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エッセイ#164 - てんびん座

てんびん座というのはダサいなぁと、子どもの頃から思っている。私の星座である。動物の名前の星座とかの方が、明らかにカッコいい。なんで動物とか人間とかと同じ並びに道具が入っているんだと、ずっと不思議に思っている。
もちろん天秤は人類の進化に貢献した重要な道具なのだろう、たぶん。でもてんびん座はダサい。みずがめ座も同じくらい不憫だと思う。どう考えても、瓶より羊とかサソリの方がカッコいい。

それに比べて干支は、動物とそれに類するものだけで構成されていて星座に比べてだいぶフェアだ。そりゃもちろん、ネズミより竜の方がだいぶ格好良いけど、獅子と天秤に比べたらまだ共通項があるというか、比較対象になりうる感じがする。獅子と天秤なんて違うもの過ぎて比べられない。

まあでも、昔の人たちが星を見て、その散らばり方に名前を付けていった結果、天秤だったのだから仕方ない。そうやって色んな名前を付けていって、その中の代表として十二星座に選ばれたのだから名誉な事なのだろう。でも何だかそそられないというか、今まで夜空を見ててんびん座を見つけようと思ったことすらない。

ただ、いざてんびん座を見つけようと思っても、私は自力では見つけられないだろう。小学生の頃、星を観察する宿題が出た時に、夜空を見ても全く何が何やらわからず困り果てたものだ。それを次の日に先生に言うと、今夜から友だちと一緒にやりなさいと言って、同じクラスの女の子の中で家から一番近くに住んでいる子に私のお守りを頼んだ程だ。あの時その友だちと一緒に星の観察をしたおかげで、オリオン座だけは見分けがつく。だから冬の夜空を見上げて、ふとオリオン座を見つけるとちょっと嬉しい。

てんびん座にはそんな思い出もないし、見つけやすい目印もないし、そもそも何月頃に見られるのかも知らないし、やっぱり何かダサいだけの星座だなと思う。

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