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第37回 感情が体を傷つける

2024年9月9日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

感情が体を傷つけるってどういうこと?!と、不思議に思われた方も多いと思います。
東洋医学では行きすぎた感情は体を傷つけると考えます。

今回は東洋医学の観点から感情についてのお話しをしましょう。

東洋医学では、病気に抵抗する力を「正気(せいき)」といい、体に悪い影響を及ぼすものを「邪気(じゃき)」と言います。常に正気と邪気は戦い、正気が勝てば私たちの体は健康を維持でき、邪気が勝てば病気になります。
邪気には、体外から悪影響を及ぼす「外邪」と体内から悪影響を及ぼす「内邪」があります。

「外邪」とは?
細菌やウイルスなども外邪ですが、生体を取り巻く自然界の気候も時として外邪となる場合があります。
春は風邪、梅雨は湿邪、夏は暑邪、秋は燥邪、冬は寒邪というふうに分類されますが、通常は私たちの体にとって有害ではありません。
しかし、あまりにも暑さや寒さが過ぎると体がそれに対応できずに病気を引き起こすこともあります。
また、病気に抵抗する力である正気が弱い場合は、通常の気候でも外邪となって病気を引き起こすことがあります。

「内邪」とは?
食事の質や量、労働と休息の過剰や不足も内邪となります。
例えば、食べ過ぎると胃に負担がかかり消化器系のトラブルを招きますし、逆に食べる量が少ないと免疫力が落ちて病気にかかりやすくなります。
働きすぎだと気を消耗して元気がなくなってしまい、休みすぎでも気・血が滞り体の機能が衰えます。
また、感情も行き過ぎると体を傷つけます。
感情は7つに分類されて(七情といいます)、それぞれ特定の臓腑と関係しています。

・喜ぶ→心(喜びすぎると、気の緩みや集中力の低下を招く)
・怒る→肝(怒りすぎると、体のめぐりが悪くなる)
・憂う/悲しむ→肺(憂いや悲しみが過ぎると、風邪をひきやすくなったり、呼吸器トラブルを起こしやすくなる)
・思う→脾(思い悩みすぎると、脾=消化機能が低下し食欲不振、腹痛、下痢を起こしやすくなる)
・恐れる・驚く→腎(極端に恐怖や驚きの感情が多くなると、水分の代謝が悪くなる)

「外邪が内邪を揺り動かす」
気候による外邪は、内邪に影響を与えその勢いを増長させる場合があります。
例えば、湿邪が強い場合、もともとむくみやすい体質の人はさらにむくみがひどくなったり、鼻炎の人は鼻水がよく出るようになったりします。
ある性質の外邪が強くなると、同じような性質を持つ内邪と反応して症状が強く出ます。
これを「外邪が内邪を揺り動かす」と表現します。
逆にどんな時に外邪が内邪を揺り動かすのかを見極めれば、その人の体質が寒なのか熱なのかおおよそわかることになります。

感情が体を傷つける、の意味がお分かりになったでしょうか?
何事も「中庸」と表現されるようにちょうどよいのが良く、行き過ぎは良くないということですね。

このような概念を知っておくと、今自分の体の中で何が起きているのか客観的に見ることができます。
そして自分をコントロールして、いつでも心地の良い状態を作って欲しいと思います。


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