第17回 プラセンタ治療
2024年4月22日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
今回は当院でもよく治療に使っているプラセンタについてです。
プラセンタ、という言葉は聞いたことがありますか?
プラセンタって何?
プラセンタは胎盤から作られた製剤です。胎盤とは、母体と赤ちゃんをつなぐへその緒につながっていて、赤ちゃんを栄養する成分が入った赤ちゃんのベッドのことです。胎盤には成長因子、アミノ酸、ビタミンなどが豊富に含まれていて、お母さんのお腹にいる赤ちゃんの唯一の栄養源となっています。
ヒトの胎盤から抽出されたエキスの有効成分を、プラセンタエキスといいます。
昔、日本では出産を終えた母親が滋養強壮のために赤ちゃんと一緒に排出された胎盤を食べていたという記録があります。動物の世界でも、出産後母親が産まれたばかりの赤ちゃんについた羊水などを舐めると同時に胎盤も食べて体力を温存します。
日本で医療用に使われているプラセンタ注射薬は、日本国内の産婦人科で健康な母親から正常分娩で生まれた胎盤を使用して作られたものです。
プラセンタの効果
プラセンタは以下の症状に効果が期待できます。
・更年期障害
・慢性疲労
・肩こり、腰痛、膝関節痛
・乾燥肌、アトピー
・冷え症、生理不順、生理痛がひどい方
・しみ、くすみ、肌荒れ
・自律神経失調症、不眠症
・肝機能が悪い方
・花粉症などのアレルギーを持つ方
プラセンタの種類
厚生労働省が医薬品として認めているプラセンタ注射薬はメルスモンとラエンネックの2種類あります。メルスモンは女性の更年期障害、45~60歳で保険診療ができるため、3割負担であれば毎回500円でプラセンタ1本が受けられます。(年齢の適応は自治体によって異なるようです)ラエンネックの保険適応は重度肝機能障害となっているので、当院では圧倒的に女性の更年期障害の治療としてメルスモンを使うことが多いです。
プラセンタ治療の方法
プラセンタ治療を受けていたけど効果がなくてやめてしまった、言われる方がいらっしゃいますが、最初の投与量が少なかったのではないかと考えています。プラセンタ注射は即効性がなく、効果を実感するまで立ち上がりが遅い製剤なので、当院では最初の1ヶ月になるべく多く注射に通ってもらうようにしています。保険診療の許容範囲では週3回なので、多い方は週3回、少なくても週1~2回は通院してもらいます。1ヶ月後に疲れにくくなった、肌の調子がいい、などの自覚ができてきたら週1回とし、あとはご本人のペースにお任せしています。(自由診療なら本数、や日数の制限はありません)
注意点
プラセンタ治療を受けるにあたって、プラセンタ注射を一度でも受けたことのある方は今後献血ができなくなります。厚生省が「ヒトの血液や組織を使用した治療を受けたものは、理論上感染の危険性がゼロではないため、献血ができない」と一律に決めていますが、過去60年間、国内で1例も感染症の報告はありません。
副作用
注射部位の内出血、疼痛、掻痒感、硬結があります。まれにアレルギー症状を起こすこともありますが、程度は低くなっています。
プラセンタ治療で更年期障害をはじめ、様々な体調不良が良くなっていく患者さんを間近で見てきました。まめに通われている方に、やはりいい効果が現れているようです。
ちなみに私はプラセンタ注射を自分に半年間投与してから頑固な冷え症が良くなり、肌の保水力増加、髪質が向上しました。
健康にも美容にも良く体質改善にもなりますので、ぜひお近くのクリニックで相談されてみてくださいね。