掘りしてみてもいいんじゃない? という感想を持つ技術や手法もみたいなものもあるな、と感じています。多分、業界の性質からいって複式簿記はそのまま続投で良いと思うのですが、代数幾何はちょっと関係性が遠くなってしまいます。線形代数であれば限定的なジャンルでとても深く活躍の場があるのですが、体系として大きすぎることとあわせて考えるとちょっと合わないのではないかと思います。そこにはWBS(Work Breakdown Structure)を推したい。するとこちらもあと1つということになります。が、この1つがやはりこれというものが見つからない。それっぽいものはいくつか思い付くので、それを順番に検討するシリーズとして記事にできないだろうか、と考えました。ということで続きはまた今度。
(次回は当確のWBSについてちょっと掘り下げておきたいと思います)