伝わらない笑顔にひそむ心恋(うらごい)
主人が職場まで車で送ってほしいと、時に甘えてくるのだが、
自分の時間を数分でも奪われるのが嫌で、断ることもあるのだが、
今日は用事があって通り道でもあるし、甘えに応じることにした。
その事実だけでも、ケチな私にしては、よくやった!とほめちぎるポイントではあるが、今日はもう一ついっとこうかな。
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さすがに10年越えの夫婦ともなると、いちゃいちゃすることもないし、
手も握ることないし、たまに触れるとちょっと避けられちゃったりもあるし、寝起きの男のスメルとかこっちだって嫌だし避けたいし、ぶっちゃけ寝る部屋も別だし。(ぶっちゃけすぎ(笑))
何が良くって結婚したのかさえ忘れてしまうこともあるけど、それでも夫婦生活続けているし、つきあい始めてから考えると、16年くらい時間を共にしている。
職場は車が停めにくいので、近くの道路脇に止め、お互い
「じゃあね。」
の一言と手を挙げる仕草で別れを告げる。あっけない感じだが、目を合わせることも数秒で、それが冷たいと感じるわけでもなく、むしろベストタイムだ。
付き合っている当初は、お互い実家住まいってこともあり、車で送ってもらってもしばらく車の中で話をして、なかなか帰らなかったものだ。そんな時期が懐かしくも感じるが、今はもうそんなことお互い望んでいない。
主人が職場までの道のりを歩いている時に、車で私が追い越すのだが、
その時、どんなに遠くても主人は車中の私に、ポーカーフェイスを装って
手を振ってくれ、私は、口角が少し上がっているのを見逃さず、
それに応じて満面の笑みで手を振る。
それに気づいているかどうかも定かじゃないが、
今日も笑顔で仕事に送り出したこともほめておこうかな。
言葉やふれあいは減れども、以前とは違うカタチで、
お互いの想いを気づかれぬよう伝えあうように、
夫婦関係も進化し続けている。
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