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第6回 更年期症候群(男性)

2024年2月5日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

今回のテーマは男性の更年期症候群です。

更年期症候群は女性特有のものでは?男性にも更年期症候群ってある?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

男性の更年期症候群は数年前から注目され始め、医療系の勉強会でもよく取り上げられるようになりました。少しずつ一般でも認知度が広まり、医療機関で男性ホルモンの検査を受けて診断される方が増えてきました。当院でも男性ホルモンの検査はよく行なっています。

男性の更年期症候群で一番多いように感じるのが、鬱のような状態になる「うつ気分」です。
やる気が出ない、人に会いたくない、仕事でミスが多い、できれば仕事に行きたくない、といった症状です。このような状態になると自分はおかしくなってしまったのではないか?と心療内科や精神科を受診する方も出てきます。仕事や家庭のストレスが強く、もしかしたら本当にうつ病を発症してしまうこともあるかもしれませんが、その前に私は男性の更年期症候群を疑うべきだと思っています。

男性ホルモンはストレスでもかなり下がってしまうので、女性のようにホルモンが変動しやすい40代、50代に限らず、30代や60代でも発症している方がいらっしゃいます。
「何かおかしい」「以前とは違う」と相談された男性に血液検査をすると、ほとんどの方の男性ホルモンが減少しています。男性ホルモンは日内変動が強く、起床時が一番高く昼過ぎるとどんどん下がっていきますので、当院では午前11時までに男性ホルモン測定を行います。
基準値よりかなり低ければ男性ホルモンの注射(2週間ごと、全6回)を勧めています。この注射は前立腺肥大や前立腺ガンの方には使用できませんので初回の採血で前立腺マーカーを測定します。

治療開始時と、診察の度に質問票でスコアをつけていくのですが、男性ホルモンの注射を行うと徐々に症状のスコアが改善していくのがわかります。
何より2週間ごとにクリニックに来られるたびに表情が柔らかく、目に力が出てくるのです。頑張れそうだ、など前向きな発言も出てくるようになります。6回目の注射に近づくと、仕事のミスも減り、やる気も戻り、生活も不自由なく過ごせるようになってきます。

ただし、男性ホルモンの注射で男性ホルモンの数値を上げてやっと元気になっても、ストレスの強い方はまた数ヶ月するとホルモン値が下がってくることもわかりました。試行錯誤の末、最近はDHEAという男性ホルモンの元となる成分をサプリで補うようにすると、男性ホルモン値はすぐに下がるということはなくなりました。
また研究を重ねてより良い状態をキープできるようにしていきたいと考えています。

働き盛りの男性が働きたいのに働けないという状況は、本人にとって大変苦しい時間です。

30代男性、エンジニア技師。「急に物覚えが悪くなって仕事がこなせなくなった」「気分が落ち込み不安感が強い」という症状で受診され、ずっと下を向いてうなだれている状態でした。男性ホルモンを測定すると値は5(正常は11.8以上)と非常に低い数値でした。男性ホルモン注射を2週間に1回始めていくと、3回目ごろからしっかり顔を見てお話しできるようになり、「不安感がなくなり気持ちが楽になりました」と言われ、6回目治療がするころには仕事も以前のようにできるようになり、すっかり元に戻りましたと笑顔で帰られていきました。

このような症例は他にもたくさんあり、いつもと何かが違う、と感じたときはまず相談していただけたらと思います。

お話しの中から解決の糸口を見つけて治療し、1日でも早くいつも通りの生活に戻って心地よい生活を送っていただくことが1番だと考えています。

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